ミラーレス適応・S ANGULON R 21

ライカ・スーパーアンギュロン 21mm F3.4をミラーレスカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はHASSELBLAD X2D
レビュー


1.概要
ライカ・Rマウント、スーパーアンギュロン R 21mm F3.4は、1964年から1968年までに1530本作られた広角レンズ。
F3.4版はフィルムのライカ SL向けにリリースされたレンズだが、フィルムのライカ SLで使うときは、カメラのミラーと干渉する後玉を回避するために、ミラーアップしてからという面倒なレンズである。
ところがミラーレスカメラは、その名称の通りミラーが無いため、後玉の張り出しに干渉しない。そのため一般的なレンズと同様に扱うことができる。そこで表題は「ミラーレス適応・S ANGULON R 21」とした。
最短撮影距離は0.2m、∞から最短撮影距離までの回転角は350度程度ありほぼ全周する。
鏡筒の操作部は、レンズ付け根に絞り環、フォーカスリングはレンズ前方、レンズ鏡筒の厚みが薄くタイトなレイアウトだが、適切な段差が設けられているため誤操作をすることはない。
レンズ固定方法も凝っており、レンズストッパー部分をあらかじめ合わせてマウントに装着し、写真の銀色のスライドパーツを回転させてレンズを固定する。
絞り羽根はスーパーアンギュロン伝統の4枚羽。
2.使用感
ミラーレスカメラである、HASSELBLAD X2Dに装着すると下図左のようになる。HASSELBLAD X2Dは中判デジタルセンサーを採用しているため、センサー全面の空間に余裕があり、スーパーアンギュロンのような後玉の張り出したレンズの装着に問題が少ない。
下図右は最新のライカLマウントアダプターを装着した状態で、Lマウントもフルサイズセンサーであれば問題なく装着できる。ただし、手持ちのカメラのAPS-Cサイズセンサーを積んでいるLEICA T typ601はセンサー側壁と後玉が干渉するため、使用できない。


HASSELBLAD X2Dでスーパーアンギュロン R 21mm F3.4を使用すると、イメージサークルは足りていないが、一部の35mmフルサイズセンサーでは顕著に見られる、周辺部のカラーキャストは発生していない。
実際に撮影画像の使用可能な部分を分析すると、下図の枠打ち側が実用可能な範囲となる。
44mmの横幅のセンサーのうち82%が使用可能で、横幅36mmをギリギリカバーしている。
35mmレンズで実用することは問題ない。
周辺部のカラーキャストが発生しないセンサーであれば、対称形レンズの歪みのない描写が楽しめる。

3.付加情報
スーパーアンギュロン R型は2種類あり、F3.4版はMマウントの流れをくむ対称型レンズで後玉が大きくマウント側にせりだしている。F4版はレンズ構成をレトロフォーカス型に変更され一般的な一眼レフカメラで使用可能だ。
両レンズともにドイツ・シュナイダー社の設計。
ライカ・Rマウント、スーパーアンギュロン R 21mm F3.4をカメラに装着する際、センサー設置部の側壁にそれなりの空間があることを確認する必要がある。APS-Cサイズセンサー、マイクロフォーサーズセンサーなど小さなセンサーの場合、張り出した後玉が側壁と干渉する可能性がある。35mmフルサイズセンサーはほぼ問題ないと考えられるが、確認はするべきである。
このように癖のあるF3.4版は市場価格に大きなバラツキがあり、販売店によってはライカ広角レンズとは思えないほど安く買える。
F3.4版のような後玉がせり出した対称型の光学系の広角レンズは、一部の35mmフルサイズセンサーで使用すると周辺減光だけでなく、周辺部にカラーキャストが発生することも、不人気の一因だ。
仕様
項目 | F3.4版 | F4版 | VARIO ELMAR |
焦点距離(mm) | 21 | 21 | 21-35 |
最大絞り | 3.4 | 4 | 3.5-4 |
最小絞り | 22 | 22 | 22 |
絞り羽根 | 4 | 4 | 6 |
レンズ構成 | 4群8枚 | 8群10枚 | 8群9枚 |
最短撮影距離(m) | 0.2 | 0.2 | 0.5 |
レンズ長(mm) | 19 | 43.5 | 66.3 |
レンズ最大径(mm) | 70 | 78 | 75 |
フィルター径(mm) | シリーズ8 | 72 or シリーズ8.5 | 67 |
重量(g) | 228 | 420 | 500 |
フード | 14170W | 12506 14145(フロントキャップ) | 12438 |
製造本数 | 1530- | 10,850- | 3,400(2005まで) |
リリース年 | 1964 | 1971 | 2001- |
参考リンク
- 参考文献:R型ライカのすべて/著者:中村信一/朝日ソノラマ編 Ads by Amazon
- 参考リンク:SuperAnglon 21mm F3.4 Leica wiki
更新履歴
- 2025.3.10
- 2024.02.25
- 2023.03.30
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