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ライカMマウント TIARA FUJINON 28mm F3.5

コンパクトカメラ TIARAに搭載されたSUPER EBC FUJINON 28mm F3.5をMマウントに改造したレンズをデジタルカメラとフィルムカメラで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

  • MINOLTA CLE +FUJIFILM 100
  • SONY α7sII
  • SONY α NEX-6
  • SONY α NEX-C3
  • PANASONIC DMC-GM5

レビュー

FUJINON FUJIFILM TIARA 28mmFUJINON FUJIFILM TIARA 28mm +MINOLTA CLE

1.概要

フジノン 28mm F3.5はフジフィルムのコンパクトカメラ、カルディア・ミニ・ティアラ(TIARA)カルディア・ミニ・ティアラ2(TIARA II)、海外名:DL Super miniに搭載された、SUPER EBC FUJINON 28mm F3.5をMs-optics(宮崎光学)が取り出し、同社が開発したライカMマウント・コンバート用ヘリコイド、MS-28に移植したMマウント・レンジファインダーカメラ距離計連動レンズ。

オリジナルのTIARAは35mmフィルムを使用するコンパクトカメラで、レンズは単焦点で焦点距離28mmとなっており、収差補正や周辺部の光量などをあまり考慮しない簡易なレンズのためとても小さい。
そのため、改造レンズは専用のレンズフードを足してもレンズ長 18mmとコンパクトに仕上がっている。

主な仕様は以下の通りで、詳細な仕様は表に載せている。

  • 開放F値 3.5
  • レンズ構成 4群4枚
  • 絞り羽根 12枚(Ms-Opticsにて取付)
  • 最短撮影距離 0.85m
  • ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.85m
  • フード 円筒型ネジ込み

2.使用感

フジノン 28mm F3.5・Mマウント改は、以下で詳細を記しているがフィルムカメラではごまかしがきいているが、デジタル化メレは周辺部の描写がかなり厳しい。この結果をみるとフィルムカメラとデジタルカメラで求められるレンズ性能に大きな差があることが実感できる。

レンズは逆光時に光源の向きによってゴーストが発生する。

レンズがコンパクトなため操作性が犠牲になっており、レンズとカメラ装着時にカメラマウントとの相性でガタ無く固く取付ができる場合、レンズ自身の指かかりが悪いためレンズを外すとき少々難儀する。そして絞りを操作する環が前玉のすぐ縁にあるため、絞り操作時にうっかりと前玉を触ってしまう危険性があるので注意が必要だ。

このレンズに取り付けられた、Mマウントヘリコイド MS-28は旧型のヘリコイドで、ヘリコイドの繰り出し距離はM型ライカの距離計連動範囲に限定されており、最短撮影距離は0.85mとなっている。
オリジナルのティアラでは0.35mまで寄れるため残念な点だ。

所有しているレンズの特長として、フードが固着しているのか固定されているのかわからないが外れない。元はL39スクリューマウントのはずだが、M/Lリングは固定されているようでこちらも取外しはできない。

■フィルムレンジファインダーカメラ

フィルムカメラはボディにMINOLTA CLE、フィルムはフジフィルムの100で撮影した。レンズはフィルムとの相性はよく描写に大きな破綻は感じられず、ネガフィルムの少しルーズな描写はこのレンズとよくマッチしている。

もともとコンパクトカメラでリバーサルフィルムを使うということは少ないと思われるが、リバーサルフィルムの粒状性の細かいフィルムだと周辺部の粗が気になってくると予想される。

これは使用したカメラの問題で余談だが、このMINOLTA CLEはレンズとともに購入したボディで、ずいぶんくたびれたカメラで、ピント合わせをする二重像がすっかり薄れており、撮影時のピント合わせに難儀した。

このレンズは比較的ゴーストが発生しやすいため、レンズとは別の視点で見るレンジファインダーカメラで撮影するときは、レンズのクセを把握して撮影者側で発生しないようにコントロールする必要がある。わざとゴーストを発生させたいときも同様である。

■ミラーレスカメラ

デジタルカメラはオールドレンズと比較的相性のよい、ソニー・α7sIIで撮影した。
α7sIIでの撮影結果をみると、中心部はよいが周辺部は像が崩れていることが分かる。

APS-CサイズセンサーのSONY α NEX-C3、NEX-6の結果をみると、周辺部のくずれは35mmフィルム判よりも小さいセンサーでも見られることがある。APS-Cサイズセンサーは35mmフィルム判よりも小さいため、撮影時の35mm版換算焦点距離は、1.5倍した42mm相当となる。42mmは辛うじて広角レンズの趣があるが、撮影間隔としては標準レンズに近い。

35mmフィルム判の1/4の面積となる4/3センサーは周辺部のくずれはほとんどカットされ、レンズ中心部のよい部分だけを記録するのでわりと普通のレンズになる。しかし、焦点距離が2倍となるため、35mm判換算56mmの焦点距離となるため広角レンズとして使うことはできない。

ミラーレスカメラはセンサーで取り込んだ画像を直接見ることができるので、ゴーストの対処はしやすい。

また、に35mmフルフレームセンサー搭載カメラでは、過去の経験から古めの35mm判フルサイズセンサーを搭載したカメラでは、撮影画像の周辺部にカラーキャストをおこす可能性もある。おそらくLEICA M9やLEICA M typ240などはその危険性が高い。

このレンズをデジタルカメラで実用的に使う場合、LEICA M8のAPS-Hサイズセンサー、フジフィルムX、ソニーα6x系のAPS-Cサイズセンサー、4/3センサーでの使用が適している。

最短撮影距離の不満については、ミラーレスカメラは各社から販売されている補助ヘリコイドを使うことで補うことができる。ミラーレスカメラで使う場合はこれを積極的に活用したい。

3.まとめ

結論としてフジノン 28mm F3.5をまとめると、フィルムカメラでネガフィルムを使用するには十分な性能だが、デジタルカメラでは周辺減光、色かぶりが目立つ場面が多く使いづらい。

35mmフルフレームセンサーよりも面積の小さなAPS-Cサイズセンサーでも同様の現象が発生知るため、レンズのイメージサークルがそもそも不足していると考えられる。

仕様・考察など

このレンズの銘板には”28mm F3.5”とだけ表記があり、京セラ T-Proof・テッサーレンズのように、銘板にレンズを示す”Tess”などの表記はない。そのため使用されたレンズを同定するため、購入前に28mm F3.5単焦点レンズを搭載したコンパクトカメラを探した。28mm F3.5の単焦点レンズ搭載カメラはフジフィルムのティアラ(ティアラ2)、ニコンのニコンミニ(AF600D)のどちかが候補に残り、レンズ前枠の形状からティアラの可能性が高いと判断した。また、ハヤタ・カメララボの宮崎光学レンズ改造ページにティアラレンズを改造した外観写真を見てティアラで間違いないとの確信をえることができた。

Ms-opticsにカメラを送って改造を依頼すると、レンズを取り外した元ボディを返却してもらえるため、それがあれば元カメラの同定は簡単だが、今回は沖縄リサイクルショップから、ミノルタ CLEにくっついた状態のレンズを、ジャンク扱いだがそれなりの値段で購入したため、元ボディがティアラなのかティアラ2なのかはわからない。

購入前に参考情報にあるサイトでレンズ情報を見たところ、ティアラのレンズはフィルム時代のレンズなので周辺部の描写は期待できない、デジタルとの相性が悪いとの情報があり購入には少し躊躇した。しかしMs-optics改造レンズマニアとしては本レンズを使う誘惑に勝てず購入した。

カルディア・ミニ・ティアラの小ネタ

  • 1994年発売
  • コンパクトなアルミ製ボディに28mmの単焦点レンズを搭載。1995年度グッドデザイン賞を受賞。

カルディア・ミニ・ティアラ2の小ネタ

  • 1997年発売
  • 初代モデルの改良後継機。露出精度が向上し、ストロボの変更などが施された。

参考情報にある、コンパクトカメラの解説をしたウェブサイトを見ると、ティアラとティアラ2では、レンズのコーティングに違いがありそうで写りに違いを感じると記載があるがが、現状比べようが無いため真相は不明である。また、レンズ構成図もネット上を漁り、古いカメラ雑誌を見たが、フジフィルムはレンズ構成図などをおおっぴらにしない社風のようで、4群4枚、非球面レンズを採用していることしかわからない。さすがにティアラのジャンク買ってきて真っ二つにする気は無いため、レンズ構成については不明である。情報があれば是非教えていただきたい。

項目ティアラニコンミニ(AF600)GR1
焦点距離(mm)282828
最大絞り3.53.52.8
最小絞り161616
絞り羽根12(Ms-Optics改造)12(Ms-Optics改造)7
レンズ構成4群4枚3群3枚4群7枚
最短撮影距離(m)0.850.850.35
レンズ長(mm)18.2
フード込み
レンズ最大径(mm)47.6
フィルター径(mm)
フード円筒型ねじ込みフードバヨネットフード
LH-6
なし
リリース年1994(ティアラ)
1997(ティアラ2)
20041996
製造本数15(2016年現在改造数)
重量(g)60
フード・M/Lリング・込み
120

参考情報

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更新履歴

  • 2025.11.14
  • 2025.3.26
  • 2024.8.5
  • 2024.03.17:初稿

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