70年前の最先端 CANON S 28mm F2.8(L39)

70年前の最先端 CANON S 28mm F2.8(L39)

L39スクリューマウント・CANON S 28mm F2.8をLEICA M9、LEICA M8.2、EPSON R-D1xGで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

CANON S 28mm F2.8は、1957年にキヤノンが自社のバルナックライカ互換カメラ向けに発売したL39スクリューマウントの標準レンズ。キヤノンではSマウントと称している。

主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。

  • 開放F値 2.8
  • レンズ構成 4群6枚
  • 絞り羽根 6枚
  • 最短撮影距離 1.0m
  • ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 1.0m

レンズ構成は4群6枚のガウス型で、前と後の2枚が貼り合わせレンズ、真ん中に独立した2枚のレンズが凸凹の順番に並んでいる。レンズ構成図は、書籍 写真工業11月号別冊 世界のライカレンズの122ページに掲載されている。

キヤノン・ミュージアム・28mm F2.8に本レンズの構成図は記載されていない。

2.使用感

CANON S 28mm F2.8はレンズの明るさ、鏡筒サイズは現代レンズと遜色なく、1950年代につくられたレンズとは思えない使用をしている。この時代の他社の28mmレンズはF6程度の明るさしかなく、キヤノンの先進性がよくわかる。

2010年代に購入し、EPSON R-D1xG、LEICA M8.2、LEICA M9と使用した。
EPSON R-D1xGのAPS-Cサイズセンサーの場合、35mm判換算焦点距離42mm、LEICA M8.2のAPS-Hサイズセンサーの場合、35mm判換算焦点距離37mmとなる。センサーサイズが小さいカメラほど、レンズの粗が確認しやすい周辺部がセンサーサイズによって強制的にクロップされるため、描写は整って見える。

35mmフルフレームセンサーを搭載したLEICA M9の撮影結果は明るい場面で周辺部の乱れが確認できるが、それが目立ちづらい場面を選べば現在でも十分に通用する画質をしている。

2020年代に入ると、中古市場で見かけることが少なくなり、少々レアなレンズになっている。性能的に見るべきものはそれほどないため、実用のみ考える場合はコシナが製造するフォクトレンダーブランドの焦点距離28mmのレンズなど新しいレンズを選択するほうが無難だろう。

3.まとめ

結論としてCANON S 28mm F2.8をまとめると、先述のとおり70年前のレンズスペックとは思えないほど現代的なレンズ仕様をしており、その描写は癖があるが、キヤノンがレンジファインダーカメラのレンズを意欲的に開発していた時代を懐かしむことができるレンズだ。

このレンズは1990年から2000年代は2万円程度で入手できたが、2020年代に入ると状態のよいレンズは高価になっているため、レンズの外観、描写が好みと一致するかを考える必要がある。

仕様・考察など

レンジファインダーカメラの焦点距離28mmレンズは、GR 28mm F2.8G-Rokkor 28mm F3.5AVENON 28mm F3.5COLOR SKOPAR 28mm F3.5など同程度のコンパクトさと明るさを持つレンズは多いが、いずれのレンズもそれぞれ個性があり、レトロフォーカスが基本となる一眼レフカメラの焦点距離28mmとは異なり、撮影者の好みのレンズを探す楽しさがある。

そのなかでもAVENON 28mm F3.5は先述したCANON S 28mm F2.8と同じガウス型の4群6枚のレンズ構成だが、CANON S 28mm F2.8とは異なり、前と後ろのレンズが独立した1枚、中央部の4枚が前後でそれぞれ貼り合わせの凸と貼り合わせの凹になっている。AVENON 28mm F3.5はお世辞にも高性能なレンズとは呼べず、CANON S 28mm F2.8の完成度の高さを証明するレンズと言える。

項目CANON SAVENON 28mm 前期(銀色・黒色)
焦点距離(mm)2828
最大絞り2.83.5
最小絞り2216
絞り羽根66
レンズ構成4群6枚4群6枚
最短撮影距離(m) (距離計連動)1.01.0
レンズ長(mm)2017.4
レンズ最大径(mm)4851
フィルター径(mm)4043
重量(g)160100
フード?ネジ込み円筒ラッパ型
マウントL39L39
リリース年19571982,1992
価格(定価・税別)¥33,000?

参考情報

広告

amazon

更新履歴

  • 2024.9.9

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA