大口径・非球面レンズ Voigtlander ULTRON L 35mm F1.7

大口径・非球面レンズ Voigtlander ULTRON L 35mm F1.7

LEICA M6TTLとLEICA M8でフォクトレンダー・ウルトロン35mm F1.7を使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラとフィルムを使用した。

  • LEICA M6 TTL +KODAK PORTRA 160
  • LEICA M8

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

Voigtlander ULTRON 35mm F1.7 Asphericalは、コシナがフォクトレンダーブランドの初期にリリースしたレンズ。

レンズ構成は6群8枚、最短撮影距離は0.9mとなっている。
レンズマウントはL39スクリューマウントで、0.9mまでレンジファインダーカメラの距離計に連動する。
フィルター径は39mm、レンズ前面にねじ込んで装着する。

純正のねじ込みフードは長さも短く遮光効果が低い。また、純正フードを装着したレンズ外観は今ひとついけていない。これを改善する方法としてライカ・ズミクロン35mm用IROOAフードを装着すると見栄えが変わる。
ウルトロンの純正レンズフードを外したあとに残る外ネジピッチは、IROOAの固定フックと合致するようにできている。(IROOAフードの装着はメーカー推奨ではないためユーザーが自己責任でおこなうと認識ください。)

IROOAを装着すると、写真右のような姿となり、絞りリング部分で谷ができ、フォーカスリングのわずかな盛り上がりへ続くラインが美しい。これを見るとレンズデザインはコシナがこれを狙ってやっているように思える。

2.使用感

Voigtlander ULTRON 35mm F1.7 Asphericalの描写は、ライカ M6TTLの35mm判フィルムの結果をみると、周辺減光や周辺部での破綻は見られず、フラットで端正な描写をする。

APS-Cサイズセンサーを搭載するLEICA M8では、35*1.33=47mm相当の標準レンズに近い焦点距離となり、レンズの中央部だけ使うことになるので、より画面全体が引き締まった印象となる。デジタルカメラでは場面によってボケ見がうるさく感じられることがあったので、35mm版フルフレーム(フルサイズ)センサーを搭載したカメラの結果は実際に撮影して確認する必要がある。

操作性はヘリコイドの太さと重さのわりに、フォーカスリングのローレットが浅く、他レンズのような指掛かりがないため、速写時のピント合わせは迅速にしづらい。しかし、風景などピント位置をじっくり合わせる際には問題のない操作性である。

初期コシナ・フォクトレンダーレンズは、オールドレンズとデジタル対応レンズの過渡期にあり、レンズ構成に一般的なガウスタイプからはなれ、より複雑なレンズ構成をしており設計に試行錯誤していることが感じられる。

ウルトロン 28mm F1.9とともに非球面レンズを採用しており、ブランド初期の力のはいったレンズだ。

3.まとめ

結論としてVoigtlander ULTRON 35mm F1.7 Asphericalをまとめると、大柄で明るい広角レンズだ。フィルムで使うかぎり画面全体で描写に難はない。

しかし、設計が古いため高画素の35mm版フルフレーム(フルサイズ)センサーを搭載したカメラでは、描写に粗が見られる可能性があるため、試写をするなど所有するカメラと撮影者の許容できる範囲にあるのかを確認するのがベターだ。

仕様・考察など

Voigtlander ULTRON 35mm F1.7 AsphericalはL39スクリューマウントの初代の16年後の2015年に、レンズ構成変更とライカMマウント互換のVMマウントにリニューアルされた2代目ウルトロンをリリースした。
その5年後・2021年にレンズ構成と絞り開放値をF2に変更して3代目ウルトロンがリリースされた。

3代目の少し後に公式ページにあるように、「光の3原色を構成するRGBの軸上色収差を限りなくゼロに近づけるアポクロマート設計により、各種の収差を徹底的に排除するとともに解像力やコントラスト再現性に関しても究極の性能を追求しています。」とのうたい文句で。新しいVoigtlander APO LANTAR 35mm F2を発売している。

Voigtlander APO LANTAR 35mmの絞り開放F値はF2と旧Voigtlander ULTRON 35mm F1.7より控えめで、Voigtlander APO LANTAR 35mmと同時に売られているVoigtlander ULTRON 35mm はF2へ明るさを減じる形で製品化されている。

この変更理由としては、同時期に最高峰のVoigtlander APO LANTAR 35mmよりF値が明るいVoigtlander ULTRON 35mmが並ぶのは商品構成上認められなかったためと考えられる。

Voigtlander APO LANTAR 35mmの絞り開放値がF1.4であれば、Voigtlander ULTRON 35mmはF1.7で継続していたと考えられるが、F1.4のアポ仕様はレンズが大きく高価なるためできなかったと思われる。

Voigtlanderの35mmにはより大口径の絞り開放値F1.4と絞り開放値F1.2のNOKTON 35mmもあり、同じ焦点距離に絞り開放値の違いで多くのレンズを販売しているため、製品間のバランス取りに苦労しているように感じられる。

項目ULTRON LULTRON Vintage LineULTRON Vintage LineAPO-LANTHARSUMMICRON 35mm ASPH.
焦点距離(mm)3535353535
最大絞り1.71.7222
最小絞り1616161616
絞り羽根101010129 or 11
レンズ構成6群8枚7群9枚5群8枚9群11枚5群7枚
最短撮影距離(m)0.90.50.580.50.7
レンズ長(mm)44.7(フード込み/L39)50.928.158.134.5(Mマウント)
レンズ最大径(mm)55535255.653
フィルター径(mm)3946394939
フード専用LH-9LH-4N
LH-12
LH-13
重量(g)203330(銀)
238(黒)
170(I)
210(II)
304340(銀/チタン)
255(黒)
リリース年1999.82015.82019.1.25(I)
2021.3.19(II)
2021.3.251996
価格(定価・税別)¥65,000(銀色)
¥68,000(黒色)
¥135,000(銀色)
¥115,000(黒色)
¥90,000-¥120,000-

参考情報

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更新履歴

  • 2025.8.14
  • 2024.12.2
  • 2024.04.15
  • 2023.09.14

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