Voigtlander SUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5
L39スクリューマウント・15mm超広角レンズ
スーパー・ワイド・ヘリアー15mm F4.5のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA M9とEPSON R-D1
レビュー
スーパー・ワイド・ヘリアー15mm F4.5は、1999年にコシナ・フォクトレンダーからリリースされた、L39スクリューマウントの超広角レンズ。
本レンズは後述するように、3世代に渡りリリースされ2024年現在も現役で売られている。3代目から価格は上がっているが、まだまだリーズナブルな価格だろう。時流に合わせて、EマウントとZマウント版もリリースされている。
このレンズを最初に使用したのはエプソン R-D1で、レンズ本来の焦点距離15mmはR-D1のAPS-Cサイズセンサーでは22.5mmの広角レンズとなる。
R-D1の内蔵ファインダーは22.5mmの焦点距離に対応していないので、24mmの外付けファインダーで構図をつくっていた。元々視野率が85%程度なので、このくらいのアバウトさで十分に対応できる。近接撮影時の視差にだけは注意が必要であるが、そこも気にしていてはレンジファインダーカメラを楽しめない。
リコーのGXR MマウントもAPS-Cサイズセンサーなので、同様の焦点距離となる。こちらは、背面液晶かEVFを使うため、構図あわせに関してはR-D1寄りも正確におこなうことができる。
このレンズは広い焦点距離と優秀な描写から長らく使い、ライカM8のAPS-Hサイズセンサーでは焦点距離20mmのレンズとなりより広角感が出てくる。
このレンズの本来の画角である15mmはライカM9で使用し、作例をみればわかるとおり、癖の強いライカ M9のコダック製35mm判フルサイズセンサーにおいても、中心部の十分な解像感、広角レンズにありがちなカラーキャストが発生するはなく、周辺部の減光、像の乱れも気になるレベルではなく安心して使えるレンズだ。
ほんのすこしの欠点として、寄ったときの後ボケの汚さが見られることがあるが、これは0.3mまで寄れることが災いしていると思われるが、寄れるという機能的利点は重要なので使い方に気をつければ問題ないだろう。
紹介している初代のスーパー・ワイド・ヘリアー15mmは、M型レンジファインダーカメラと距離計が連動しないため目測での使用となる。絞り開放F値が4.5と暗いレンズなので、絞り開放でも目測でおおよその距離を合わせる撮影でおおきくピント面を外すことはなかった。最短撮影距離が0.3mと寄れることも利点であった。
初代の15mmはL39スクリューマウントであったが、2代目でMマウント互換のVMマウントになり、ライカM型カメラの距離計に連動するように改良された。しかし、VMマウント版は2代目、3代目は最短撮影距離が0.5mに変更されている。
VMマウント版から1年後にSONY Eマウント版を発売し、2023年には名称から”III”を取り除いたニコン Zマウント版も発売されている。
Eマウントは0.3m、Zマウントは0.126mへと最短撮影距離の短縮され、レンズ構成は同一だが、ボディ内手ぶれ補正との連動、レンズ情報のカメラへの伝達など、デジタル時代に対応したレンズの改良が図られている。
最短撮影距離の改善などミラーレスマウント版は専用マウント品を買う価値を提供しているのは、一眼レフ時代のマウント部だけを変更するリリース形態とはあきらかに異なったスタンスだ。専用品をつくるのは在庫を抱えるという販売上のリスクもあるため、ミラーレスカメラの普及と売れ行き予測の精度向上により部品在庫の最適化などがなせる技であろうか?
VMマウント版は汎用的なレンズの位置づけとなり、専用マウントを作るほど売れるとは思えないマイナーなミラーレスカメラのためにマウントアダプター経由で使うためのレンズとなっている。一眼レフ時代は孤高のマウントであったMマウントがユニバーサルマウントの地位を確立するとは数十年前には想像もしていなかった。
同じような画角にホロゴン 15mm、ホロゴン 16mmがあるが、これはまったく性格の異なるレンズである。ホロゴン 16mmのページで紹介しているように、フィルム面に限りなく後玉が近いホロゴンはデジタルカメラでは、カラーキャストのおこる確率が高く、周辺部の減光も大きいため、普通に撮影することを考えると、このウルトラ・ワイド・ヘリアー 15mmを選択するのが理にかなっている。
ホロゴンには、理を越えた魅力があることも事実なので、普通の広角レンズに飽きたら、使ってみてもよいのではないだろうか?しかし、多くの人は飽きて売りに出してしまうため、ホロゴン 16mmの中古在庫は市場につねにあるように感じられる。
仕様
項目 | スーパー・ワイド・ヘリアー15mm・初代 | 2代目 | 3代目 | E | Z |
焦点距離(mm) | 15 | ← | ← | ← | ← |
最大絞り | 4.5 | ← | ← | ← | ← |
最小絞り | 22 | ← | ← | ← | ← |
絞り羽根 | 9 | 10 | ← | ← | ← |
レンズ構成 | 6群8枚 非球面レンズ1枚 | ← | 9群11枚 | ← | ← |
最短撮影距離(m) | 0.3(距離計非連動) | 0.5 | ← | 0.3 | 0.126 |
レンズマウント | L39スクリュー | VM | ← | E | Z |
レンズ長(mm) | 30.7 | 38.2 | 55.2 | 62.3 | 67 |
レンズ最大径(mm) | 49.6 | 59.4 | 64.8 | 66.4 | 67.6 |
フィルター径(mm) | – | 52 | 58 | ← | ← |
フード | レンズ組み込み | ← | ← | ← | 専用着脱式 |
重量(g) | 105 | 156 | 247 | 290 | |
リリース年 | 1999.02 | 2009.4 | 2015.3.19 | 2016.4.27 | 2023.2.7 |
価格(定価・税別) | 65,000(銀色)/ 65,000(黒色) | 65,000 | 95,000 | ← | 118,000 |
参考文献・参考リンク
- COSINA製品PDF(Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical)
- COSINA製品PDF(Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical II)
- Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical III VM-Mount
- Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical III SONY E-Mount
- Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical NIKON Z-Mount
更新履歴
- 2024.8.5
- 2024.04.15
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