APO TELYT R 180mm F3.4

ライカ180mm兄弟の長男

アポ・テリート R 180mm F3.4のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はHASSELBLAD X2D

レビュー

1.概要

アポ・テリート R 180mm F3.4は1975年から1998年にかけて17,000本造られたライカRマウントの望遠レンズ。

レンズ構成は4群7枚、絞り羽根は8枚、最短撮影距離は2.5mとなっている。

このレンズのマウントタイプは、中古市場で3カムとRカムのROM端子付きは売られているのを見かける。今回紹介しているレンズも3カムである。Rカムを見たことが無いのは、このレンズの不思議なところである。

2.使用感

アポ・テリート R 180mm は、細身の割りに重量感があるレンズで、LEICA R8などの比較的大柄なカメラで使用すると安定した撮影ができる。

絞りリングは他のRマウントレンズ同様に鏡筒付け根にあり、その少し前方にフォーカスリングがある。細長いレンズの操作性と見た目のバランスを考えると、フォーカスリングはより幅が広いデザインが良い。

これは同時期にリリースされたエルマー R 180mmレンズのフォーカス部分を流用しているため、このようなデザインとなっている。このあとに記載する最短撮影距離の問題は、ヘリコイドを流用したために繰り出し量が足りなくなった可能性がある。

撮影時における問題点は最短撮影距離が2.5mという点だ。焦点距離180mmなので他の180mmレンズと同様に最低でも1.8m程度までは寄れて欲しい。

マクロアダプター(14299)を使うことで1.5m程度まで寄れるが、それでもまだ最短撮影距離が足りないと感じる。
x2テレコンバーターで焦点距離360mmにしてマクロアダプターを装着することによって、撮影距離が2m程度でやっと実用的になる。

そのような撮影上の制約はあるレンズだが、撮影画像の抜けのよさと、美しいボケはこのレンズの特徴で、お値段以上の写りは確実にしている。場面によってはより高価なアポ・エルマリート 180mmとの差を感じない。

3.付加情報

ハッセルブラッドのX2Dで使用したところ、イメージサークルは、中判デジタルセンサーの44x33mmを完全にカバーしており、周辺部にも顕著な乱れは感じられない。
本レンズは広いイメージサークルを持っているので、LEICA S Typ007で使用したいところだが、カメラとレンズのフランジバックの違いから叶わない夢となっている。

ライカはRマウントのために、焦点距離180mmの望遠レンズを他の焦点距離とは異なり、多くのバリエーションでリリースしており、代表的なレンズについて仕様に違いを記載した。

その中でも、このアポ・テリート 180mmはもっとも初期にリリースされたレンズなので長男と呼んでいる。

この180mmという焦点距離は、ライカRマウントの最後期にアポ仕様のエルマリート(エルマリット)をリリースしたことからも、力を入れていた焦点距離だと考えられる。

焦点距離180mmはアポ・エルマリート 180mm、バリオ・アポ・エルマリート 70-180mmを購入したがそれほど熱心には使わなかった。望遠レンズを使うなら300mm以上、焦点距離の短いレンズは90mm以下を使うことが多く、個人の撮影嗜好として135mmから180mmはあまり活用どころがないことは自覚している。

このレンズを入手したのは、入手できそうな時期がちょうど桜の季節と重なり、レンズの価格も安かったため購入して使うことににした。

仕様

項目APO-TELYTELMARELMARITAPO-ELMARITAPO-SUMMICRON
焦点距離(mm)180180180180180
最大絞り3.442.82.82
最小絞り2222222216
絞り羽根86888
レンズ構成4群7枚4群5枚4群5枚5群7枚6群9枚
最短撮影距離(m)2.51.81.81.51.5
レンズ長(mm)135100132176
レンズ最大径(mm)6885.576116
フィルター径(mm)605567
(シリーズ7.5・旧型)
67100
重量(g)7505404509702,500
リリース年19751976197819971994
製造本数17,00011,50012,0001,9001,700

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.1.5
  • 2024.07.14
  • 2024.03.26

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