15mm広角 SUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5 L39

フォクトレンダー スーパー・ワイド・ヘリアー15mm F4.5をフィルムカメラとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のとおりである。
- HEXAR RF +KONICA SINBI100
- LEICA M9
- NEX-5
- EPSON R-D1
- RICOH GXR
レビュー


1.概要
SUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5 L39は、1999年にコシナからフォクトレンダー ブランドでリリースされた、L39スクリューマウントの広角レンズ。
レンズ構成は6群8枚、最短撮影距離は0.3mとなっている。
レンズマウントはL39スクリューマウントで、レンジファインダーカメラの距離計に連動しない。
そして、レンズ前面にフィルターは装着できない。

2.使用感
SUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5 L39の描写は、35mmフィルムでは周辺減光も少なく本来の実力を見ることができる、解像感が甘いのはピントが少しずれているためだ。35mmフルサイズセンサーのLEICA M9では、癖の強いコダック製35mm判フルサイズセンサーにおいて、中心部の十分な解像感があり、周辺部の減光、像の乱れも気になるレベルではないが、青空を写した場面では、広角レンズにありがちなカラーキャストが発生する。
このレンズはM型レンジファインダーカメラの距離計と連動しないため目測での使用となる。絞り開放F値が4.5と暗いレンズなので、F8程度に絞れば目測でピント面を外すことはなかった。
そり小さいサイズのセンサーを詰んだカメラでは、今回は作例はないけれど、ライカM8のAPS-Hサイズセンサーで使用すると焦点距離 約20mmのレンズとなり、適度な広角感と周辺部をクロップしたことによる、画像の乱れやカラーキャストの影響がほとんど無くなる。
とくに広角側に不自由する、APS-Cサイズセンサーを搭載したカメラにおいて、約23mmの焦点距離を得られる貴重なレンズだ。35mm判フルサイズセンサーをカバーするのでレンズ中央の描写の良い部分だけを切り出して使用できるため、歪み、周辺減光、カラーキャストの影響がみられることは無くなる。
APS-Cサイズセンサー、EPSON R-D1では、内蔵ファインダーに15mmの焦点距離はないため、構図を決めるために外付けのファインダーを利用する必要がある。15mmを1.5倍した22.5mmのファインダーはVoigtlanderブランドで提供されているが、ほぼ同じ焦点距離の24mmの外付けファインダーで構図をつくっていた。
元々視野率が85%程度なので、このくらいのアバウトさで十分に対応できる。近接撮影時の視差にだけは注意が必要であるが、そこも気にしていてはレンジファインダーカメラを楽しめない。
SONY NEX-5にMマウントレンズアダプタ装着とRICOH GXR MマウントもAPS-Cサイズセンサーなので、同様の焦点距離となる。こちらは、背面液晶かEVFを使うため、構図とピント位置についてはR-D1と比べて正確におこなうことができる。
ほんのすこしの欠点として、寄ったときの後ボケの汚さが見られることがあるが、これは0.3mまで寄れることが災いしていると思われるが、寄れるという機能的利点は重要なので使い方に気をつければ問題ないだろう。
3.まとめ
結論としてSUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5 L39をまとめると、コンパクトで使い勝手の良い広角レンズだ。
35mmフルサイズセンサーを搭載したカメラでは、周辺部の画質が気になることがあるけれど、APS-Cサイズセンサー搭載カメラであれば気になることはない。
35mm判を利用するのであれば、フィルムカメラで使うのがこのレンズと相性が良い。
仕様・考察
本レンズは後述するように、3世代に渡りリリースされ2024年現在も現役で売られている。3代目から価格は上がっているが、まだまだリーズナブルな価格だろう。時流に合わせて、EマウントとZマウント版もリリースされている。
初代の15mmはL39スクリューマウントで、2代目と3代目はMマウント互換のVMマウントになり、ライカM型カメラの距離計に連動するように改良された。しかし、VMマウント版の2代目、3代目は最短撮影距離が0.5mとなり、物理的な近接撮影能力が劣る変更がされている。
VMマウント版から1年後にSONY Eマウント版を発売し、2023年には名称から”III”を取り除いたニコン Zマウント版も発売されている。Eマウントは0.3m、Zマウントは0.126mへと最短撮影距離の短縮され、レンズ構成は3代目のVMマウント版と同一で、カメラの持っているボディ内手ぶれ補正(IBIS)との連動、レンズ情報のカメラへの伝達など、デジタル時代に対応したレンズの改良がされている。
最短撮影距離の改善などミラーレスマウント版は専用マウント品を買う価値を提供しているのは、一眼レフ時代のマウント部だけを変更するコシナのリリース形態とはあきらかに異なったスタンスだ。
専用品をつくるのは在庫を抱えるという販売上のリスクがあるため、このような専用品を作るのはミラーレスカメラの普及が無視できないことと、売れ行き予測の精度向上により部品在庫の最適化などがなせる技と考えられる。
また、同じような焦点距離のレンズとしてホロゴン 15mm、ホロゴン 16mmがあるが、これはSUPER WIDE HELIARとは性格が異なるレンズで、ホロゴン 16mmのページで紹介しているように、フィルム面に限りなく後玉が近いホロゴンはデジタルカメラでは、カラーキャストのおこる確率が高く、周辺部の減光も大きいため、普通に撮影することを考えると、このSUPER WIDE HELIARを選択するのが理にかなっている。しかし、ホロゴンシリーズは理を越えた魅力があることも事実で、普通の広角レンズに飽きたら、使ってみてもよいだろう。


項目 | スーパー ワイド ヘリアー初代 | 3代目 | E | Z |
焦点距離(mm) | 15 | ← | ← | ← |
最大絞り | 4.5 | ← | ← | ← |
最小絞り | 22 | ← | ← | ← |
絞り羽根 | 9 | ← | ← | ← |
レンズ構成 | 6群8枚 非球面レンズ1枚 | 9群11枚 | ← | ← |
最短撮影距離(m) | 0.3(距離計非連動) | ← | 0.3 | 0.126 |
レンズマウント | L39スクリュー | ← | E | Z |
レンズ長(mm) | 30.7 | 55.2 | 62.3 | 67 |
レンズ最大径(mm) | 49.6 | 64.8 | 66.4 | 67.6 |
フィルター径(mm) | – | 58 | ← | ← |
フード | レンズ組み込み | ← | ← | 専用着脱式 |
重量(g) | 105 | 247 | 290 | |
リリース年 | 1999.02 | 2015.3.19 | 2016.4.27 | 2023.2.7 |
価格(定価・税別) | 65,000(銀色) 65,000(黒色) | 95,000 | ← | 118,000 |
参考情報
- COSINA製品PDF(Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical)
- https://web.archive.org/web/20181008115137/https://www.cosina.co.jp/seihin/voigtlander/archives/L-S-wide.pdf
- COSINA製品PDF(Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical II)
- https://web.archive.org/web/20240209124536/https://www.cosina.co.jp/seihin/voigtlander/archives/vm-s-wide.pdf
- Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical III VM-Mount
- Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical III SONY E-Mount
- Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm f/4.5 Aspherical NIKON Z-Mount
- ヘリアー ハイパー ワイド 10mm 公式ページ
- Voigtlander ULTRA WIDE HELIAR 12mm・製品PDF・WebArchive
- Voigtlander ULTRA WIDE HELIAR 12mm VM II&III・製品PDF・WebArchive
更新履歴
- 2025.7.17
- 2024.12.1
- 2024.8.5
- 2024.04.15
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