x1.4テレコン可 MACRO ELMAR R 100mm

x1.4テレコン可 MACRO ELMAR R 100mm

マクロ・エルマー R 100mm F4(ROM)をHASSELBLAD X2D-100CとLEICA M-P typ240で使用したレビューと写真作例

目次

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

MACRO ELMAR 100mmは、1968年にリリースされた最大撮影倍率1:3のレンズ。撮影倍率をハーフ以上(1:2)にするためには接写用の延長チューブが必要だ。等倍まで拡大する場合はレンズ単体とベローズユニットが必要になる。
通常のヘリコイド付きレンズは正式には等倍マクロに対応していない。

  • 等倍マクロハーフマクロ最大撮影倍率1:3の違いは、ネットで調べればたくさんの情報がある。その内容を要約すると、ある対象物を撮影したとき、フィルムもしくはセンサー上で、撮影対象が実物と同じ大きさになる状態を等倍 1:1といい、半分の大きさになる状態をハーフ 1:2、1:3は実物の1/3まで拡大できる。
  • デジタルカメラはセンサー上の画像をモニターで見るため、実サイズと撮影された対象の大きさを比較することが困難なので、等倍、ハーフ、1:3という表記はデジタルカメラでは実感しづらい表記だ。

MACRO ELMAR 100mmはマクロレンズで標準状態では鏡筒に1:4まで目盛りが刻まれており、ヘリコイドはそれを超えて繰り出せて最大撮影倍率の1:3程度までは寄れる。

MACRO ELMARIT 100mm専用延長チューブを使用すると、絞り操作は延長チューブ側でおこなえる。マクロ・エルマー60mm専用は絞りメモリがF2.8はじまりだが機構的には同じなので流用は可能である。延長チューブの装着時には注意が必要でレンズ側の絞り値をF22にしておく必要がある。

接写リングを使う場合は緑の倍率表示で1:1.75まで目盛りが刻まれており、ハーフマクロを少し超えた拡大倍率となっている。

ライカの接写リングにはMACRO ELMARIT 60mmの専用、MACRO ELMAR 100mmの専用、3カム汎用、ROM端子付き汎用などがある。

このレンズは1/2/3カムでリリースされており、Rカム / ROM端子付き製造されておらず、ROM端子付きは1/2/3カムからの改造品となる。所有レンズは3カムをROM端子付きに改造されたものだ。

2.使用感

MACRO ELMAR 100mmは、ライカのエルマーの名前のとおり絞り開放値を抑えてあるため、絞り開放から破綻のない描写をする。

レンズの色補正はAPOが冠されていないレンズなので、被写体周辺部に偽色が見えることがある。
レンズの曇りの影響もあるかもしれないが、逆光耐性もそれほどよくなく、太陽がはいるとコントラストが低下した写真になる。

本レンズは中古市場ではあまり使い込まれた個体を見ることは無く、美品状態の品をよくみかける。値段も3CAM以前ならば5万円程度からみかけるため入手しやすいレンズだ。

このレンズは2度購入しており、3CAM版を購入し少し使っていたが使用頻度の低さから売ってしまった。2023年に3CAM改造のROM端子付きを見つけたので再度購入した。

ROM端子付きレンズはLEICA SL Typ601を含むLEICA SLシリーズ、LEICA T,LEICA TLシリーズ、LEICA CLで使用する際は、マウントアダプターに純正のLEICA R-Adapter-L (16076) を使用すると、RマウントのROM端子付きレンズは、カメラ側にいくつかの情報を伝えることができる。

このMACRO ELMAR 100mmは使用可能なレンズが少ないことに定評のあるテレコンバーター、APO EXTENDER x1.4を使うことができるのだ。

LEICA M typ240の作例は、APO EXTENDER x1.4を使って撮影した写真も載せてある。

MACRO ELMAR 100mmにAPO EXTENDER x1.4を使用すると、明るさはF5,6へ1段暗くなるが、焦点距離は140mmとなる。テレコンバーターを使う場合、レンズの持っている最短撮影距離は変わらないため、より被写体をクローズアップした写真を撮ることができる。

APO EXTENDER x1.4の対応レンズは以下の通りで、望遠レンズのみ対応している。これは、APO EXTENDER x1.4の構造はレンズに装着するとき、マスターレンズの内部にテレコンの先端が入り込むようになっており、一般的なレンズによく見られるマウント付近にレンズのガラスがある場合、APO EXTENDER x1.4とガラスが干渉し装着することができない。

  • 100mm f4
  • 180mm f/2 APO
  • 180mm f/2.8 APO
  • 180mm f/2.8
  • 280mm f/2.8 APO
  • 280mm f/4 APO
  • 400mm f/2.8 APO
  • 400mm f/4 APO
  • 560mm f/4 APO
  • 560mm f/5.6 APO
  • 800mm f/5.6 APO
  • 800mm f/6.3
  • 105-280mm f/4.2

本レンズはイメージサークルが大きく、HASSELBLAD X2Dで撮影結果をみると、空の入った写真においても周辺減光や像の乱れはほとんど感じられない。同じサイズのセンサーを使用しているFUJIFILM GFXシリーズも同様の結果を得られる。

3.まとめ

結論としてMACRO ELMAR 100mmをまとめると、コンパクトだがレンズ単体ではそれほど寄れないため、市場の人気がないことがうなずけるレンズだ。

高感度の使えるミラーレスカメラであれば、ちょっとだけ寄れる中望遠レンズとして描写には文句はない。

この後で述べるように、Rマウントマクロでは、APO MACRO ELMARIT(AME) 100mmを選ぶ撮影者がほとんどと考えられる。

仕様・考察など

ライカの100mmマクロレンズは、有名なAPO MACRO ELMARIT(AME) 100mmとこのMACRO ELMAR 100mmの2つがある。そのうちのどちらかを選ぶかを考えたとき、通常はAMEを選択する人が多いだろう。しかし、このMACRO ELMARにはコンパクトで空量が軽いという利点がある。AMEは760g、ME100は540gと3割程度軽い。

項目AMEMacro Elmar
焦点距離(mm)100100
最大絞り2.84
最小絞り2222
絞り羽根78
レンズ構成6群8枚3群4枚
最短撮影距離(m)0.450.6(鏡筒目盛り
レンズ長(mm)104.5120
レンズ最大径(mm)7367.5
フィルター径(mm)5555
重量(g)760540
リリース年1986年1968年
製造本数20,00016,254

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参考情報

更新履歴

  • 2025.7.30
  • 2025.1.5
  • 2024.2.9:改稿
  • 2023.03.25:初稿

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