初フォーサーズカメラ E-1

オリンパス デジタル一眼レフカメラ E-1のレビューと写真作例
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ギャラリー
作例撮影のレンズはOlympus Zuiko Digital ED 50-200mm F2.8-3.5を使用した。
レビュー
1.概要
E-1は2003年にオリンパス(現OM-SYSTEMS)からリリースされたフォーサーズマウントの一眼レフカメラ。
主な仕様は、センサーはコダック社製500万画素、1秒間に3コマ、12枚まで連射可能、記録メディアにコンパクトフラッシュを採用している。
500万画素のセンサーは、最大2560 x 1920ドットの画像を記録できる。
2.使用感
最初のフォーサーズマウントカメラと言うことで、力の入ったボディでオリンパスカメラデザインの特徴であるL型フォルムを採用し、このボディフォルムはオリンパスカメラではもっとも好みのスタイルをしている。
一眼レフのマウントはカメラ中心部に位置すべきだという意見を見るけれど、カメラを構えやすければ、マウントに位置はどこでも良い。実際このカメラを使うときにマウント位置を意識することは無く、L型ボディはカメラバックへ収納しやすい利点がある。
レンズについては新規ボディの悲しさでリリース当初は選択できるレンズは少なく、ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5、ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5、ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 MacroとZUIKO DIGITAL ED 300mm F2.8(サンニッパ)だけだった。
このサンニッパを初期リリースに含めたことは、先にリリースすべきレンズを誤っていると感じた。その後、数年かけて一通りレンズを発売したが、レンズラインナップが完成する頃はミラーレスカメラ時代に変化してオリンパス自身もマイクロフォーサーズに軸足を移した。
レンズラインナップが貧弱だった頃にフォーサーズマウントに注目したのは、マウントアダプターを提供している小ビルダーで、フォーサーズ規格は既存一眼レフカメラよりフランジバックが短いため、既存一眼レフカメラ向けレンズをフォーサーズに変換するマウントアダプターを作るのは容易であった。
また、既存一眼レフカメラ向けレンズは絞り操作をレンズ側でおこなう実絞りのレンズが主流で、それらのレンズ価格は安いため入手も容易であった。そのため、E-1を購入したときフォーサーズ-M42マウントアダプターと、フォーサーズ-ニコンFマウントアダプターを購入して、M42レンズとニコンFレンズをE-1に装着して使っていた。
ただし、フォーサーズカメラで35mm判レンズを使用すると焦点距離がオリジナルレンズの2倍となるため、広角レンズの選択肢に困った。例えば35mm判では超広角となる17mmは34mm相当になってしまう。広角に関しては専用のレンズで補うしか無かった。
純正レンズは、初期の2本、ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5、ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5と、安価なZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macroを購入した。
E-1のシャッターフィーリングはかなり良好で、センサーサイズの小ささにより撮影時に動作するミラーを小さく軽くできるので動作音はとても小さい。軽快なシャッター音とあいまって連写をしたくなるけれど、連写は秒3コマ、バッファ上限はすべての画質モードで12枚とそれほど連続撮影はできない。
また、フォーサーズシステムは搭載しているセンサーサイズにより、APS-Cサイズセンサーや35mmフルサイズセンサーを積んだカメラより、ファインダー像は小さくなる。それでも、E-1のファインダーはピント位置をつかみやすいファインダーでM42、ニコンFのマニュアルレンズを使う際に困ることは無かった。
E-1は一度手放したあと、パナソニック・ライカブランドのレンズに興味をもったのでE-1を再度購入して、Vario Elmar 14-50 F3.8 F5.6 ASPH./MEGA O.I.S. L-RS014050で遊んでいた。
3.まとめ
結論としてE-1をまとめると、デジタル時代に専用カメラシステムとしてリリースされ、オリンパスカメラデザインのエッセンスを凝縮した意欲的な1台だ。
しかし、レンズのラインナップ不足、一眼レフカメラとしてはファインダーが小さいなどネガティブな印象を払拭できなかった。
カメラ、レンズの開発も遅くリリース間隔が空いてしまったことも、ユーザーにカメラの購入を思い止まらせる一因で、フォーサーズは普及する前に終わった。
余談
フィルムカメラの時代からオリンパスというカメラメーカーは拡張性や継続性に疑問のあるメーカーだ。
例えばOMマウントとPEN-Fマウント、これも上手いことやればレンズを共用できてユーザーは嬉しかったかもしれない。
デジタル時代はXDカードの拡張性問題でやらかし、容量512MB以下のカードしか使えないカメラと2GBまで使えるカメラが存在し、512MB以下の中古カードと2GBの中古カードの価格が拮抗しているカオスな状況だ。
そして極めつけはフォーサーズマウント、Eマウントのように径に余裕を持って企画し、35mmフルサイズに対応できていれば、より大きなセンサーを搭載することもできた。
自社の製品規格に絶対の自信を持ってスベる、そんな愛すべきメーカーだった。
2020年にオリンパスからOMシステムズにカメラ部門を分離し、カメラ事業会社に資本力は無く、カメラとレンズの双方で新製品をほとんど新規開発できていない。いずれ会社は行き詰まりそうな気配漂う2024年、願わくば会社や商標が他国に渡らなければよいなと思うところである。T芝、Sプなどの家電系企業も買われてしまったのでそうなる可能性は十分にある。
参考リンクにある、2003年のPc-watchの記事によると、E-1発表会にて当時の社長は「プロのプロによるプロのためのカメラ」と述べられた。プロはリリース時にレンズ種類の足りないシステムに乗り換えるはずも無く、著名なプロでフォーサーズシステムをメインで使っていたのは岩合光昭氏くらいしか知らない。
フォーサーズシステムの提唱はオリンパスとコダックで、賛同メーカーとして、XDピクチャつながりでフジフィルムの名前があったけれど、フジフィルムはXDに早々と見切りを付けフォーサーズシステムを供給すること無く、自社のXシステムを構築し成功している。
コダックは破産法を申請し、コダックブランドは細々と続いている状況である。
フォーサーズ規格はオープンな規格なので、自社センサーの供給先を探していたパナソニックはフォーサーズ時代に2つのカメラボディ、DMC-L1、DMC-L10をリリースし、ライカ Dブランドのレンズを4本リリースしている。
仕様・カメラ比較
項目 | E-1 | E-3 | E-30 | E-5 |
カメラ有効画素数 | 500万画素 | 1010万画素 | 1230万画素 | 1230万画素 |
レンズマウント | フォーサーズマウント | フォーサーズマウント | フォーサーズマウント | フォーサーズマウント |
撮像素子 | 4/3型センサー Kodak製 | 4/3型ハイスピードLive MOSセンサー | 4/3型ハイスピードLive MOSセンサー | 4/3型ハイスピードLive MOSセンサー |
手ぶれ補正 | なし | 撮像センサーシフト式手ぶれ補正 最大5EV | 撮像センサーシフト式手ぶれ補正 最大5EV | 撮像センサーシフト式手ぶれ補正 最大5EV |
ファインダー倍率 | 100% 約0.96倍(-1m-1 50mm 無限遠) | 100% 約1.15倍(-1m-1 50mm 無限遠) | 98% 約1.02倍(-1m-1、50mmレンズ、無限遠) | 100% 約1.15倍(-1m-1 50mm 無限遠) |
連写速度 | 3コマ/秒 | 5コマ/秒 | 5コマ/秒 | 5コマ/秒 |
連続撮影枚数 | 12枚・Raw含めすべて | 16枚・Raw | 14枚・Raw | 16枚・Raw |
背面液晶 | 固定式 1.8型 13.4万画素 | 2軸可動式 2.5型 23万画素 | 2軸可動式 2.7型 23万画素 | 2軸可動式 3型 92万画素 |
内蔵フラッシュ | なし | TTL調光内蔵フラッシュ GN=13(ISO100) | TTL調光内蔵フラッシュ、GN=18(ISO 200)、GN=13(ISO 100) | TTL調光内蔵フラッシュ、GN=18(ISO 200)、GN=13(ISO 100) |
バッテリー | BLM-1、BLM-5 | BLM-1、BLM-5 | BLM-1、BLM-5 | BLM-1、BLM-5 |
記録メディア | コンパクトフラッシュ | コンパクトフラッシュ xDピクチャーカード | コンパクトフラッシュ xDピクチャーカード | コンパクトフラッシュ |
外形寸法 幅 x 高さ x 奥行 (mm) | 141 × 104 × 81 | 142.5 × 116.5 × 74.5 | 141.5 × 107.5 × 75 | 142.5 × 116.5 × 74.5 |
重量(g) ボディのみ | 約660g | 約810g | 約655g | 約800g |
ボディカラー | 黒 | 黒 | 黒 | 黒 |
リリース年 | 2003.10 | 2007.11.23 | 2008.12.20 | 2010.10.29 |
オプション
パナソニックレンズ
- SUMMILUX D 25mm F1.4 ASPH. L-X025
- Vario Elmarit 14-50 F2.8 3.5 ASPH. L-ES014050
- Vario Elmar 14-50 F3.8 F5.6 ASPH./MEGA O.I.S. L-RS014050
- Vario Elmar 14-150 F3.5 F5.6 ASPH./MEGA O.I.S. L-RS014150
広角ズーム
- ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0
- ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
- ZUIKO DIGITAL 11-22mm F2.8-3.5
標準ズーム
- ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
- ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2.0 SWD
- ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6
- ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
- ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5
- ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II
- ZUIKO DIGITAL 17.5-45mm F3.5-5.6(E-500 とのキットのみ)
高倍率ズーム
- ZUIKO DIGITAL ED 18-180mm F3.5-6.3
望遠ズーム
- ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0
- ZUIKO DIGITAL 40-150mm F3.5-4.5
- ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6
- ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5
- ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD
- ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6
- ZUIKO DIGITAL ED 90-250mm F2.8
単焦点
- ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye
- ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8(パンケーキレンズ)
- ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro
- ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro
- ZUIKO DIGITAL ED 150mm F2.0
- ZUIKO DIGITAL ED 300mm F2.8
参考情報
更新
- 2025.3.5
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