改造・Biogon T* 28
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CONTAX G BIOGON T* 28mmをアベノン光機でL39マウントに改造したレンズをデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影は、Leica M-P typ 240を使用
- 写真作例の撮影は、SONY α7SIIを使用
レビュー
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1.概要
ビオゴン 28mm F2.8は、1994年に京セラがコンタックス G1とともにリリースしたオートフォーカスレンズ。ここでは、アベノン光機にてライカ Lマウント(レンジファインダーカメラ距離計連動)に改造されたレンズについて紹介する。
本レンズを改造したアベノン光機(以下、AVENON)は、1982年頃に設立し、2024年現在すでに存在しない会社だが、過去にライカL39スクリューマウントのオリジナルレンズ、AVENON-SUPER-WIDE 21mm、AVENON 28mmの2本と、ライカMマウントのピンホールレンズをリリースし、それらは現在も中古市場で取引されている。
そのAVENONがCONTAX Gマウントの28mmレンズをMマウントに換装し、ライカM型カメラ距離計に連動する用に改造するサービスをおこなっていた。本レンズはその改造レンズの一本である。
AVENON改造レンズの特徴は、Gレンズにライカ距離計連動機構を追加しながら、オリジナルの鏡筒をほぼそのまま利用しているところだ。よって、絞り環はオリジナルと同じで1クリックストップごとにカチカチと気持ちよく止まる。絞り羽根もオリジナルの6枚羽を踏襲している。
改造レンズは最短撮影距離が0.5mから0.8mに変更されており、本レンズが改造された時代はフィルムカメラ全盛期でミラーレスカメラのない時代であり、ライカM型の距離計に連動しないところまでレンズを繰り出す意味があまりなかったことが要因の一つだろう。また、ライカM型の距離計連動限界0.7mまで寄れないのは、0.7m時のパララックスによる撮影結果のずれ、もしくは、近接時のピント精度不足を懸念したためと考えられる。
2.使用感
写真のブラック版ビオゴン28mmを入手する前に、シャンパンゴールド版を持っていたが、それはブラック版を手に入れたときに売ってしまった。ブラック版ビオゴン28mmの悲しいところは絞り範囲のリングが銀色で黒のボディとマッチしないところだ。この部分がブラックのプレートで白文字だったら、より完成されたデザインになると感じる。マニュアルフォーカスに改造されたヘリコイドはとてもスムーズで適度な重さがありピント合わせに全く問題無い。
レンズ自身の特長は、後玉がフィルム室にもぐりこむレンジファインダーカメラならではのレンズ構成で、前群3枚、後群4枚のほぼ対称型である。このため、撮影時の被写体の歪みは抑えられており、格子状の物も気持ちよく撮影できる。しかし、レンズ構成、コーティングはデジタル時代のことは考慮されておらず、使用するカメラのセンサーによっては、撮影画像の周辺部におけるカラーキャストの発生、被写体の縁にパープルフリンジが現れることがある。
3.付加情報
他のコンタックス Gマウントレンズの改造を依頼したMs-opticsは、G ビオゴン 28mmの改造もおこなっているが、アベノン改造レンズを先に入手したため、G ビオゴン 28mmについては改造の依頼をしていない。
2005年にCOSINA / Zeissのコンビで、BIOGON ZM 28mmがリリースされた。こちらはマウント面からのレンズ長が38mmで、改造したG ビオゴン 28mm のMマウント面からのレンズ長は31.7mmとなり、改造 G ビオゴンのほうがコンパクトだ。
レンズ長さはオリジナルG ビオゴンのマウント面からのレンズ長さは30.5mm、Gマウントのフランジバックが29mmで、ライカMマウントの27.8mmと比べると1.2mm長くなるため、改造したG ビオゴンのMマウント面からの長さは31.7mmとなる。
改造G ビオゴンがコンパクトなのは、Zeissが公式に配布しているPDFから作成した下図(実寸法に合うように画像サイズを調整している。)を見てわかるとおり、ビオゴンZMは前玉が大きく後玉が少し前進しているためである。この設計は周辺光量を確保し周辺減光を少なくすることと、後玉の位置を前進させることにより、レンズを通った光がまっすぐ撮像素子に入射するテレセントリック性の改善を狙っていると考えられる。
後玉の位置がわずかであるが前進している、ビオゴン 28mm ZMは周辺部のカラーキャストをおこす可能性が低くなっていると推測される。
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仕様
項目 | BIOGON G | BIOGON ZM |
焦点距離(mm) | 28 | 28 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 22 | 22 |
絞り羽根 | 6 | 10 |
レンズ構成 | 5群7枚 | 6群8枚 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | 0.5 |
レンズ長(mm) | 31.7(オリジナル 30.5) | 38 |
レンズ最大径(mm) | 56 | 53 |
フィルター径(mm) | 46 | 46 |
重量(g) | 150 | 220 |
フード | GG-1 | Carl Zeiss レンズシェード 25mm/28mm |
マウント | G | ZM |
リリース年 | 1994年 | 2005.4.29 |
定価(¥/税別) | ¥57,000 | ¥95,000 |
参考リンク
- WikipediaによるZeiss Biogonの説明ページ
- Zeiss Photography Historical Products(リンク先ページ中段にCONTAX Gレンズのデータシートあり)
- CONTAX G BIOGON 28mm アマゾンアフィリエイトリンク
更新履歴
- 2025.03.02
- 2024.7.30
- 2024.06.24:改稿
- 2024.01.21:改稿
- 2022.04.09:初稿