サンヨン単焦点 APO TELYT R 280mm F4

サンヨン単焦点 APO TELYT R 280mm F4

LEICA APO TELYT R 280mm F4をLEICA SL Typ601で使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA SL typ601

レビュー

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1.概要

APO TELYT R 280mm F4は、ライカRマウント終盤の1993年にリリースされた絞り開放値F4の望遠レンズ。

1993年から製造が始まり1997年までに2000本程度作られ、3-CAM、R-CAM、ROM端子付きがある。

レンズ仕様の概要は、6群7枚のレンズ構成、最短撮影距離は1.7m、絞り羽根8枚。

三脚座を標準装備しており、これは取外しはできないが側面のネジを緩めると回転させることができる。三脚に装着した状態でカメラ向きを変えることができる。

フードは組み込み式で引き出して使用するだけで、回してロックするような機構はなかった。
フィルター径は77mmとライカでは珍しい径を採用している。また、フロントフィルター以外にレンズ根元にドロップインフィルターを挿入することができる。

このレンズはいわゆる、サンヨン(300mm F4)に近い望遠レンズで、日本では比較的廉価な望遠レンズとなるがライカはそうではない。ライカRマウントの望遠レンズは生産数が少ないため定価は日本製同スペックのレンズよりも高く設定される。そのうえ、日本市場で見かけることも少ないため中古価格も下がらない。

2.使用感

APO TELYT R 280mm F4の描写はライカRレンズの中でも上位に入ると言われる解像性能を持ち、アポクロマート仕様であるため、通常レンズでは色滲みが気になるような被写体でも色滲みを感じることは無い。

最短撮影距離が1.7mと寄れるレンズで静止している昆虫や花をクローズアップで捕らえることもできる。

所有していた個体は3-CAM仕様で、フォーカスリングはこの時期のRマウントのなかでも、軽く素早くフォーカシングできる。軽いフォーカスリングは微妙な調整が難しかった。
これは、中古レンズなのでグリスがぬけていた可能性もあるが、比較天気年代の新しいRマウントレンズはフォーカスリングが軽めのレンズもあるので、これが適正かもしれない。
無限から最短撮影距離の1.7mまで360度近い回転角があるため、フォーカスリングが重いのは撮影目的によっては辛い場面が予想される。

レンズのオプションとして、アポ・エクステンダー x1.4、x2.0に対応しており、アポ・エクステンダー x1.4を装着すると392mm F5.6、アポ・エクステンダー x2.0を装着すると560mm F8のレンズとなり、どちらで使用しても大きな画像の劣化を感じることはなかった。

LEICA R8、R9のファインダーで560mm F8のピント調整は至難と思われるが、幸いこのレンズを使用していたときのボディはLEICA SL typ601で、440万ドットのEye Resファインダーは560mm/F8のピント合わせをそれなりにおこなうことができた。
LEICA SLは手ぶれ補正機構がないため、ピントが合っていても手ぶれをすることがあり、新しいLEICA SL2/SL2-Sは手ぶれ補正も装備しているため、本レンズを使うのはより適していだろう。

毎年、長野県の白樺峠に鷹の渡りを見に行くのだが、そこでの撮影は焦点距離500mm以上が望ましく、この場所はニコンやキャノンの800mm/F5.6をフィールドで見かける。
ほぼ毎年カメラを変えレンズを変えして撮影に赴いているわけだが、2017年、2018年は、LEICA SLに本レンズとx2 APO-EXTENDERの組み合わせで使用した。

ライカの望遠レンズは、日本メジャーメーカーとは若干焦点距離の刻みが異なり、古くは250mm、350mm、新しい世代は280,400,560,800となっている。日本は300,400,500,600,800というのがスタンダートな焦点距離の刻みだ。

3.まとめ

結論としてAPO TELYT R 280mm F4をまとめると、レンズ重量2kgを切る手持ち可能なコンパクトな望遠レンズ。単焦点レンズなのでマニュアルフォーカスだけに集中して撮影できる。

高ISO、ボディ内手ぶれ補正付きのカメラで使うと手ブレ、被写体ブレを低減することも可能で、焦点距離を伸ばしたい場合は、x1.4、x2テレコンバーターを使用して420mm F5.6、560mm F8のレンズとしても使用可能な、万能望遠レンズとなる。

持ち運びを含めた実用性を考えると、ライカRマウントの望遠レンズの中でもっともお勧めできるレンズだ。

仕様・レンズ比較

同じ名称のアポ・テリート R 280mm F2.8(レンズ一体型)、アポ・テリート・モジュールシステムRと比べると定価はリーズナブルなレンズである。しかし、本レンズは中古市場では、先述した定価がより高価なアポ・テリート R 280mm F2.8(レンズ一体型)とほぼ同額で取引されており、ライカRマウントの望遠レンズは需要が少ないことを感じさせる。

  • レンズ構成図は各社の配付資料から引用し、サイズはこちらで調整しているため厳密ではない。
Before imageAfter image
項目アポテリート 280mm F4アポテリート 280mm F2.8
焦点距離(mm)280280
最大絞り42.8
最小絞り2222
絞り羽根87
レンズ構成6群7枚7群8枚
最短撮影距離(m)1.72.5
レンズ長(mm)208261
レンズ最大径(mm)88125
フィルター径(mm)77112
重量(g)18752750
製造本数20003011
リリース年1993年1983年

参考情報

更新履歴

  • 2025.1.17
  • 2024.03.11
  • 2023.12.08
  • 2022.11.06

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