Ms-Optics H PETZ 57mm F2をデジタルレンジファインダーカメラとミラーレスカメラで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例は以下のカメラを使用した。
レビュー


1.概要
Ms-Optics H PETZ 57mmは、MS-Optics(宮崎光学)の歴史シリーズ第3弾でペッツバール形式をオマージュしたレンズ。
4群4枚のレンズ構成はオリジナルのペッツバールと同じだが、ペッツバール型レンズは長焦点レンズであり、そのままではライカMマウントには不向きである。そのため一般的に使い易い焦点距離にするため、宮崎氏独自の解釈でレンズ構成を見直し、焦点距離57mmが採用されている。
最短撮影距離は0.7m、0.8mまでライカM型カメラの距離計に連動する。
2.使用感
Ms-Optics H PETZ 57mmは、いずれのカメラで使用しても順光では無難な描写をするが、絞り開放は逆光ではフレア気味でゴーストが発生し、周辺部に2線ボケが気になる場合がある。
焦点距離57mmについて、設計者の宮崎氏に伺ったところ、このレンズ構成は57mmより焦点距離を短くする(広角にする)ことは求めるレンズ性能に達しなかったため57mmが限界だったと聞いている。
また、本レンズの利用者から「使ってみると想像していたよりも普通のレンズだった」とのフィードバックをもらったと宮崎氏は残念そうに語っていた。普通のレンズという評判を覆すために収差コントロールが可能なVARIO PETZ 57mm F2が作られる。
デジタルレンジファインダーカメラ
MS H PETZ 57mm F2の撮影に使用したLEICA M10とLEICA M-P typ240はともに35mmフルフレーム2400万画素センサーを搭載したデジタルレンジファインダーカメラで、撮影結果をみると順光では中央部の描写は2400万画素の解像度に十分堪えることができる。
焦点距離57mmはレンジファインダーカメラのファインダー枠の無い焦点距離で、手持ちでは唯一のKONICA L HEXANON 60mm F1.260mm微妙な焦点距離でミラーレスカメラのEVFで使用する際は問題にならないが、M型ライカレンジファインダーで使用する場合、50mm枠より少し内側が写ることを意識して使用すると問題ない。
ミラーレスカメラ
LEICA SL Typ601は35mmフルフレーム2400万画素センサーを搭載したミラーレスカメラで、撮影結果をみると逆光下においてフレア気味でゴーストが発生していることがわかる。レンジファインダーカメラ同様に中央部はしっかりと解像している。
SONY α7Siiは35mmフルフレーム1200万画素センサーを搭載したミラーレスカメラで、画素数が少ないため前述の2000万画素クラスのカメラよりも画像は整っているように見える。
より小さなセンサーサイズのカメラでは、APS-Cセンサー搭載のカメラは焦点距離が57mm * 1.5=85mm、マイクロフォーサーズ規格のカメラは57mm * 2=114mmと長焦点になるため使用していない。
これらの小センサーカメラではレンズの中央部分のみを使用するため、35mmフィルム判のセンサーを積んだカメラより、周辺部がカットされるため描写が安定するが、逆光時のフレアとゴーストは画面全体に現れるため、センサーサイズの小ささでは避けることはできないと考えられる。
中判デジタルミラーレスカメラ
HASSELBLAD X2D-100Cは1億画素の44mm x 33mmの中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラで、35mmフィルム判の換算焦点距離は57mm *0.8=46mm相当のほぼ標準レンズとなる。イメージサークは中判デジタルセンサーをカバーしており周辺減光はほぼ見られないが、周辺部の画像のくずれは発生するため、センサー全面が画像として使用可能かは撮影画像の用途によるだろう。中心部の解像度は高いため中心部の被写体を浮き上がらせる構図のであれば十分に使える。絞りをF5.6程度にしても周辺部のくずれはそれほど改善されない。
HASSELBLAD X2D-100Cはメカシャッターを搭載していないカメラなので、撮影時にローリング歪みをおこすことがある。同じ中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラ富士フイルムGFXシリーズはメカシャッターを搭載しているため、Mマウントレンズをより大きなセンサーで使う場合の選択肢となるだろう。

3.まとめ
Ms-Optics H PETZ 57mmはMs-Opticsの宮崎氏が歴史的なレンズをオマージュして設計したレンズの1本。元々のベッツバールが長焦点レンズであったため、標準レンズに近い焦点距離で設計されたレンズは、独特のボケというペッツバールらしさが薄れてしまい、周辺部に崩れの見られる普通のレンズになってしまった。
イメージサークルは中判デジタルセンサーをカバーする広さがあるが、周辺部のくずれはあるため実用できる場面は限られる。
仕様・考察など


| 項目 | PETZ / VARIO PETZ | VARIO PRASMA |
| 焦点距離(mm) | 57 | 50 |
| 最大絞り | 2 | 1.5 |
| 最小絞り | 16 | 16 |
| 絞り羽根 | 4群4枚 | 4群6枚 |
| レンズ構成 | 12 | 12 |
| 最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.5 |
| レンズ長(mm) | 37 | 43 |
| レンズ最大径(mm) | 50 | 50 |
| フィルター径(mm) | 40.5 | 40.5 |
| 重量(g) | 110 | 135 |
| フード | 専用円筒型40.5mm逆ネジ込み | 専用円筒型40.5mm逆ネジ込み |
| マウント | ライカM | ライカM |
| リリース年 | 2018 | 2019 |
| 定価(円・税別) | ¥75,000 | ¥90,000 |
参考情報
- Description of Petzval lens from Wikipedia
- VARIO PRASMA 50mm・Shige’s hobby
- VARIO PETZ 57mm・Shige’s hobby
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更新履歴
- 2025.10.29
- 2025.6.18
- 2024.11.15
- 2024.02.15:改稿
- 2022.01.26:初稿


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