2006年発売のMS-OPTICS製レンズ MS-MODE-S 50mm F1.3をLEICA M8.2、LEICA M9、LEICA M10、HASSELBLAD X2D-100C、SONY α NEX-7で使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- LEICA M8.2
- LEICA M9
- LEICA M10
- SONY α NEX-7
- HASSELBLAD X2D-100C
レビュー
1.概要
MS-Mode-S Dual lens 50mm F1.3は、2006年にMS-Optics(旧称:宮崎光学)が初めてリリースした、ゾナー型レンズを現代の技術でアレンジしたオリジナルレンズ。
レンズ構成は4群5枚、最短撮影距離は1mでレンジファインダーカメラの距離計に全域で連動する。
フィルター径は49mmで正位置でフィルターをねじ込む、専用のネジ込みスリットフードが用意されている。
レンズは、レンズガラス部とヘリコイド+マウント部が分離可能で、マウント部にはL39スクリューマウントとニコンS、コンタックスCマウントの2種類が用意された。販売は、以下の3形態で行われた。シリアル番号によると、合計で200本が製造されたが、3形態の内訳は不明である。
- L39マウント版
- ニコンS、コンタックスCマウント版
- 両マウント同梱版
所有しているのは、両マウント同封版で、最初から装着されていたL39スクリューマウントのまま使用している。ニコンSとコンタックスCマウントの部品は所有しているが、変更したことはない。
L39スクリューマウント版のヘリコイド+マウント部分には、Ms-opticsが市販の50mmレンズをL39スクリューマウントまたはMマウントに改造する際に使用する既製のMS-51.6が使われている。
2.使用感
作例にあるとおり、絞り開放における描写はふわりと柔らかくフレアが買った描写が特徴だ。F2.8程度に絞りと画面全体で端正な画像を得ることができる。この特性は、MS-OPTICSのレンズ設計者である宮崎氏の理想をよく体現したレンズだ。
フィルムカメラ
MS-MODE-S 50mm F1.3のヘリコイドは従来から定評のあるMS-51.6でスムーズなフォーカスができ、距離計連動部分も正確に動作しておりレンジファインダーカメラの二重像によるピント合わせもまったく問題ない。
リバーサルフィルムの結果を見ても、十分な解像感を示しており、発色もフィルムの特性を損なうこと無く、フィルムなりの発色をする。
デジタルレンジファインダーカメラ
使用間隔は35mmフィルムカメラと変わらず、二重像の合致で無限遠から0,8mまで正確にピントをあわせることができる。
個別に描写を説明すると、最初に1000万画素APS-Hサイズセンサーを搭載したデジタルレンジファインダーカメラ、LEICA M8.2で撮影すると、センサーサイズが35mmフィルムより小さいため、焦点距離は67mm相当となる。M8.2のファインダーは50mm枠が67mmとなっているので、ファインダーを見た状態で撮影するとほぼ見たとおりの範囲が撮影される。
レンズの中心部を使うことになるため、35mmフルフレームセンサー搭載カメラの撮影結果よりも平坦性があがったように見え、解像感も高く見える。これは、35mmフルフレームセンサーカメラの撮影結果をクロップしたことと同じであるため、画像単体で見たときの印象になる。
35mmフルフレーム(フルサイズ)センサーを搭載した、LEICA M10、LEICA M9は、2000万画素クラスのデジタルカメラで、35mmフィルムカメラと同じ画角で撮影できる。いずれのカメラの結果をみても中央部の解像感はよく、周辺部まで乱れ減光も目立たずに、実用的なレンズである。絞り開放のフレアが気になるときは絞ればよい。
ミラーレスカメラ
最初のミラーレスカメラとして、2400万画素APS-Cサイズセンサー(23.6mm x 15.6mm)を搭載したミラーレスカメラ、SONY α NEX-7で撮影すると、35mmフィルム判換算焦点距離はセンサーサイズの換算係数1.5をかけた75mm相当となる。
ミラーレスカメラは電子ビューファインダーか液晶モニターを使用して撮影するため、見えている像がそのまま記録されるので、焦点距離の変化について意識せず、見た感覚を切り出すように撮影すればよい。レンズは2400万画素に対しても十分な解像感を持っており、カメラの性能を十分に引き出せる。また、補助ヘリコイドのついたマウントアダプターを利用すると、0.8mの最短撮影距離を0.5m程度まで短縮することができ表現の幅が広がる。
次ぎに、1億画素中判デジタルセンサー 44mm x 33mmを搭載したミラーレスカメラ、HASSELBLAD X2D-100Cで撮影すると、周辺部にイメージサークルの足りないことによって発生する黒塗りが生じた。
写真として使えない黒塗り部分を除いて、縦横比3:2で使える部分を抽出すると、1億画素(11,656 x 8,534)のうち、6600万画素(10,035 x 6690)が実用に耐える範囲として残った。
これは1億画素の44mm x 33mmを35mmフィルム判(36mm x 24mm)でクロップしたときに残る5900万画素(9,536 x 6206)を上回っており、このレンズを35mmフィルム判、35mmフルフレームセンサーで使う際に、周辺減光などの問題が発生しないことを示している。

最後に、このレンズは手組みのため、ゴミの混入などが懸念される。宮崎氏に清掃を依頼したところ、「このレンズは構造的に分解清掃が難しいので、やめておいた方が良い」とやんわりと断られた。そのため、今も購入当初の状態で使用している。
3.まとめ
MS-MODE-S 50mm F1.3をまとめると、レンジファインダーレンズの冬の時代にリリースされたレンズである。Ms-Opticsの無名時代のレンズであり、製造精度も良くないため、レンズの個体差が大きい。そのため、中古品を見つけた場合は、自分のカメラとの相性を確認した方が良い。
リニューアルされたSONNETAR 50mm F1.3は、同じレンズ構成ながら外観や組み立て精度が向上している。
仕様・考察など
このレンズを購入した時代は、レンジファインダーカメラの需要が限りなく低い時期で、銀座のカメラ市で見かけてカメラ屋の親父と価格交渉をし、かなり安く譲ってもらった。しかし、時代は変わり、「値切りはよろしくない」と言われ、忌み嫌われる世の中になった。購入前に「いくらになりますか?」という関西人の枕詞も使いづらくなってきた。
このレンズは、MS-OPTICSレンズ収集のきっかけとなった思い出深いレンズだ。
MS-Mode-Sがリリースされた2006年頃は、2000年代初頭の藤澤商会やRICOHなどのL39マウントレンズブームが下火になり、COSINAがVoigtlanderブランドでレンジファインダー関連製品のラインアップを縮小していた時期であり、レンジファインダーカメラの需要が低迷していた。このレンズも知る人ぞ知る存在で、東京近郊の中古カメラ店では在庫として余っていた。その後、ミラーレスカメラの登場によってM/Lレンズの需要が爆発的に高まるのだが、それはもう少し先の話だ。
オリジナルのゾナー 50mm F1.5は3群7枚構成になっている。こちらのレンズについては参考情報の「Widipedia」と「レンズレビュー」に詳しい解説がある。
本レンズをリリース後、宮崎氏はゾナー型レンズをさらに大口径化すべく研究を続け、2013年に「SONNETAR」の名前で50mm F1.1までスペックアップした。
さらに宮崎氏は、絞り開放値F1.0を目指してゾナー型で設計を繰り返したが、納得のいくものはできず、2019年にガウス型のISM-GA 50mm F1.0をリリースすることになった。これは、ガウス型レンズによって存在感が薄れていったゾナー型レンズの歴史をなぞるようで興味深い。
SONNETARシリーズには、ライカMマウント向け以外に、PENTAX Q向けのSONNETAR 25mm F1.1がある。このレンズは、当初、マイクロフォーサーズ向けに同じスペックで製造する計画があったが、試作品が数本作られただけで、製品化には至らなかった。その後、製造用の部品を流用して、イメージサークルの小さなPENTAX Q向けに150本ほど生産された。
カール・ツァイスからリリースされた「C SONNAR 50mm F1.5」は、絞り開放値がF1.5とオリジナルと同じ値になっており、レンズ構成も後群3枚の貼り合わせを再現している。これは、過去へのオマージュである。Ms-Opticsの宮崎氏は、後群の2枚貼り合わせにコーティングを施すことで、旧来のゾナーと同じ性能が出せるように設計し、後群は2枚の貼り合わせにしている。
| 項目 | MS-Mode-S | C SONNAR |
| 製造者 | Ms-optics | Carl Zeiss |
| 焦点距離(mm) | 50 | 50 |
| 最大絞り | 1.3 | 1.5 |
| 最小絞り | 16 | 16 |
| 絞り羽根 | 12 | 10 |
| レンズ構成 | 4群5枚 | 4群6枚 |
| 最短撮影距離(m) | 1m | 0.9 |
| レンズ長(mm) | 37 | 45 |
| レンズ最大径(mm) | 50 | 56 |
| フィルター径(mm) | 49 | 46 |
| 重量(g) | 110 | 250 |
| リリース年 | 2006 | 2006 |
| 価格 | ¥100,000- | ¥105,000- |
参考情報
- レンズレビュー・Carl Zeiss SONNAR 50mm F1.5
- Wikipediaによるゾナーレンズの解説
- CARL ZEISS C SONNAR 50mm F1.5・Shige’s hobby
- lomography x ZENIT Jupiter-3+・Shige’s hobby
- KONICA HEXAR RF・Shige’s hobby
- LEICA M10・Shige’s hobby
- LEICA M9・Shige’s hobby
- LEICA M8.2・Shige’s hobby
- SONY α NEX-7・Shige’s hobby
- HASSELBLAD X2D-100C・Shige’s hobby
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更新
- 2026.4.29
- 2025.5.16
- 2024.02.15:改稿
- 2022.01.26:初稿


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