洒落た置物 Rolleiflex MiniDigi AF5.0

Rolleiflex MiniDigi AF5.0のレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
レビュー


1.概要
Rolleiflex MiniDigi AF5.0は、2006年2月25日に駒村商会から発売されたミニチュアデジタルカメラ。
カメラ仕様は以下のとおりで、新品には付属物として、本革製ストラップ、256MBのminiSDカード、CR2電池1本が付属する。
- 300万画素のイメージセンサー
- レンズは実焦点距離4.9mm、F2.8、1群3枚構成
- 画像記録は3種類あり、H、N、Sだ。Hは画素補完の500万画素モード(2304×2304ピクセル)、Nは標準の300万画素モード(1536×1536ピクセル)、Sは縮小サイズ(768×768ピクセル)
- 最短撮影距離は10cm
- シャッター速度は1/15~1/2,500秒、オート設定のみ
- 露出調整とホワイトバランスはオートのみ
- 記録メディアはmini SDカード
- カメラに日付保持機能は無し
- 電源はCR2リチウムイオン電池1本で、連続撮影時間は約2時間
- 本体サイズは49×45×73mm(幅×奥行き×高さ)、電池を含む重量は100g
miniSDカードは下写真の方向で挿入する。miniSDカードスロットの下にCR2電池の格納場所がある。


2.使用感
Rolleiflex MiniDigi AF5.0はミニチュアデジカメ、トイデジなので画質はまったく期待できない。それでも撮れる写真はチェキっぽく、このような画像を好み人もいるだろう。
カメラの外観に惹かれて手に入れてみたが、撮影するとなかなかの曲者で、好みの写真を撮るために試行錯誤した結果を記す。
結論、このカメラは洒落た置物
まず、このカメラフルオートである。カメラ自身で設定できる項目は記録画素数のみだ。センサーの画素数が300万画素でこれで記録するのがデフォルトのNモード、それを500万画素への補完水増しするHモード、60万画素への縮小するSモードの3つの画像サイズで記録できる。
画像センサーのラティチュード、いわゆる再現可能な明るさの範囲はとても狭く、白飛び、黒つぶれは常に発生する。そして、撮影意図を反映するための画質調整機能は露出補整、ホワイトバランス、シャッタースピードなどをカメラ側で調整することはできず、オート設定しかないため意図的にアンダーにして主題を浮かび上がらせるような使い方をカメラ側の設定でおこなうことはできない。
このため、撮影者はこのカメラのオートの振る舞いの癖を掴んで、カメラが自分の意図に合うように動作させる必要がある。操作はすべてオート前提のカメラで、任意の位置でフォーカス&露出&ホワイトバランスをロックしてから、構図を変えて撮影が可能か、以下3つについて試してみた。
1.フォーカス
始めに、オートフォーカスのフォーカス動作はかなりのんびりしており、フォーカス結果もどこに合わせているのか液晶画面を見てもわからない。操作としてはシャッターボタンを押込むことにより「FOCUSING」と表示され、この操作でフォーカス動作を実施しているようだ。
オートフォーカスで何枚撮ってみて撮影結果をみるとで3m先くらいが一番フォーカスが合っているような気がする。しかし、空などの無限遠はフォーカスが狂ってるのかと思うほど、ピントがクリアーな写真にならない。これはセンサーの解像度が結果程度の物なのだと納得するしかなかった。
基本的に撮影者にできることは少ないので、3mくらいの位置にフォーカスして撮影するのが無難との結論を得た。
2,ホワイトバランス
つぎに、ホワイトバランス、空を撮るとほとんどの場面でオートホワイトバランスは悲しい結果をもたらし、シアンへ色が転ぶ。これは画像処理ソフトでなんとでもなるので画像処理ソフトを使える撮影者は気にしなくてもよい。しかし、カメラが出力するオリジナル画像命の撮影者にとっては我慢ならないだろう。
以下はあまりよろしくないサンプルだが以下の写真はなんとか修正できている。
- 左がオートホワイトバランスでシアンかぶりしている。
- 右はホワイトバランス、コントラスト、露出、輝度を調節した結果。
調整結果がヘボいのは画像の持っているポテンシャルが低いので調整幅が狭いためだと力説したい。


色がおかしくてどうにもならないときは、撮影画像の階調はそれなりに撮れるので、白黒変換すると少し見栄えのする絵になる。
3.露出
最後に露出だ。通常のカメラは露出調整は絞りとシャッタースピードで調整するが、このカメラ1群3枚のレンズの前後に機械絞りをはさむような芸はしているとは考えられず、おそらく絞りの概念はなく、シャッタースピードについてもメカシャッターが入っているような音はしないので、センサーシャッターで撮影していると思われる。
よって、このカメラに撮影者の意図を反映させるためには、センサーのシャッタースピード=露光時間を如何にカメラに調整させるか、これが肝と思われる。
推論1:シャッタースピードがシャッターボタンを押してフォーカスしたときに決定→固定されるのであれば、シャッタースピードが好みの速度になりそうな明るさの被写体を選んでシャッタースピードを固定して、構図を変更すれば意図した撮影ができそう。
推論2:シャッタースピードがシャッターボタンを押して離した撮影時に決定→固定されるのであれば、推論1の動作は無駄であり、撮影者の意図をカメラに反映させる方法はないと悲しい結論になる。
さて、実験したみた結果。
たぶん、推論1が正解、フォーカス時に3原色の一つ緑の物体に3mくらいで合わせてから、構図変更して撮影すると、露出OK、ピント位置OK、ホワイトバランスOKとよい感じに写ってくれた。
下の写真、左はノウゼンカズラでフォーカス動作をして、そのまま撮影した結果で空の明るさにひっぱられて、ノウゼンカズラが暗くなっている。右はノウゼンカズラの下にある濃い緑色の植木でフォーカスしてから、ノウゼンカズラに構図を持ってきて撮影している。濃い緑のおかげでシャッタースピードが遅くなり、ノウゼンカズラの色が明るくなり空は白に飛んでおり、ほぼ狙い通りの結果だ。


撮影方法もけっこう独特で、マニュアルに記載されている撮影方法は以下のとおりで、今回のようなフォーカスをしてから構図を変える操作方法は想定されていないようだ。
「構図を決め、シャッターボタンを最後までしっかりと押し込んでから直ぐに離してください。カメラは自動的に、ピント合わせ、撮影、画像保存、を連続して行ないます。この時、ディスプレイ上には、FOCUSING→CAPUTURING→SAVINGと表示が変わります。」
今回は、好みの明るさの位置でFOCUSING→構図変更→CAPUTURING→SAVINGとしている。
撮影時はカメラ横のレバーを回してシャッターチャージをする必要があり、雰囲気をだすためのギミックだと思われるが、正直あまり意味はない。むしろ巻忘れて撮影できなくて、ああ、回さないとと思うことがある。電源オフ時でも回すことができるので、シャッターチャージではなく物理的なスイッチと思われる。
液晶モニターの表示品質は低く、明るいところではまずみえない。そして暗いところだと辛うじて見えるけれど、表示されるプレビュー画像はかなりいい加減でオーバー目に映ったような表示が多い。実際にPCで良かったり悪かったりなのでカメラの液晶表示は当てにならない。とりあえず撮ってみて結果をみてのお楽しみだ。
撮影される画像は2眼レフカメラ・ローライの魂を受け継いでか、正方形の画像を記録するようになっている。センサーサイズがマニュアル等にないため画像センサーの詳細は不明だが、コストのかかる専用センサーを搭載しているとは考えがたく、通常の3:2センサーをクロップして使用している推測される。
電源を落とすと画質設定がNに戻る。Hは補完画像だしLは60万画素でNで使っていれば十分なので不満とまでは言わないがデジカメとしては如何な物かと思う。
このカメラディスプレイカバーのを跳ね上げると、跳ね上げた板に撮影ガイド小窓が開くギミックがある。マニュアルはこの小窓は実際の撮影位置とズレるため、ディスプレイでの撮影を推奨されている。しかし、ディスプレイもほぼ当てにならないので、割り切ってこの小窓をガイドに撮影するのもいいかもしれない。
また、このカメラ日付の設定ができない。撮影すると画像のExifに2047年12月31日の日付が入る。
電池はリチウム電池のCR2を使用する。電池を入れっぱなしにしていると消耗するとのことがマニュアルに記載されているため、どうせ日付、時計機能もないので、使い終わったら電池を抜くのが良い。
記録メディアはmini-SDカードで、昔から集めているメモリーカードコレクションの中に64MBのカードがあったのでなんとかカメラを実用することができた。amazonでは2025年現在、いくつかの業者が中古のmini-SDカードを販売しており、microSD→mini-SDカード変換アダプターも売られており、入手して使用したところ、変換アダプター+1GBのmicroSDカードをカメラは認識している。
また、AMAZONでは「Rollei MiniDigi af5.0変換レンズ0.45 Xワイド/マクロマグネットマウント」「MiniDigi AF5.0 0.38x スーパーワイドレンズ」の2種類のオプションが売られている。定価は数千円だったが、すでに終売した製品でAMAZONの業者はかなり強気な値付けをしており購入する気にはなれない。このオプションもせいぜい2千円くらいなら入手してもよいと思える。
3.まとめ
結論としてRolleiflex MiniDigi AF5.0をまとめると、肩肘張らずに使う玩具のデジカメで素敵な置物と言える。
解像感や画質は期待してはいけないが、慣れてくると自分好みの露出の合わせ方が分かり、好みの写真が撮れるようになる?このカメラを使っていると写真は露出が命と再確認させてくれるカメラだ。
仕様・考察など
このカメラは、今はKENKO TOKINAにカメラ事業を移管した、駒村商会が企画して中国でつくらせたトイデジカメだ。ブランドはRolleiだが外装以外の中身に、Rolleiのエッセンスはまったくない。
Rolleiのブランド料込みとは言え、このデジカメが定価4万円なのはなかなか強気な価格設定だったと思える。
もちろん、中古で購入したのでそんな金額は払っていない。
このカメラは2025年現在も、CHUZHAO ヴィンテージミニデジタルカメラとして、これの進化版が売られている。
進化点としてはセンサーが1200万画素にアップ、記録メディアをmicro-SDカード、電源にリチウムイオン充電池を採用と、現代デジカメのスタンダートな仕様を満たしている。AMAZONでは割引を入れると5000円程度で買えるのでお遊びと割り切るとそう悪くないかもしれない。
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- Rollei MiniDigi af5.0変換レンズ0.45 Xワイド/マクロマグネットマウント
- MiniDigi AF5.0 0.38x スーパーワイドレンズ
- CHUZHAO ヴィンテージミニデジタルカメラ
参考情報
- 駒村商会、スペックアップしたミニチュアデジカメ「Rolleiflex MiniDigi AF5.0」
- 駒村商会(カメラ事業はKENKO TOKINA(ケンコープロフェッショナルイメージ)に移譲)
- Rolleiflex MiniDigi AF5.0 マニュアル
- Rolleiflex MiniDigi AF5.0 コンバージョンレンズマニュアル
更新履歴
- 2025.8.13
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