VディスタゴンとライカSのマリアージュ

HASSELBLAD V DISTAGON 50mm T*をLEICA S Typ007で使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー


1.概要
ディスタゴン 50mm T*は、古いハッセルブラッドVマウントレンズ。
ライカ Sシリーズは、45mm x 30mmの中判デジタルセンサーなので、0.8倍の係数がかかり、35mm判換算では40mm相当になる。
絞りはハーフストップなしの、F4〜F22までほぼ等間隔である。電気接点はない、Cタイプのレンズである。無限から最短の0.5mまで250度程度の回転角がある。所有している個体は鏡筒色がブラックのT*コートあり、566xxxxのシリアルナンバーから1973年の製造とわかる。
レンズ鏡筒に「LENS MADE IN WEST-GERMANY」と刻印されている。
フィルター径は67mmで一般的なネジ込みフィルターを装着できる。
フードは67mmねじ込み式の円形フードが提供されている。プラフードのように見えるが金属製でしっかりしたフードだ。
マウントアダプターはライカ純正の以下のアダプターを使用しているが、レンズシャッターを駆動する機構はなくカメラとレンズを繋ぐ筒である。

2.使用感
若干のカビありレンズだが、撮影結果をみると逆光時においても顕著なフレアや乱れはないので通常の使用には問題ない。
焦点距離50mmで6×6中判フィルムをカバーするイメージサークルを持っているため、LEICA Sシリーズの45mm x 30mmの中判デジタルセンサーで使用したとき、歪みなく、周辺減光もなく、端正な映像が撮影できる。
最短撮影距離は0.5mと特別寄れるわけではないが、必要十分な近接撮影能力だ。
購入時に低速側シャッタスピードが不安定とのことを聞いているが、LEICA S typ007で使うかぎり、撮影にはカメラ側のフォーカルプレーンシャッターを使用するため、内蔵しているコンパーシャッターに出番はない。
フォーカスリングは一番手前にあり、マウントアダプターを経由すると多少マシになるが、若干回しづらい。
また、ハッセルブラッド Vマウントレンズのオールドレンズは鏡筒を含めすべてが金属製なのは物としての質感はよいが、重いこととフォーカスリングも金属製で細かなギザギザ加工があり、微妙なフォーカス操作を長時間していると指が痛くなる。
このレンズは2本目だが、すでに所有しているV プラナー 80mmのフォーカスリングも同様に金属製で細かなギザギザ加工があるので同じ問題をかかえている。
レンズはかなりの安値で購入したのでレンズ内側にカビが見えるため、そのうち綺麗にしてやろうと思っている。
3.付加情報
HASSELBLAD VマウントのCシリーズレンズのDISTAGON 50mmは、シルバー T*なし、シルバー T*あり、ブラック T*ありの3種類を中古市場で見る。
7群7枚のレンズ構成はT*コートのない古いレンズから変化はない。
CF、CFi、ZVレンズになると、8群9枚のレンズ構成に変わっている。古いDISTAGON 50mmでも中判デジタルセンサーであれば十分な写りをしているので、どこが改良されているのか興味がある。
下図はCARL ZEISSのレンズデータベースより引用した。C DISTAGON 50mmの図はPDFが粗かったため図を修正している。レンズサイズと位置はおおよそで合わせているため厳密な比較ではない。あくまでこの程度違うとイメージするための図だ。


VマウントのDISTAGON Cは40mm、50mm、60mmの3種があり、3本のレンズサイズを比較すると、焦点距離の最も短い40mmが前玉が大きくレンズも大柄で、60mmがもっともコンパクト、50mmはその中間的なサイズとなる。いずれも35mm判カメラで使うには少し大きいサイズだ。
LEICA Sとハッセルブラッド Vレンズのマウントアダプターは、LEICA純正以外にMetabones社から同様の働きをする「ライカS用 ハッセルVアダプター」が発売されている。ライカ純正にくらべると安価なことが特徴だ。
仕様
参考文献・参考リンク
- ZEISS製造終了レンズ・データシート
- HASSELBLAD C DISTAGON 50mm F4
- HASSELBLAD CF DISTAGON 50mm F4
- CARL ZEISS ZV DISTAGON 50mm F4
- ハッセルブラッド製造年を調べる方法について記述されたページ
更新履歴
- 2025.03.15