T71A 万能な画角と撮影距離の制約

タムロン 71A 28-200mm F/3.5-5.6 AsphericalをPENTAX K20Dで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はPENTAX K20D
Cat・猫
TAMRON 71A(28-200) PENTAX K20D
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レビュー

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1.概要

タムロン 71A 28-200mm F/3.5-5.6 Asphericalは1994年に発売された、マウントにタムロン・アダプトール2を採用した高倍率ズームレンズ。

タムロン 71A の特徴として、28mm~200mm(35mmフィルム画角換算 75度〜12度)という広い焦点距離(画角)にある。しかし、最短撮影距離は2.1mと寄れないレンズであり、表題は「万能な画角と撮影距離の制約」としている。

レンズの詳細な仕様は表に載せているが、主な仕様を抜粋すると以下の通りである。

  • 焦点距離 28mm~200mm
  • 絞り開放値 F3.8-5.6
  • 絞り羽根 8枚
  • 最短撮影距離 2.1m
  • フィルター径 72mm
  • フード B5FH(プラ製のはめ込み)
  • 最短撮影距離を短縮するオプション「CLOSE UP ADAPTER LENS for 28-200 /3.8-5.6(72φ)A9FB
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このレンズはマウントにタムロン独自規格であるアダプトール2を採用しており、マウント部分を交換することにより、各社の一眼レフのレンズで使用することができる。また、ニコンFやキヤノンEFマウントなどミラーレスカメラ用アダプタが多く用意されているアダプトール2アダプターを経由すると、最新のミラーレスカメラで使用できる。

2.使用感

タムロン 71Aは、PENTAXのAPS-Cセンサー(センサー倍率 x1.5)で撮影すると、35mm判換算で42mm〜300mm(35mmフィルム画角換算 54度〜8度)の望遠寄りズームレンズとなる。

このレンズの総評としては、特別高性能ではないがそれほど酷い画質ではないので、アダプトール2マウントで複数のカメラでの使い回しを考えた場合、数千円の価格で曇りやカビがなく動作がまともであればると一本持っておいて損はないレンズだ。

写りは、APS-Cサイズセンサーで使用した場合、広角側の28mm〜100mm程度は絞り開放だと最新のレンズのようなキレる解像感はないがそれなりの写真になる。200mmでは色収差が目立つこともあり、古いレンズを感じさせる。

逆光耐性はよろしくなく、ゴーストやフレアはでやすい。

その対策のフードだが、レンズと一緒に売られていることは少ないが、2025年現在、フードを多く扱っている中古カメラショップ・Antiqualiyオークションサイトにて500円〜1000円程度で購入することができる。しかし、その外観を見るかぎり、円筒フードなので28mmでケラレないようにするため、フード全長は短く200mm時の遮光性には疑問がある。フード価格は安いためそのうち入手しようと考えている。

アダプトール2レンズをPENTAX Kで使うためのアダプターには、絞り優先AE(Auto Exposure)が使えるPK-Aマウントダプターがあるが、所有しているアダプタターは接点の製造誤差からデジタルカメラで利用する場合、露出制御が不安定になるため、実絞りで使用するPK-MマウントアダプターM42マウントアダプター+PENTAX純正K-M42マウントアダプター(マウントアダプターK)で利用している。

一眼レフカメラで実絞りで撮影するとき、絞り値を大きくするとファインダーが暗くなる弊害がある。この点ではミラーレスカメラの電子ビューファインダー(EVF)は絞り値が大きくなると自動的に明るさが補正されるので扱いやすい。

この当時のタムロンレンズは最短撮影距離にこだわりがないレンズがいくつかあり、このレンズは望遠端・焦点距離200mmの10倍というスタンダードな基準で作っている。そのため、200mmの10倍=2.1mとなるが、それを全焦点領域に適用したため、広角端の焦点距離28mmも最短撮影距離が2.1mとなっており、広角レンズの最短撮影距離としてはお話にならないほど遠い。

この広角端・焦点距離28mmで最短撮影距離 2.1mは風景を撮ることぐらいしかやりようのない距離感で、望遠端の200mmも2.1mとごく普通の値なので、被写体をクローズアップするような撮影は難しい。シグマ製レンズのズーム+マクロに慣れていると、ずいぶんと不便に感じられる。

ズームレンズに疎いライカのRマウントのズームレンズでも広角端28mmのあるレンズであれば、0.5m程度には寄れることが一般的だ。タムロン自身もさすがに、2.1mはマズいと感じたのか、前面にねじ込むクローズアップレンズ「CLOSE UP ADAPTER LENS for 28-200 /3.8-5.6(72φ)A9FB」を発売している。

A9FBは、レンズ71A前枠にはめ込みプラスチックのツメで引っかける、簡易的なバヨネットになっている専用品の体をしているが、製品としては汎用のレンズが1枚だけのクローズアップレンズで、装着すると焦点距離が2m〜1mに変化する。無限遠が使えなくなるため、簡易的なバヨネットで取り外しが簡単なのは利点だ。元々のレンズの解像感が高くないこともあり、コレを装着した場合に、顕著な画像の劣化は見られない。

PENTAX製デジタル一眼レフカメラの手ぶれ補正機能を使う場合、このレンズには焦点距離をカメラに伝達する機能がないため、手動でブレ補正のための焦点距離を入力する必要がある。ズームするたびに入力し直すのは面倒なので望遠側の120mmにセットして、50mm〜200mmの間は手ぶれ補正を使用している。広角側は手ぶれ補正がなくても困ることは少ないので、広角使用時は手ぶれ補正スイッチをオフにしている。

このレンズは、MFレンズということ、ラバーとプラスチック製でできたチープ感あふれる鏡筒、すでに詳細を記すした短撮影距離の点から中古市場では不人気レンズだ。
その価格はジャンクだと1000円〜、動作確認品でも3000円〜見かけるレンズだ。
ほぼまぼろしのMAMIYA ZEマウントのアダプターが付属して先ほどの動作品価格だったので購入した。とくにMAMIYA ZEに思い入れがあるわけではないが、珍しいマウントを見ると買ってしまう。

3.付加情報

71Aは同じレンズ構成でオートフォーカスの使える71Dが存在する。

このレンズが発売される頃のカメラはオートフォーカス一眼レフ全盛時代で、このレンズにも71Dというニコン、キヤノン、ミノルタ、ペンタックスに対応したオートフォーカスバージョンがある。

こちらは、純粋に71Aのオートフォーカスバージョンで使用に差はない。

このレンズの最短撮影距離は2.1mとまったく話にならない値なので、1998年に最短撮影距離を0.8mに縮めた171Aがリリースされる。といっても焦点距離28mm時にも0.8mなのでまったく寄れないことに違いは無い。この171Aがタムロン・アダプトール2マウント最後のレンズとなる。

2000年代に入ってからは、35mm判一眼レフカメラ向けに、焦点距離範囲28mm~300mmと望遠端を広げたレンズが投入され、センサーサイズの小さなAPS-C一眼レフカメラ向けは広角端が18mm程度からはじまる高倍率ズームがリリースされている。いずれも、最短撮影距離は短縮され利便性が高いレンズに仕上がっている。

2010年代のミラーレスカメラ時代に入ると、レンズサイズが大きくなりがちな、このような高倍率ズームは少なくなり、単焦点レンズやコンパクトなズームレンズが好まれている。

仕様

項目71A171A
焦点距離(mm)28-20028-200
最大絞り3.8-5.63.8-5.6
最小絞り2222
絞り羽根88
レンズ構成14群16枚14群16枚
最短撮影距離(m)2.10.8
レンズ長(mm)79
(Nikon-F)
75
(Nikon-F)
レンズ最大径(mm)8279
フィルター径(mm)7272
フードB5FHD5FH
重量(g)516(Nikon-F)508(Nikon-F)
マウントニコンF
キヤノンEF
ソニーα
オリンパスOM
キヤノンFD
M42
ライカR
など
ニコンF
キヤノンEF
ソニーα
オリンパスOM
キヤノンFD
M42
ライカR
など
リリース年1994~19981998
価格(¥、税別)¥49,000¥55,000

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2025.2.8

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