HASSELBLAD HC 3.5/35
HASSELBLAD HC 35mm F3.5をX1D,X1DII(907Xにも適用可能と考える)で使用した記録
目次
<ギャラリー>
<レンズの印象>
HC/HCDレンズとしては10本目に入手した。
FUJINONブランドのレンズを格安で購入したので、シャッター速度は1/800でX H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*でAF(オートフォーカス)が使用できないことはわかっていた。
購入した後にレンズの状態を確認すると少しバルサム切れがみられるが、年代物だし値段も格安だからしょうが無いだろう。
X1DIIでレンズ情報を確認すると、ファームウェアは9.0.0でシャッター回数は約1000回であった。
MFフィールは良好で、EVFのピント拡大機能を使い問題なく狙った位置での撮影ができる。
HCD35-90mmを持っているため、そちらでまかなえる場合が多いが、HC35mmではXH CONVERTER 0.8*の性能をフルに発揮できると考えて購入した。
X H Lens Adapter*を使用した場合、逆光下でも特に問題は無く、Phocusを介して出力される画像は周辺部まで乱れなく結像しており、周辺減光も見られないので、44×33センサーで使用するのに十分な性能があることがわかった。
XH CONVERTER 0.8*を使用した場合も、周辺まで解像し像に歪みがなく、周辺減光(Phocusの補正込み)がないことを確認できた。HCD35-90の焦点距離35mmと異なり焦点距離23mmをカバーしている。
レンズ構成は複雑な10群11枚のレトロフォーカス型で、レンズの仕様書を確認するとレンズ性能はHC50mm1型と似ており、周辺部の画質低下がきになること、歪みは外側で最大2%程度あることが読み取れる。HC50mmは周辺部の画質向上のためリニューアルされたが、HC35mmはリニューアルされなかった。主流センサーサイズとの兼ね合いから現在のレンズの性能で問題ないとの判断?、新ズームHCD 35-90mmレンズの35mm域が十分な性能であったため?など、勝手な推測はできるが正式な情報は持ち合わせていない。
レンズ単体重量が1kgでコンバータ(175g か 430g)とカメラ(766g)を足すと2〜2.2kgとなり、HCレンズをつけたX1D-IIとしては比較的気軽に持ち運べるカメラになる(比較対象が2.6kgオーバーのHCD35-90mmを装着した状態よりは気軽)。
2種類のアダプターで29mm、23mmと焦点距離を使い分けられる。
HC 35mmの仕様でハッセルブラッドHシリーズ、Xシリーズで、x1.7テレコンを使用することはできない。レンズ後端のガードがテレコンと干渉するように作られており物理的に装着できない(HCD24/HCD28も同様のガードがあり装着できない)。

<レンズの仕様>
HC 3.5/35はHASSELBLAD Hシリーズカメラ用の広角・焦点距離35.8mmのレンズで、HCシリーズなので、中判カメラHxDで使用する場合、センサーサイズ 40.2×53.7mmまでカバーし、そのとき焦点距離は約24mmになる。
X1D/X1DII(907X)では、X H Lens Adapter*かXH CONVERTER 0.8*を経由して本レンズを使用できる。
X H Lens Adapter*を使用した場合、焦点距離約29mmになる。
XH CONVERTER 0.8*を使用した場合、焦点距離23mmになる。
*リンク先はrakutenのMapcamera
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 35.8 | |
最大絞り | 3.5 | |
最小絞り | 32 | |
レンズ構成 | 10群11枚 | レトロフォーカス型 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | |
レンズ長(mm) | 124 | |
レンズ最大径(mm) | 100 | |
フィルター径(mm) | 95 | |
重量(g) | 975 |

<アクセサリー互換性>
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できる。
- イメージサークルは中判フィルムサイズまでカバーする。
- Converter H 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できない。
<AF対応について>
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*)を経由してX1D,X1DII,907Xに装着しAF(オートフォーカス)を駆動させるためには、レンズファームウェアの領域が拡張された18.0.0以降のレンズが必要である。17.0.0以前のレンズに18.0.0以降のファーウウェアを適用しても領域が足りないため変更できない。
レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり100%AFに対応している。
オレンジドットのないレンズでも、AF対応可能なものはあり、レンズシリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズ(シリアルナンバーがSから始まるレンズは2000年代に製造されたレンズ)についてはファームウェア領域が拡張されているレンズが多くAFに対応できる可能性が高い。しかし、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のファームウェアを確認するのが最も確実である。
古いシリアルナンバーでも修理時にユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
<FUJINONレンズについて>
HCレンズにはFUJIフィルムブランド(SUPER EBC FUJINON)のものがあり、HASSELBLAD HCカメラで使用できるが、シャッターユニットが1/800時代のものしかなく(こちらは致命的ではない)、レンズファームウェアが古いため(こちらが致命的)、XCDマウントカメラ(X1D,X1DII,907X)でAF(オートフォーカス)を利用するために必要なファームウェア(HCレンズファームウェア19.1)を導入することができない。
そのためマウントアダプター(X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*)を経由してXCDマウントカメラ(X1D,X1DII,907X)装着してもAFは使用できない。
*リンク先はrakutenのMapcamera
また、FUJINONブランドのHCレンズは、HASSELBLADの修理サポート対象外でFUJIフィルムによる修理サポートも終わっているため、故障時に対応することができない。HASSELBLADブランドのHCレンズは古くてもHASSELBLAD社にて修理対応してもらえる。
FUJIブランドのHCレンズは格安で売られているが、購入時は注意が必要である。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D,X1DII,907Xと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
<参考リンク>