LEICA SUMMARON M 35mm F2.8
ズミクロン鏡筒の廉価なレンズ
ズマロン M 35mm F2.8のレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
- LEICA SUMMARON-M 35mm F2.8 写真例(Leica M8使用)
レビュー
1.概要
ズマロン 35mm F2.8は、1958年にリリースされた8枚玉初代ズミクロンと同じ鏡筒を持ちレンズ構成が異なる廉価版レンズだ。
参照リンクのLEICA Wikiページによると1958年から1968年の10年間に5.24万本作られている。
ズマロンの名は28mmと35mmだけで採用数の少ない名称である。
レンズマウントはMマウント版とLマウント版、メガネ付きはM3向けでMマウント版のみである。いずれのレンズは無限遠位置にストッパーが装備されている。
レンズフードは鏡筒が初代ズミクロンと同一なので、フード名称:IROOAが使える。無限遠のストッパーがあるためフードの逆付けができないのは初代ズミクロンと同様である。
2.使用感
ズマロン 35mm F2.81はズミクロンより半段暗い微妙なポジションのレンズだ。
2024年と比べるとずいぶん安い値段で売っていたので、興味本位で使ってみたが、古いレンズのためか曇りがあったためかはわからないが、逆光時に派手なゴーストの映り込み、フレアによるコントラストの低下が見られた。順光時は35mmレンズとして普通の写りだった。
無限位置のストッパーは、使用者によって有無の好みが分かれるところだが、マニュアルフォーカスレンズの適度なヘリコイドの重さがあるレンズであれば、このようなストッパーが無くとも焦点距離がずれて困ることはないため必須の装備とは思わない。
しかし、その機能には肯定的で、レンズを無限に戻したとき自然とロックがかかるため、現代のAFレンズのようにスライドスイッチをスライドさせるという一手間を省いているのはよい。
また、状態のよいレンズであれば、無限遠に戻したときにカチッと気持ちの良い音がして、現代ではコスト的にありえない機械仕掛けの精密なギミックは所有物としての満足感を高める効果がある。
3.付加情報
伝説のズミクロンと廉価なF3.5ズマロンに挟まれる本レンズ、そして、レンジファインダーの35mmは、50mmと並んで選択肢の多い焦点距離だ。その焦点距離35mmレンズの中において、本レンズに飛び抜けた特徴があるかと問われると返答に困る。
レンズ構成は、ズマロン35mm F3.5(サンハンズマロン)2とほぼ同じで、ライカWikiの図を見るかぎり、レンズ後部の貼り合わせレンズと最後玉の隙間、前玉の大きさなどが異なるように見られるが、微調整で明るさをF2.8まで引き上げていると考えられる。
ズミクロン 35mm34の絞り開放値F2まで明るくするためには、レンズ構成を根本的に見直しているため、ズマロンのF3.5とF2.8が同じレンズ名称というのは妥当な括りだ。
ライカ M8が売られていた2000年代は本レンズを10万円以下で見かけることもあり、ストッパー機構などを含めて、8枚玉ズミクロンの気分を味わうことができる、お財布に優しいレンズだったが、2020年代は眼鏡無しレンズで20万円以上のプライスで見かけることもあり、とても高価になったと感じる。
製造本数をみるとライカRレンズなどよりはよほど数が作られているのに、現状の価格を維持しているのはM型ライカの人気の一端だが、本レンズによほど興味が無ければ、あえてこのレンズを選択して所有するという意味は少ないと思う。
本レンズは年代によって、ブルーコーティングなど、レンズコートの違いを示して販売しているショップもあるが、デジタルカメラで撮影するのであれば、レンズの状態の方が描写に影響するので、コーティングはおまけくらいに考えておくのが無難だが、Flickerなどをみると海外の愛好家はそれについて比較している人もいるため、気になる場合はそちらを参考にできるかもしれない。
個人的には有り余る財力を使う分には良いが、無理して買う場合はオールドレンズと言うことをしっかりと認識していないと後悔するかもしれない。
ライカ自身は世界中にコレクターがいるため売る相手を間違えなければダメージは少ないと思うが、国内業者を通すとに売値は高額だが下取り価格はその半分から1/3程度になってしまうはずである。とくにコートの劣化、バルサム切れが少しでも見られると、店舗相手では買値の足下を見られるので購入時に注意が必要だ。
仕様・比較
項目 | ズマロン(後期) | ズマロン | ズミクロン(初代) |
焦点距離 | 3.5(cm) | 35(mm) | ← |
最大絞り | 3.5 | 2.8 | 2 |
最小絞り | 22 | 22 | 16 |
絞り羽根 | 10 | ← | ← |
レンズ構成 | 4群6枚 | 4群6枚 | 6群8枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 眼鏡=0.65 | ← | ← |
レンズ長(mm) マウント面からの距離 | – | 29 | 29 |
レンズ最大径(mm) | 51 | ← | ← |
フィルター | E39 | ← | ← |
フード | IROOA | ← | ← |
マウント | M | ← | ← |
重量(g) | 195 | 135 | 150 |
リリース年 | 1946~ | 1958~ | 1958~ |
参考文献・参考リンク
- LEICA WikiによるSummicron 35mm f2・説明ページ
- LEICA WikiによるSummaron 35mm f2.8・説明ページ
- LEICA WikiによるSummaron 35mm f3.5・説明ページ
更新履歴
- 2024.8.22
- 2024.02.19
- 2022.12.25
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