C645 軽量標準レンズ DISTAGON 55

CONTAX 645 DISTAGON 55mm F3.5をLEICA Sで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA S typ007
レビュー


1.概要
DISTAGON 55mm F3.5は2001年に京セラが中判カメラ・コンタックス645向けにリリースした焦点距離55mmの単焦点標準レンズ。
CONTAX 645レンズでは後期にリリースされ、150万台のシリアルナンバーが付加されている。
コンタックス645フィルムカメラで使用すると、35mm判換算で0.6倍となるため33mm相当の広角レンズとなる。
主な仕様は以下の通りで、詳細な仕様は表に載せている。
- 開放F値 3.5
- レンズ構成 7群7枚
- 最短撮影距離 0.55m
- フード 花形バヨネットフード GB-72
2.使用感
ディスタゴン55mmはライカ Sで使用するために購入した。購入の経緯は最後に書いているとおりだが、LEICA Sの相棒レンズとして所有していて悔いの無いレンズだ。
焦点距離55mmとレンズを作りやすい焦点距離を採用し、645フィルムに対応するための大きなレンズ径で設計されているため、645フィルムよりも小さなライカSの中判デジタルセンサー 45mm x 30mmで使用したとき周辺画像の乱れや歪みを感じることはない。
ライカSにおけるオートフォーカスの合焦速度は645レンズの中では早いほうだが、35mm一眼レフカメラの高速合焦に慣れた人はのんびりと感じるはずだ。
合焦精度もそれほどよくなく、ピントが合わないときは撮影中にシームレスにフォーカスリングを回してフォーカス操作に割り込みをかけてマニュアルフォーカスで調整できる。
レンズには絞り環が装備されているが、16038 [ライカ SアダプターC]を用いて、ライカSで使うとき絞り環の設定は無視され、カメラ側で絞り値を設定してから撮影する。Sモード、Pモードにしておくと自動で絞り値をカメラが決定する。
フィルター径は72mmで専用フードは、プラナー80mm F2.2と共通のGB-72を使用する。もちろん、DISTAGON 45mm用などの72mm適合フード(GB-71、GB-B1)を使用することも可能である。
ライカS純正のレンズは重くて大きくカメラと合わせると2kgに迫るシステムがほとんどだ。
このレンズをライカSで使う場合は、120gの[ライカ SアダプターC]を追加する必要があるが、合わせても620gで1.2kgのライカ S typ007と合わせて1.8kgになる。
レンズサイズもコンパクトなので、カメラバックへの収まりもよい。
購入経緯だが、CONTAX 645レンズは全部で9本あり、DISTAGON 35mm、45mm、APO MAKRO PLANAR 120mm、SONNAR 140mm、SONNAR 210mmと蒐集してきて、わりとお金のないときに銀座にある教会のお店で2023年におけるDISTAGON 55mmにしては激安価格で巡りあってしまい購入した。
CONTAX 645レンズとしては、PLANAR 80mm、Tele Apo Tessar 350mmが未所有でいずれ使ってみたいと思っている。


3.付加情報
ディスタゴン 55mmの比較対象としては、同じ中判カメラ用レンズの「ハッセルブラッドHC50mm-II」が候補になるだろう。


机上でのスペック比較では仕様・競合レンズに示すとおりで、HC-50-IIはレンズシャッター機構を積んでいるとは言え、重量は倍でレンズ長は1.5倍長い。ディスタゴン 55mmのコンパクトさと質量の軽さは持ち運びのうえで大きなアドバンテージとなる。
冬の山形県・立石寺で、この雪に埋もれた階段を1000段往復した際にLEICA S Typ007と本レンズをセットで持って行った。レンズとボディで1.8kgの組み合わせだったおかげで、無事に階段を往復できたような気がする。2.5kg近くになるHC 50mmとの組み合わせは山道を登るしんどさが倍増したような気がする。
廉価レンズとしてリリースされたディスタゴン 55mmだが、2024年における中古価格はリリース時の定価を超えることが多い。
ディスタゴン 55mmよりリリース時の定価が高いディスタゴン 45mmは、リリース時定価を下回り、ほとんどの場合でディスタゴン 55mmより安価である。
これは、D45mmは中古市場に豊富にレンズが存在しており、D55mmの製造量の少ないため中古市場に数が少ないという理由から中古価格が逆転している。
仕様・競合レンズ
レンズ名 | ディスタゴン55mm | HC 50mm-II |
焦点距離(mm) | 55 | 50 |
最大絞り | 3.5 | 3.5 |
最小絞り | 32 | 32 |
絞り羽根 | – | – |
レンズ構成 | 7群7枚 | 7群11枚 |
最短撮影距離(m) | 0.55 | 0.6 |
レンズ長(mm) | 75 | 116 |
レンズ最大径(mm) | 81 | 85 |
フィルター径(mm) | 72 | 77 |
重量(g) | 500 | 975 |
レンズシャッター機構 | なし | あり |
リリース年 | 2001 | 2016? |
価格 | 150,000円 | 650,000円 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2025.3.30
- 2024.9.2
- 2024.07.16
- 2023.03.02:初稿
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