TAMRON 63B SP 180mm
明るい望遠180mm F2.5
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タムロン 63B SP 180mm LD [IF]をSIGMA SD9で使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はSIGMA SD9
レビュー
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1.概要
タムロン 63B SP 180mm F2.5は1992年に発売された、焦点距離180mmのタムロンアダプトール2マウントを採用した望遠レンズ。
主な仕様は、絞り開放値F2.5、最短撮影距離1.2m、インターナルフォーカスによるレンズ長の固定となっている。
レンズフードは、金属製のバヨネットフード73FHだ。
このレンズはマウントにタムロン独自規格であるアダプトール2を採用しており、マウント部分を交換することにより、各社の一眼レフのレンズで使用することができる。また、ニコンFやキヤノンEFマウントなどミラーレスカメラ用アダプタが多く用意されているアダプトール2アダプターを経由すると、最新のミラーレスカメラで使用できる。
2.使用感
タムロン 63B はアダプトール2後期のマニュアルフォーカス(以下、MF)望遠レンズ。
焦点距離180mで、SIGMA SD9のAPS-Cセンサー(センサー倍率 x1.7)で撮影すると、35mm判換算で306mmの望遠レンズとなる。
アダプトール2レンズをSIGMA一眼レフカメラに装着するためには、SIGMA SA-M42マウントアダプターとP/ESマウントアダプターを使うか、PENTAX K向けPK-Aマウントダプター、PK-Mマウントアダプターの絞り制御棒を除去してカメラに装着する。PK-A、PK-Mマウントアダプターがシグマカメラに装着可能なのは、PENTAX-KとSIGMA SAはマウント形状が同じであること、PENTAX-Kマウントのフランジバック45.5mmにたいし、SIGMA-SAは44mmと短くなっており、装着できれば最短撮影距離は少し長くなるが無限位置にピントをあわせることが可能なため使用が可能である。
シグマ一眼レフカメラでの使用時は実絞りでの使用となるため、絞り値を大きくするとファインダーが暗くなる弊害がある。この点ではミラーレスカメラの電子ビューファインダー(EVF)は絞り値が大きくなると自動的に明るさが補正されるので扱いやすい。
タムロンの35周年記念レンズということもあり、造りはしっかりしており、金属鏡筒で絞り開放値F2.5のレンズは856gとずっしりと重い。
幅広のフォーカスリングにより、フォーカスフィールはよい。マニュアルでの微妙なピント合わせもきちんとできる。
写りは、APS-Cサイズセンサーで使用した場合、中心部を使うため破綻は少ないが、逆光時にパープルフリンジが発生することがある。深さのあるフードを装着しておけば、逆光時に気になるフレアやゴー数河とが発生することはほとんど無い。フードを外して撮影したことがないため、フード無しの逆光耐性は不明だ。収納時は逆付け可能なフードなので、使用時だけフードを正位置にして使うのがよい。
焦点距離180mmは、若干単調な絵作りになってしまうが、1.2mの最短撮影距離を生かして、単焦点レンズの醍醐味である足で被写体との距離感を調整して撮影するのがよい。
3.付加情報
63Bは35周年の金プレートのついた限定版と通常版があるらしいが、実はこのレンズは3回購入しているが、毎回金プレート付きだった。グーグルイメージや中古市場で眺めていても金プレート版しか見たことが無いため、金プレート無し版が何本つくられたのか興味深い。
単焦点レンズ時代の望遠レンズは200mmを越えるとじゃっかん特殊用途で、一般の撮影では135mmか180mmの2択だった。しかし、一眼レフ向けレンズはズーム時代に突入し、70-200mm F2.8という大口径ズームレンズが各社からリリースると、135mm、180mmの単焦点レンズはほとんど顧みられることはなくなった。
このレンズも、2000〜2010年代には良品が2万円程度で手に入ったが、レンズ数の減少にともない、良品はじわじわと価格が上昇している。
ミラーレス時代に入り単焦点レンズへの回帰も見られるが、それは広角レンズが主であり、望遠側は100mm程度が限度で、180mmクラスの単焦点レンズがリリースされる望みは薄そうだ。
ライカ製レンズはたくさんの180mmがラインナップされているが、本レンズは最新のAPOのついた2本、APO ELMARIT 180mm、APO SUMMICRON 180mmをのぞくと十分に勝負できる描写をする。
仕様
項目 | TAMRON | APO LANTHAR | TELYT |
焦点距離(mm) | 180 | 180 | 350 |
最大絞り | 2.5 | 4 | 4.8 |
最小絞り | 32 | 22 | 22 |
絞り羽根 | 8 | 9 | 8 |
レンズ構成 | 7群10枚 | 7群9枚 | 5群7枚 |
最短撮影距離(m) | 1.2 | 1.2 | 3.0 |
レンズ長(mm) | 124 | 79 | 286 |
レンズ最大径(mm) | 81.5 | 65.6 | 83.5 |
フィルター径(mm) | 77 | 49 | 77 |
重量(g) | 856 | 485 | 1820 |
フード | 73FH | LH-75S | 内蔵 |
マウント | ニコンF キヤノンEF ソニーα オリンパスOM キヤノンFD M42 ペンタックスK ライカR CY など | ニコンF オリンパスOM キヤノンFD M42 ペンタックスK CY | ライカR |
製造本数 | 3000+α | – | 2650 |
リリース年 | 1988-1992 | 2003.08 | 1979-1993 |
定価 | ¥133,000 | ¥65,000 | – |
参考文献・参考リンク
- TAMRON 63B・公式ページ
- アダプトールII MFレンズ
- https://themanualphotographer.co.uk/index.php/tamron-adaptall-2-sp-180mm-f2-5-ld-if-63b/
更新履歴
- 2025.2.10