CANON S 50mm F1.2(L39)

CANON S 50mm F1.2(L39)
eye catch

キヤノン・L39スクリューマウント・50mm F1.2をLEICA M8.2で使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

  • LEICA M9
  • LEICA M6TTL +KODAK XL100 ネガフィルム

レビュー

CANON S50mm F1.2 L39CANON S50mm F1.2 L39
CANON S50mm F1.2 L39CANON S50mm F1.2 L39

1.概要

CANON S 50mm F1.2は、1956年にキヤノンが自社のバルナックライカ互換カメラ向けに発売したL39スクリューマウントの標準レンズ。キヤノンではスクリューの頭文字をとってSマウントと称している。

主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。

  • 開放F値 1.2
  • レンズ構成 4群6枚
  • 絞り羽根 10枚
  • 最短撮影距離 1.0m
  • ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 1.0m
  • フード 専用ネジ込みフード

2.使用感

CANON S 50mm F1.2は1956年〜1957年に全盛期を迎えるキヤノン Sレンズ(L39マウント)のフラッグシップレンズだ。価格改定される前はキヤノンの最大口径レンズ 50mm F0.95よりも高い定価が付けられていた。

レンズは大きな直径の鏡筒でフィルム面に多くの光を取り込もうという設計意図が感じられ、フォーカスリングのスムーズさ、無限ロックの精密さはものとしてよく作り込まれている。

レンズの描写は絞り開放はそもそも解像度が低いことに加え、ピント面が薄いので少しピント位置を外すと描写の甘さが目立つ。そして、古いレンズにありがちだが前後のボケはそれほど美しくない。

絞れば画面全体の解像度が向上し描写の甘さは改善する。しかし、ボケ具合のイマイチさはのこる。
また、絞って使うのであれば50mm F1.4、50mm F2を使えばいいという話もあるため、この大きくて太いレンズを持ち出すのであれば絞り開放を使いこなす術を身につけたい。

撮影時はフィルム、デジタルを問わずM型ライカに装着すると、レンズの太い鏡筒がファインダーにはいりこんできて撮影時にファインダーを覆うかたちになり邪魔である。
しかし、ミラーレスカメラは電子ビューファインダーで撮影画像を見るため、ファインダーを覗くときに邪魔となる問題は存在しない。

また、ピント位置についてもレンジファインダーカメラでは狙った位置に合わせるためにはピント位置をアジャストする修行が必要になるけれど、幸いにしてミラーレスカメラのEVFであればピント位置の不安におびえることもないので、安心してレンズを使うことができる。

レンズ鏡筒に無限ロックがついているが、所有していた個体のフォーカスリングは適度な重さがあり、ロックがなくても自然に位置が変わるようなことはなく、実用上このロックは使いどころは無いものだが、無限遠に戻したときのカチッという音は、レンズのアクセントとしてはよいものだった。しかし、フォーカスリングを動かすときにいちいちロックを外すのは煩わしくもあった。

3.まとめ

結論としてCANON S 50mm F1.2をまとめると、通常使用におけるキヤノンレンジファインダー標準レンズの頂点にいるレンズだ。現代の大口径レンズとは異なり、絞り開放から絞っていく描写の変化を作品に落とし込む面白さがある。しかし、描写は微妙な点があるため、自分の好みに合うかは試してみないとわからないだろう。

仕様・考察など

このCANON S 50mm F1.2は1956年〜1957年に全盛期を迎えるキヤノン Sレンズ(L39マウント)のフラッグシップレンズだ。

後にリリースされる50mm F0.95とほぼ同じレンズ構成だが、レンズの開放F値が暗い分だけF0.95よりはコンパクトなレンズだ。それでも、半絞り暗い50mm F1.4と比べると倍程度の重量があり、大口径レンズとしての存在感がある。

「まとめ」にて、絞り開放から絞ると描写が変わると書いたが、現代のレンズは絞り開放から絞っても描写の変化が少ない設計がされている。同様の変化をするレンズとしてMs-Opticsの50mmレンズがある。
本レンズと同じガウス型のレンズはMS-ISM 50mm F1.0、ゾナー型のレンズはMS-SONNETAR 50mm F1.1だ。

所有している、世界のライカレンズPart1(P124)/CANON 50mm F1.2に掲載されたレンズ構成図は、ニコンの35mm F1.8 と似た最後部のレンズがもっとも径が大きい図となっており、これはレンズ構成図の掲載ミスだと思われる。確認していないが、のちの判では修正されているかもしれない。
A list of vintage super-fast 50-60mm f/1.2 lensesのページに記載された図は、後群のレンズが前群のレンズより小さくなっており妥当な図と考えられる。

項目キヤノンMS-ISM
焦点距離(mm)5050
最大絞り1.21.0
最小絞り2216
レンズ構成5群7枚5群7枚
絞り羽根1116
最短撮影距離(m)1.00.8
レンズ長(mm)3941
レンズ最大径(mm)6354.7
フィルター径(mm)5555
重量(g)322178
マウントL39M
リリース年1956.092019.08
価格(定価・税別)¥60,000-¥150,000-

参考情報

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更新履歴

  • 2025.9.10

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