望遠フラッグシップ E8800

NIKON COOLPIX 8800(E8800)・固定レンズデジタルカメラのレビューと写真作例

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ギャラリー

レビュー

概要
使用感
付加情報

1．概要

クールピックス 8800（以下、E8800）は2003年に発売された、ニコン製・レンズ一体型デジタルカメラで、COOLPIXの型番に頭文字の付いていないシリーズの望遠側のフラッグシップカメラとなる。下の仕様にあるように、広角側を重視したフラッグシップにCOOLPIX 8400がある。
これらのカメラはリリースからすでに20年以上経過している立派なオールド・コンデジだ。

E8800のイメージセンサーは、800万画素、4:3の比率で最大解像度4032 × 3024となっている。横4000ピクセルあると、解像感、画像品質は十分と感じられる。

レンズの焦点距離は広角端を35mm〜350mmまでの10倍ズームだ。

専用のワイドコンバーター：WM-E80（0.8倍）を使用すると、焦点距離が28-85mmに制限されるが広角側の焦点距離が広がる。

ファインダーはEVFで解像度24万ドット。
バッテリーはEN-EL7、EN-EL7e。
縦位置グリップ：MB-CP11を使用すると、単三電池6本で駆動する。

2．使用感

カメラの起動は早くはなく、数秒待つ感じがあるがコンパクトフラッシュカードによって起動の待ち時間が変わるため、手持ちのコンパクトフラッシュカードでもっとも起動時間が早いSUNDISKのExtreame IIIを常用している。ノーブランドの怪しいコンパクトフラッシュカードだとカメラが使えるまでに待たされる時間がさらに長くなる。

撮影は、バリアングル液晶かEVFを使うが、どちらもそれほど高い解像度ではないので、構図の確認は可能だが、細かな被写体で厳密なピントの確認は難しい。
小さいセンサーなので被写界深度が深くなることを信用して撮影している。

同じEVFを積んでいると思われる、広角ズームのE8400を所有しているが、そちらのEVFよりE8800のEVFは見栄がよいため、E8400のEVFは問題があると感じている。

Raw形式で撮影する場合、画像サイズが13MBで画像の記録時間は20秒必要となる。記録が10秒経過したあたりで表示のブラックアウトは解消され、次の撮影に取りかかれるが、そのときAF応答、ボタン反応が悪いことがあるため、20秒間の記録が終わるのを待ってから操作するほうがベターと感じる。JPEG-Extraは画像サイズが4MBで記録時間3秒なのでテンポよく撮影可能だ。これはE8400とほぼ同じである。

ISO50がベース感度でISO400程度が上限となる。太陽光下などの明るいところではノイズは比較的目立たないが、光量が低下するとノイズが目立ってくる。それほど不快なノイズではないので、VRで手ブレを抑えることもできるため、比較的暗所でも使えるカメラだ。

撮影結果だが、広角側は被写体距離によっては樽形の歪みが目立つ。望遠側は350mmで直線基調の物を撮ることがほとんどないため歪みを気にすることはほとんどない。
歪みについては、NIKONが提供しているNX Studio Ver1.8.0では、本カメラの画像で歪み補正のチェックをオンにすることができなかった。
有償のソフトウェアになるが、個人的に普段利用しているAffinity Photo2は、E8800の補正プロファイルがあるため、歪み補正機能をオンにしておけばexif情報から自動的に歪みを補正してくれる。

下の画像は左が歪み補正オフで右側が歪み補正オン。

E8800の弱点は電池で、専用電池のEN-EL7、EN-EL7e（充電容量表示付き）は本カメラとCOOLPIX 8400の2機種だけ採用されたバッテリーでニコンにおいてすでに生産終了している。そして、採用カメラが少ないため互換バッテリーもすでに市場にみあたらず、バッテリーの入手に苦労する。オークションで未使用電池を購入したら、過放電で充電できない状態だし、バッテリーに難儀している。

記録メディアはコンパクトフラッシュ（以下、CF）、画像保存形式はRawとJPEGでJPEGの保存品質は8種類もあるが、容量4GBのCFの動作までは確認しており、4GB CFの場合、Raw(NEF)形式で300枚弱撮影できるため、JPEGも最大品質の保存で問題ないだろう。
また、16GBのCFカードも認識しているので記録メディアについての心配はほとんど無いカメラだ。

3．付加情報

このカメラはオプション類に専用品が多く、レンズフード HN-CP14、テレコンワイコンを装着するための、アダプタリング2種と、フィッシュアイ、ワイド、テレコンバータレンズがある。カメラがすでに終売しているため、中古で探すのも難儀な状態である。

アダプタリングの装着は、カメラ前部の54mm程度と特殊なネジ径にねじ込むアタッチメントが必要になる。花形フードも54mm→67mm変換アダプタを付けてから装着する。

このオプション取付部はネジ径54mmという特殊径で、下表のオプション類のうち、フードを取り付けるためのアダプター、ワイドコンバータ WC-E80（0.8倍）は、このカメラでしか使えない。

WC-E80はE8800のレンズ前面にねじ込むため、コレを装着する際はフードアダプターを取り外す必要があり、専用フードは使えなくなる。WC-E80を装着し、カメラのワイドコンバーターを使用するメニューにチェックを入れると、焦点距離は28mm-85mmに制限される。このコンバーターはレンズ1枚で焦点距離を広げる仕様で画像補正が不十分で28mm時は画像周辺がかなり歪む。

下の画像は左がワイドコンバーターを装着した28mmで右側が35mmだ。

レンズフードを取り付けるためのアダプターは、54mm→67mm変換アダプタを兼ねており、コレを装着すると、67mm径のレンズ保護用のプロテクトフィルター、NDフィルターなどを取り付けることができる。このアダプターはほぼ標準装備なので、最初からレンズ前面を67mm径のネジで作って欲しかった。この頃のレンズ一体型デジカメにおけるオプションの使用には首をかしげるモノが多い。

テレコンとフィッシュアイコンバータ FC-E9（0.2倍）とテレコンバーターTC-E17ED（1.7倍）はいくつかのカメラに対応しているが、E8800への装着には、それぞれUR-E18（FC-E9用）、UR-E17（TC-E17ED用）という専用アダプターが必要だ。

今回は、フードとアダプタリングは中古品に付属していたので、苦労なく入手できた。

ニコンのコンデジ向けオプションパーツは、他のメーカーに比べると汎用的に作られた製品が多いけれど、レンズが沈胴式になっているカメラはカメラと接続するためのアダプターを用意する必要があるところに面倒を感じる。アダプターは定価は安いがすでに販売終了となっている物がほとんどのため、中古で探すとプレミアム価格になっていることもある。

ニコンは望遠側を重視した高倍率ズームのレンズ一体型カメラは継続的に販売している。

2008：COOLPIX P80 18倍ズーム（35mm判換算で27-486mm相当）
2009：COOLPIX P90 24倍ズーム（35mm判換算で26-624mm相当）
2010：COOLPIX P100 26倍ズーム（35mm判換算で26-678mm相当）
2011：COOLPIX P500 36倍ズーム（35mm判換算で22.5-810 mm）
2012：COOLPIX P510 42倍ズーム（35mm判換算24-1000 mm）
2013：COOLPIX P520 42倍ズーム（35mm判換算24-1000 mm）
2014：COOLPIX P600 60倍ズーム（35mm判換算24-1440mm相当）
2015：COOLPIX P610 60倍ズーム（35mm判換算24-1440mm相当）
2015：COOLPIX P900 83倍ズーム（35mm判換算24-2000mm相当）
2018：COOLPIX P1000 125倍ズーム（35mm判換算24-3000mm相当）
2025：COOLPIX P1100 125倍ズーム（35mm判換算24-3000mm相当）

仕様

項目	COOLPIX 8800	COOLPIX 8700	COOLPIX 8400
カメラ有効画素数	800万画素	800万画素	800万画素
焦点距離	10倍ズームニッコールレンズ、f=8.9～89mm（35mm判換算：35～350mm相当）、F2.8～F5.2、ED レンズ2枚使用	8倍ズームニッコールレンズ、f=8.9～71.2mm（35mm判換算：35～280mm相当）、F2.8～F4.2	3 倍ズームニッコールレンズ f3.5倍ズームニッコールレンズ、f=6.1～21.6mm（35mm判換算：24～85mm相当）、F2.6～F4.9、EDレンズで2枚使用
レンズ構成	10群16枚	10群14枚	7群10枚
絞り羽根	7枚	7枚	7枚
撮像素子	2/3 型 CCD	2/3 型 CCD	2/3 型 CCD
最大ISO	400	400	400
背面液晶	1.8型・13.4万画素	1.8型・13.4万画素	1.8型・13.4万画素
ファインダー	EVF・0.44型・23.5万画素	EVF・0.44型・23.5万画素	EVF・0.44型・23.5万画素
バッテリー	EN-EL7、EN-EL7e	EN-EL1	EN-EL7、EN-EL7e
記録メディア	コンパクトフラッシュ	コンパクトフラッシュ	コンパクトフラッシュ
外形寸法(mm)幅 x 高さ x 奥行	116 × 85 × 121	113 × 105 × 78	116 × 85 × 121
重量(g) (ボディのみ)	600	480	400
リリース年	2004年11月12日	2004年2月14日	2004年10月1日
価格	オープン（13万円前後）	オープン（13万円前後）	オープン（11万円前後）

オプション

バッテリーグリップ：MB-CP11
フィッシュアイコンバーター：FC-E9（0.2倍）¥45,000（税別）
ワイドコンバーター：WM-E80（0.8倍）¥12,000（税別）
テレコンバーター：TC-E17ED（1.7倍）¥60,000（税別
レンズフード HN-CP14 ¥5,000（税別）
アダプタリング UR-E17（TC-E17ED用）¥3,000（税別）
アダプタリング UR-E18（FC-E9用）¥2,500（税別）
PC接続キット

	フィッシュアイ FC-E9	ワイドコンバーター WM-E80	テレコンバーター TC-E17ED
レンズ構成	4群5枚	1群1枚	3群5枚
コンバーター倍率	0.2倍	0.8倍 28mm	1.7倍最大600mm
合成絞り値	変化無し	F2.8	F5.2
サイズ	?	75 x 29.5	88 × 85.5
取付径	28mm	–	–
フィルター径	–	–	–
重量(g)	205	150	635
対応カメラ接続アダプタ	COOLPIX8800：UR-E18 COOLPIX8400：UR-E16 COOLPIX8700：UR-E12	COOLPIX8800専用	COOLPIX8800：UR-E17 COOLPIX8700：UR-E19 COOLPIX5700：UR-E19
価格(¥/税別)	45,000-	12,000-	60,000-
備考