APO MAKRO PLANAR 120 for CONTAX645

中判カメラ用マニュアルフォーカス・マクロレンズ

アポ・マクロ・プラナー 120mmのレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA S typ007

レビュー

  1. 使用感
  2. レンズ概要
  3. 競合との比較

1.使用感

アポ・マクロ・プラナー120mmは、京セラが中判カメラ・コンタックス645向けにリリースした焦点距離120mmのマクロレンズで、ライカSシリーズで使うと35mm判換算96mmとなる中望遠マクロレンズとなる。コンタックス645で645フィルムを使用すると74mmとなる。

LEICA S TYP007で使用するとき、カメラをオートフォーカス(以下、AF)モードにしていると、ライカSの中央一点フォーカスが合焦表示にならないとシャッターが切れないため、画面隅のピント面を持って行く場合など不便を感じることがある。もちろんカメラをマニュアルフォーカス(MF)モードにして撮影すれば意図したところでシャッターは切れるわけだが、他のAFレンズと併用するときは、レンズ交換の都度、フォーカスモード変更をおこなう必要があり少々に面倒だ。

このレンズに興味を持ったのは、特徴的なレンズ構成のためだ。数あるマクロ・プラナーの中で孤高にして異質の存在、中版マクロレンズのスタンダードな焦点距離120mmを採用している。レンズ銘にあるとおり色収差を抑えるAPO仕様で撮影結果に色滲みを感じることはない。ツァイスのコーティング技術による逆光耐性もよいため、フード無しで撮影して問題を感じたことはない。

2.レンズ概要

アポ・マクロ・プラナー120mmは、レンズ全体では6群9枚、下図を見ていただくとわかるが前群の4群6枚が通常のプラナー構成で後群の2群3枚で収差補正や撮影倍率向上などおこなっている点である。中判HASSELBLAD Vレンズ・マクロ・プラナーが4群6枚の一般的なプラナー構成で、レンズ繰り出し量に頼ったマクロレンズであり撮影倍率が低い欠点を補うために進化した考えられる。このレンズ構成は、コシナが製造するZEISSブランドのMakro Planar T* 2/100Milvas 2/100M(8群9枚)に発展している。そして、レンズ銘にAPOを明確にうたっているMAKRO PLANARは本レンズだけである。

レンズのイメージサークルは645フォーマットに対応しているため、ライカSの45x30mmセンサー、35mmフルサイズセンサーを余裕でカバーする。

フォーカズ時に前群と後群が逆方向に伸びる設計で、この特殊なフォーカス方式のため、CONTAX 645自身はAFに対応しているが、本レンズはAF駆動の機構はなくMFレンズとなる。

CONTAX 645マウントのフランジバックの長さから他マウントでの使用も柔軟にできるため、中望遠マクロで一本所有するにはよい候補になると思うが、本レンズも絞り環は付いているが、絞りは電気的に駆動するため、接点をもったマウントアダプターでなければ、つねに絞り開放で使うことになる。

レンズに絞り環を装備しているが、16038 [ライカ SアダプターC]を用いて、ライカSで使う場合は絞り環は無視され、カメラ側で絞り値を設定して撮影する。

レンズを無限遠位置にするとレンズ全長は104mmと非常にコンパクトなサイズで持ち運びがしやすいが、最短撮影距離までフォーカスリングを回すとレンズ全長は200mmまで伸びる。重量は800g以下と中判レンズとしてはとても軽量だ。

フードは、ゾナー140mmと共通のGB-73を使用する。

3.競合との比較

アポ・マクロ・プラナー 120mm F4の比較対象としては、「ハッセルブラッドHC マクロ 120mm-II F4」、「ライカ アポマクロズマリット S 1:2.5/120」が考えられる。

ハッセルブラッド HC マクロ 120mmは前群だけを繰り出す設計で、HASSELBLAD Hシリーズカメラ、LEICA SシリーズカメラでAF撮影が可能になっている(ただしHASSELBLAD XシリーズはMFのみ)。HC120mmは機能的な充実のためレンズシャッターユニットとAFユニットを追加したことによって、重量は1.4kgとアポ・マクロ・プラナーの2倍弱になっている。

ライカ アポマクロズマリット S 1:2.5/120はマクロレンズとしては明るい絞り開放F値 2.5と、CONTAX645、ハッセルブラッドのマクロと比べて1段以上明るい。ただし、等倍まで因ることはできずハーフマクロとなっている。近接性能よりもポートレイトを意識して作られているようだ。海外のフォーラムでは、ズミクロンS 100mmよりもAF精度は安定したレンズとの評判もあるため、興味深いレンズである。があり

LEICA S typ007で使用する場合、本レンズはMFだが、HC 120mmはAFを使える利点があるためどちらを持って行こうか悩むことがある。

マクロ・プラナーの1眼レフ用のYASHICA CONTAXのMakro Planar®T* f/2.8 – 100 mm(7群7枚)とは構成が異なり、こちらも興味深いレンズだとは思うので、何かの機会に使ってみたいと思う。

仕様・比較

レンズ名APO MAKRO PLANARHC120IIアポマクロズマリット S
焦点距離(mm)120120120
最大絞り442.5
最小絞り324522
レンズ構成5群8枚9群9枚7群9枚
最短撮影距離(m)0.30.390.57
レンズ長(mm)
マウント面からの距離
104166128
レンズ最大径(mm)869691
フィルター径(mm)726772
重量(g)79614101135
1205(レンズシャッターあり)
リリース年1999

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.9.2
  • 2024.2.11:改稿
  • 2023.06.18:初稿

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