SIGMA AF APO TELE MACRO 300mm F4 HSM
お手軽サンヨンレンズ
シグマ・AF APO TELE MACRO 300mm F4 HSMのレビューと作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はSIGMA SD10
レビュー
シグマ・AF APO TELE MACRO 300mm F4 HSMはシグマ社が1995年にリリースした望遠レンズ。
レンズ名にAPO TELE MACRO HSMがついており、”APO”は「アポクロマート補正」の略で色収差の低減、”TELE”は望遠、”MACRO”は近接撮影、”HSM”は超音波モーター搭載となっている。
このサンヨン(300mm F4)というレンズは1990年代において、300mm F2.8(サンニッパ)が素人が手にする望遠レンズの頂点とすると、それよりも一段暗いが安いレンズと言うことで、カメラ・メーカー自身がサンニッパを買えない層の受け皿として販売していた。
対照的にサードパーティーのトキナーとタムロンは300mm F2.8をサンヨン程度の価格でリリースしており300mm F4レンズはリリースしていなかった。カメラメーカーでもあるシグマは300mm F2.8と300mm F4の両レンズを販売していた。
代表的なサンヨンレンズには以下のようなものがある。ニコンは超音波モーター搭載以前に通常モーターのサンヨンもリリースしていた。
- CANON EF 300mm F4L USM
- NIKON AF-S 300mm F4
- MINOLTA 300mm F4 APO G HS
- SIGMA APO TELE MACRO 300mm F4 HSM
2000年代にはいると、300mm F4という焦点距離と明るさはズームレンズがカバーしている。
400mm F5.6同様に、シグマSD10のころから使用していたレンズで、SD10のセンサーサイズでクロップすると、1.7倍勘定となり510mmの焦点距離となる。
レンズはインターナルフォーカスを採用しており、使用時にレンズ長の変化は無い。
オートフォーカス(以下、AF)のフォーカス速度はカメラ側の性能によるところが大きいため、カメラによって評価は変わるが、SD10、SD14で使用したかぎりは、このレンズが搭載している初期のHSM(High Speed Motor / Canonで言うところのUSM)は瞬発力があって高速とは言えない。しかし、超音波モーターの利点である、静かでスムーズなレンズ駆動は道具として気持ちが良い。このモーターはよく壊れると言われたが、所有しているレンズは使用頻度のためか、二十数年経っても特に問題は発生していない。
単焦点レンズなので、フォーカスリング、撮影距離制限スイッチ(制限無し、無限〜3m、3m〜1.2mの3つ)とAF/MFの切り替えスイッチがある。
フードは組み込み式だが、引き出してもそれほど長さがないため遮光効果は高くない。
描写は現代レンズのような切れは望むべくもないが、それなりの解像感と色のりを見せてくれ、SD10ぐらいの画素数であれば比較的満足度の高い絵を手に入れることができる。サンプルは止まっている写真を上げているが、その影では多くのぶれ写真を生産している。
最短撮影距離は、1.2mと寄れる望遠レンズでコンパクトなサイズから、田舎の街中で猫や野鳥を狙うのに重宝したレンズだ。
このレンズはキャノンEF向けマウントレンズを購入して、自力でシグマSAマウントに換装している。以前は詳細な写真付きの記事も上げていたが、今はそんな需要は無いだろうから、簡単に作業方法について記録を残しておく。
この改造レンズは、シグマSAの1.4倍テレコンと2倍テレコンを使用してAF撮影が可能だ。AFの合焦精度は落ちるがよほど高速の物でなければ捕らえることができる。しかし、通常でも若干キレの足りない描写ががさらに落ちるため実用上は微妙である。
- ここからの作業は改造を推奨する物ではない。
同じように作業をして、壊れてジャンクレンズが増えたり、その他あらゆる問題が発生しても当方では責任は取れないため、自己責任で実施していただくようお願いする。
用意する物
- シグマSAマウントレンズ・マウントしか使わないので、安いレンズを探してくるのがいい。
- シグマEFマウントレンズ・これを改造対象になるので、保証もなにも無くなって、失敗すると壊れることを覚悟する。
- 半田ごて
- 半田
- 電線(細め)
作業
- シグマSAマウントレンズからSAマウント側のネジを外してマウントを取り外す。
- はんだ付けされた信号用のフレキケーブルをマウントから外す。(ハンダゴテで接続部を溶かすのでで火傷に注意)
- シグマEFマウントレンズからEFマウント側のネジを外してマウントを取り外す。
- はんだ付けされた信号用のフレキケーブルをマウントから外す。(ハンダゴテで接続部を溶かすのでで火傷に注意)
- 1,2で外したSAマウントを元EFマウントレンズから出ているフレキケーブルに同じ順番で接続していく。フレキケーブルをマウントに直付けするのは難しいので、細めの電線でマウントとフレキケーブルを接続するのが簡単だろう、端から付けていくと端子が一個余るが気にしない。
- 作業が終わったら、ケーブルをレンズに押し込んで、SAマウントをレンズに取り付けてネジ止めする。なんとネジ穴の位置もピッタリでなんの苦労もない。
- これでシグマEFマウントレンズをシグマSAマウントをレンズに換装できる。
- 余った方のレンズをEFマウントレンズにできるが、レンズROM問題*1によってキヤノンカメラでレンズを認識しない可能性が高いので、作業をするのは無駄だと思う。
- *1:昔のサードパーティーレンズはカメラメーカーの正式許諾をうけずにリバースエンジニアリングでレンズ側のファームウェア(ROM)を造っていた会社があり、カメラへの只ノリはゆるせんということで、カメラメーカーがカメラに装着されたレンズに搭載されたファームウェア(ROM)が正規品か否かを判定して、正規品で無いファームウェアを積んだサードパーティ製レンズは正常に動作しないと言うことがあった。
シグマのEFマウントとSAマウントはフランジバックが一緒だけでなく、電気信号はほぼ一緒なのだ、もちろんこまい作動電圧の違いや、細かい制御仕様の違いで、モーターが燃えたり、レンズ動作に不具合が出る可能性はあるかもしれないが、今のところ問題なく稼働している。
40mm F5.6と同様にSAマウントレンズは需要が少ないため売却せずに今も手元にある。たまに使うと現代レンズのような切れはないが、古き望遠レンズの描写を楽しむことができる。
仕様
項目 | APO TELE MACRO 300mm HSM | AF-S 300mm F4 | EF 300mm F4L USM | MINOLTA 300mm F4 APO G HS |
対応センサー | 35mmフルサイズ | ← | ← | ← |
焦点距離(mm) | 300 | ← | ← | ← |
最大絞り | 4 | ← | ← | ← |
最小絞り | 32 | ← | ← | ← |
絞り羽根 | 9 | ← | 8 | ← |
レンズ構成 | 7群10枚 | 6群10枚 | 7群8枚 | 7群9枚 |
最短撮影距離(m) | 1.2 | 1.45 | 2.5 | ← |
レンズ長(mm) | 195(SA) | 222.5(F) | 213.5(EF) | 220.5(A) |
レンズ最大径(mm) | 87 | 90 | 90 | 82+α |
フィルター径(mm) | 77 | ← | ← | 82(フロント) 42(リア) |
重量(g) | 1,298(SA) 三脚座無し | 1300(F) 三脚座無し | 1,165(EF) | 1,410(A) |
付属品 | フロントキャップ リアキャップ | ← | ← | フロントキャップ リアキャップ フード ケース |
リリース年 | 1995 | 2001 | 1991.12 | 1994 |
対応マウント | CANON EF SIGMA-SA NIKON-F(HSMなし)*1 PENTAX-K(HSMなし) SONY-A(HSMなし) | NIKON-F | CANON EF | SONY-A |
価格(税別) | 185,000円 | 149,000円 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.07.02
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