CANON PowerShot G1X

1.5インチセンサー搭載デジタルカメラ

PowerShot G1Xのレビューと写真作例

目次

ギャラリー

レビュー

  1. 使用感
  2. カメラ概要
  3. 競合との比較

1.使用感

キヤノン・PowerShot G1X1は2012年に発売されたカメラで、センサーサイズ1.5インチとフォーサーズ・マイクロフォーサーズカメラよりも大きなセンサーを積んだレンズ一体型デジタルカメラ。中古を購入したのが2024年なので干支が一回りしたことになる。

コンパクトカメラと呼ぶには少々大きいが、他のレンズ交換式カメラと比べると、十分に小さなカメラで、ボディは前後のフレームは金属だが、カメラを見たとき目立つ軍艦部がプラスチックで、グリップ部の材質も安っぽいため、全体的に安いカメラに見えてしまうのは残念である。

搭載された1.5インチサイズの大型センサーは基本的な画質が向上し高感度特性もよい。ズームレンズの焦点距離は28mmから112mmで24mm相当が欲しくなる。広角端の絞り開放F値は2.8と許容できるがテレ端は絞り開放値が5.8と暗いことは残念でF4程度になるようにレンズを設計して欲しかった。G1X mark II2(以下、G1X2)ではF2〜F4にあらためられた。レンズの歪みは広角端からきちんと補正されており、四角いものを撮影しても顕著に気になるような歪みは見られない。最短撮影距離の20cmは風景メインであれば気にならないが、被写体に寄りたいときには物足りなさを感じる。

光学ファインダーが装備されているので、それなりに使えるモノかと思っていたが、見える範囲が撮影範囲の77%と撮影結果範囲の乖離が大きくイマサン使えない。撮影結果をみると常に外周部にいらないモノが写っている。トリミングをすればという意見もあるが、見えた範囲の90%程度に抑えていただきたいと思う。光学ファインダーはプリズム入りの一眼レフ形式でない限り、ピント位置の確認はできずG1Xもファインダーないの合焦表示を信用するしかなく、ファインダーから見えるのは素通しの風景である。

G1Xの背面のバリアングル液晶は3インチと大きく92万ドットの解像度はピント位置を目視で確認できる表示性能があるためこちらを使うことがほとんどになっている。このため、後継機のG1X2でファインダーがなくなったのも仕方ないと納得するしかないくらいに残念な光学ファインダーである。

後継機も問題があり、G1X2は外付けEVF(EVF-DC2 )3となり、カメラへの後付け感がカメラの一体感を失わせており残念で、G1X mark III(以下、G1X3)はEVFが内蔵されたが、一眼EOSを意識したようなカメラトップに張り出したファインダー部からカメラへ繋がるデザインがイマイチで残念である。

G1Xは時代的なものもあるが、カメラの操作性は従来のコンパクトデジカメを踏襲しており、ズーム操作はレバー式、マニュアルフォーカスの仕組みは背面のホイールを回す形式で、コンパクトデジカメからのステップアップユーザーには馴染みがある操作形式で、そちらのユーザーにターゲットを置いていたようだ。しかし、この大型センサーをサブカメラとして併用したい、一眼レフカメラユーザーとしては、すべての操作が直感的ではないため併用する場合は苦労したと想像できる。操作性に関しては後継機のG1X Mark IIは一眼レフ寄りの操作方法が追加されており、キヤノンがG1Xシリーズのターゲットユーザーを変えたように感じられる。

G1Xの動作だが、カメラレスポンスは並で特別早くもないが遅すぎることもない。撮影後の画像記録時間にしても、2000年代後半の高画素機のようにRaw撮影すると5秒待つというようなことはなく、1400万画素のRAW +最高画質の jpeg記録が気付いたら終わっているので画像処理を担っているDIGIC5が優秀なことがわかる。

バッテリーのNB-10L4はキヤノン独自で他社互換製品はないが、海外製の互換バッテリーは比較的安価に売られている。

写真のフードは、UN社のUNX-8135(52mm)レンズフードを、58-52mmステップダウンリングで装着している。姿はよいが広角端の焦点距離28mmではケラレが発生してしまう。28mmでケラレれているのは、フードの角部分がレンズの撮影範囲に入って影になる物理的な問題なので、フードの内側を毛鶴などしないといけないため、通常の方法でが解消できないため使用していない。ケラレが発生しないのは焦点距離35mm以降となる。

2.カメラ概要

パワーショット シリーズの最高クラスGシリーズの初代カメラで、1.5インチサイズセンサー、28mm〜112mmの4倍ズームレンズ、実像光学式ズームファインダー、画素数は1430万画素とてんこ盛り仕様のカメラ。

画像処理エンジンに「DIGIC 5」を採用し、レンズ構成は両面非球面レンズ1枚と両面非球面UAレンズ2枚を含む10群11枚で多層コーティングされている。

レンズ内に手ブレ補正機構「マルチシーンIS(Image Stabilizer)」を搭載し、「静止画IS」、「流し撮りIS」、「ハイブリッドIS」、「三脚」、「パワードIS」、「ダイナミックIS」の6シーンに合わせて最適なISモードへ自動的に切り替わる。補正効果はシャッタースピード換算で公称約4段分で動画撮影でもその効果がある。

最短撮影距離はマクロモードで20cmとなっている。

画像は拡張子CR2のRaw形式とJPGに対応している。最大解像度は4:3のモードで、4352 x 3264ドットを記録することができる。動画は最大解像度で1920 x 1080 (24 fps)

フードは専用バヨネット式のLH-DC70が別売されている。フィルターを装着するためには、 FA-DC58Cが必要となる。

バッテリーはNB-10Lで、以下仕様となっている。

対象製品PowerShot G1 X/G3 X/G16/G15/SX60 HS/SX50 HS/SX40 HS
形式リチウムイオン充電池
公称電圧DC 7.4V
公称容量920mAh
充電時間約1時間50分
充放電回数約300回
使用温度0-40℃
大きさ約32.5×45.4×15.1mm
質量約41g
バッテリーチャージャー CB-2LC充電時

カメラ本体の価格はオープン価格で、発売時の価格は7万円を少し上回る程度であった。

3.競合との比較

G1Xは、G1X mark II(以下、G1X2)、G1X mark III(以下、G1X3)と3代にわたって同じ名称のカメラとして更新されているが、代毎にカメラコンセプトに違いが感じられ、要約すると以下の通りだ。

  • G1Xはコンデジの延長線上の高性能カメラ
  • G1X2はコンパクトミラーレスカメラを意識したサブカメラ
  • G1X3は単独ですべてをまかなえるレンズ一体型カメラ

ボディデザインはG1X>G1X2>G1X3でG1Xがもっとも好みだ。
操作性、性能はG1X2>G1X=G1X3でG1X3の評価が低いのはレンズのテレ端が72mmと物足りないためだ。
最短撮影距離は、G1X2=5cm、G1X3=10cm、G1X=20cmとなっており、G1X3はセンサーサイズが大きくなったためだろうが、仕様的に退化している。

バッテリー型番が3機種ともに異なるのはユーザーとしては嬉しくない。3機種の年代が異なるためとはいえ、同じシリーズなら同じ型番のバッテリーが採用できるように、先を見据えてバッテリーサイズ屋電池容量の仕様を決めて欲しい。

G1XとG2Xのフィルター装着方法にも疑問があり、2つのカメラはフィルターをつけるために、フードと排他のフィルターアダプターが必要となっている。フィルターとフードが排他となっているのは問題だし、このフードもアダプターもカメラ毎に専用品となっており、カメラの販売終了後に入手するのはかなり面倒なことになっている。

G1XG1X Mark II
フードLH-DC705LH-DC806
フィルターアダプターFA-DC58C7FA-DC58E8

このクラスのカメラであれば、PLフィルター、NDフィルターを使うユーザーも多いだろうから、あらかじめレンズ鏡筒先端に一般的なフィルターをねじ込むためのネジを切っておいて欲しかった。これは最新のG1X3で少し改善されている。

理想のG1X mark IVを下表右端に入れてみたが、G1X Mark IIを改良したG1X Mark IVを作って欲しいと願い、本稿を締めたい。

仕様・比較

項目G1XG1X mark IIG1X mark IIIG1X mark IV
(希望)
焦点距離(35mm版換算)28 – 112 mm
(4倍)
24 – 120 mm
(5倍)
24 – 72 mm
(3倍)
24 – 120 mm
実焦点距離15.1 – 60.4 mm12.5 – 62.5 mm15.0 – 45.0 mm12.5 – 62.5 mm
撮影距離20cm~∞5 cm~∞10 cm~∞5 cm~∞
開放絞り値F2.8〜F5.8F2.0〜F4F2.8〜F5.6F2〜F2.8
レンズバリアなしありなし
フィルターオプションFA-DC58C
58mm
FA-DC58E
58mm
なし
37mmねじ込み
55mmねじ込み
レンズフードLH-DC70LH-DC80LH-DC110
49mmフィルター装着可能
画素数1430万画素約1280 万画素(アスペクト比が3 : 2 時)2420万画素1430万画素
センサータイプCMOS
センサーサイズ1.5APS-C1.5
手ぶれ補正レンズシフト方式
ファインダー実像式ズームファインダー
視度調整範囲:-3.0 – +1.0 m-1 (dpt)
視野率:77%
後付けEVF
0.48型
236 万ドット
内蔵EVF
0.39 型
236 万ドット
内蔵EVF
0.39 型
236 万ドット
背面液晶仕様3.0(TFT)
バリアングル
3.0(TFT)
上下チルト
3.0(TFT)
バリアングル
3.0(TFT)
バリアングル
背面液晶解像度92.2万ドット104万ドット104 万ドット
画像処理エンジンDIGIC5DIGIC6DIGIC7
バッテリーNB-10LNB-12LNB-13L
メディアSD メモリーカード
SDHC メモリーカード
SDHC メモリーカード
WIFIなしありあり
サイズ
幅 x 高さ x 奥行
116.7 x 80.5 x 64.7 116.3 x 74.0 x 66.2
(EVFなし)
115.0 x 77.9 x 51.4116.7 x 80.5 x 64.7 
重量(g)
*:本体のみ
**:バッテリー+メディア
492 *
534 **
516 *
553 **
375 *
399 **
450 *
490 **
リリース年2012.3.92014.3.132017.11.30?
カラーブラック
*1:アマゾンアフィリエイトリンク

オプション

  • バッテリーチャージャー CB-2LC ¥5,500
  • キヤノンフィルターアダプター FA-DC58C ¥2,750
  • レンズフード LH-DC70 ¥2,750
  • マクロライトアダプター MLA-DC1 ¥2,750
  • リモートスイッチ RS-60E3 ¥2,750

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.9.22

広告

  • いくつかの外部リンクは広告となっており、クリックするとサイト管理者に収入が発生する可能性がある。本ウェブサイト維持のためご理解とご協力をいただけるとありがたい。

  1. PowerShot G1X・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  2. PowerShot G1X Mark II・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  3. CANON EVF(EVF-DC2)・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  4. CANON NB-10L・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  5. LH-DC70 レンズ フード ・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  6. LH‑DC80レンズフード・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  7. キャノン FA-DC58C フィルターアダプター・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  8. キャノン FA-DC58E フィルターアダプター・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする

Shige's hobby