T28A・広角マクロと直進ズーム

タムロン 28A 28-135mm F/4.5-4をPENTAX K20Dで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はPENTAX K20D
レビュー


1.概要
タムロン 28A 28-135mm F/4-4.5は1983年に発売された、マウントにタムロン・アダプトール2を採用した標準・直進ズームレンズ。
タムロン 28A の特徴として、広角側の焦点距離28mm時に最短撮影距離は0.26mと寄れ、ズーム操作に直進ズーム方式を採用しており、表題はそのまま「広角マクロと直進ズーム」としている。
レンズの詳細な仕様は表に載せているが、主な仕様を抜粋すると以下の通りである。
- 焦点距離 28mm~135mm
- レンズ構成 10群17枚
- 絞り開放値 F4~4.5
- 絞り羽根 6枚
- 最短撮影距離 0.26(28mm)
- フィルター径 67mm
- フード 45FH(ゴム製のはめ込み)
- マクロ機能は鏡筒に内蔵された補助ヘリコイドを使う

このレンズはマウントにタムロン独自規格であるアダプトール2を採用しており、マウント部分を交換することにより、各社の一眼レフのレンズで使用することができる。また、ニコンFやキヤノンEFマウントなどミラーレスカメラ用アダプタが多く用意されているアダプトール2アダプターを経由すると、最新のミラーレスカメラで使用できる。
2.使用感
タムロン 28A はアダプトール2のマニュアルフォーカス(以下、MF)広角28mmから中望遠135mmをカバーし、PENTAXのAPS-Cセンサー(センサー倍率 x1.5)で撮影すると、35mm判換算で42mm〜202.5mm相当のズームレンズとなる。
古いレンズで曇りが入ってることもあるため、28mm〜135mmの全域で柔らかい写りになる。
28mmの最短撮影距離0.26mの広角マクロで撮影するとき、軟らかさがさらに強調され優しい画像を得ることができる。
使う場面を選べば十分に実用的なレンズだ。
所有しているレンズは遠景の描写が甘いため、マクロ専用のレンズとなっている。
マクロ撮影でも少々難しいところがあり、望遠端の135mmは1m程度にしか寄れないため、28mmの最短撮影時(0.26m)の画像と135mmの最短撮影時(1m)の撮影結果の被写体サイズはほぼ同じ大きさになり、被写体を捉えるサイズはほとんど変わらないのが残念だ。
当然といえば当然だが、最短撮影距離が異なる焦点距離で同じであれば、焦点距離の短い28mmの最短撮影はワイドに被写体を捉え、焦点距離の長い135mmの最短撮影はよりアップで被写体を捉えることができる。
この28Aは35mm判フィルムに対応したレンズだが、APS-Cサイズセンサーで使用するとセンサーサイズのため周辺部がカットされ撮影画像の印象がよくなる。
デジタルカメラの解像度に対応したレンズではないため、35mm判フルサイズセンサーのα7Siiでも使用したこともあるが、周辺部の像に乱れが見られたので、35mm判フルサイズセンサーで使うのは実力不足と感じた。よって、APS-Cサイズセンサーで使うのが適している。
フードを所有していないため、太陽が入る場面ではゴーストが発生していた。このゴーストがフードでカットしきれるかは不明だ。
PENTAX製デジタル一眼レフカメラの手ぶれ補正機能を使う場合、このレンズには焦点距離をカメラに伝達する機能がないため、手動でブレ補正のための焦点距離を入力する必要がある。ズームするたびに入力し直すのは面倒なので焦点距離中間ぐらいの80mmにセットして、50〜135mmの間は手ぶれ補正を使用している。広角側は手ぶれ補正がなくても困ることは少ないので、広角使用時は手ぶれ補正スイッチをオフにしている。
アダプトール2レンズをPENTAX Kで使うためのアダプターには、絞り優先AE(Auto Exposure)が使えるPK-Aマウントダプターがあるが、所有しているアダプタターは接点の製造誤差からデジタルカメラで利用する場合、露出制御が不安定になるため、実絞りで使用するPK-MマウントアダプターかM42マウントアダプター+PENTAX純正K-M42マウントアダプター(マウントアダプターK)で利用している。
一眼レフカメラで実絞りで撮影するとき、絞り値を大きくするとファインダーが暗くなる弊害がある。この点ではミラーレスカメラの電子ビューファインダー(EVF)は絞り値が大きくなると自動的に明るさが補正されるので扱いやすい。
3.付加情報
タムロンは売れ筋のズームレンズを多くラインナップしており、28mmはじまりのレンズも多くある。
- 1980年:07A:28-50(回転ズーム)
- 1983年:27A:28-80(回転ズーム)
- 1983年:28A:28-135(直進ズーム)
- 1986年:44A:28-70(回転ズーム)
- 1988年:59A:28-70(回転ズーム)
- 1991年:159A:28-70(回転ズーム)
- 1994年:71A:28-200(回転ズーム)
- 1997年:167A:28-105(回転ズーム)
- 1998年:171A:28-200(回転ズーム)
28mmからはじまるアダプトールレンズのなかで、この28Aだけが直進ズームを採用しており、他のレンズはすべて回転ズームを採用している。
直進ズームレンズは、焦点距離の変更は直進移動、フォーカス位置の変更はその直進移動する鏡筒を回転させておこなうレンズである。
マニュアルズームレンズの操作性としては直進ズームはズーム操作とフォーカス操作をリングを持ち替えることなくできるため合理性がある。とくにタムロンは望遠系ズームは直進ズームを多く採用しており、広角ズームレンズが回転ズームをこれほど採用していることは今回調べるまで気がつかなかった。
回転ズームは、オートフォーカスレンズで採用されている2リングの操作方式で、焦点距離変更用のズームリングと焦点距離変更用のフォーカスリングがレンズに備えている。オートフォーカスカメラではズームリングはマニュアル操作、フォーカスリングはオートで使用することが一般的だ。
このため、多くのオートフォーカスレンズにおいては、フォーカスリングはおまけの扱いで、リング幅が狭くオートフォーカス時のモーター出力を小さくして電力消費を抑えるため、回転トルクはスカスカになっておりマニュアルフォーカス時の操作感はよくない。
28Aが直進ズームでリリースされたのは、望遠ズームレンズと操作性を合わせたレンズを用意するためにリリースされた可能性が高いだろう。
アダプトール2レンズの存在はマニュアルフォーカスカメラのための規格で、オートフォーカス一眼レフカメラのα700が発売されるのが1985年なので、ちょうど時代の変わり目を歩んだレンズ群となる。操作方法にバリエーション豊かなのは時代のためと考えられる。
仕様
項目 | 28A | 27A |
焦点距離(mm) | 28-135 | 28-80 |
最大絞り | 4-4.5 | 3.5-4.2 |
最小絞り | 32 | 22 |
絞り羽根 | 6 | 8 |
レンズ構成 | 10群17枚 | 8群9枚 |
最短撮影距離(m) | 0.26(28mm) | 0.36(80mm) |
レンズ長(mm) | 110.5 (Nikon-F) | 86.5 (Nikon-F) |
レンズ最大径(mm) | 70 | 70 |
フィルター径(mm) | 67 | 67 |
フード | 45FH | 47FH |
重量(g) | 771 (Nikon-F) | 480 (Nikon-F) |
マウント | ニコンF キヤノンEF ソニーα オリンパスOM キヤノンFD M42 ライカR など | ニコンF キヤノンEF ソニーα オリンパスOM キヤノンFD M42 ライカR など |
リリース年 | 1983~1988 | 1983~1987 |
価格(¥、税別) | ¥74,000 | ¥44,000 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2025.2.25