三菱一号館美術館で開催された「異端の奇才 ビアズリー展」を2025年3月25日に鑑賞した写真と感想。
目次
異端の奇才 ビアズリー展
- 異端の奇才 ビアズリー展
- 2025年2月15日(土)- 2025年5月11日(日)
- 三菱一号館美術館
- 鑑賞日:2025.3.25
概要
展はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の作品を中心に、三菱一号館美術館所蔵品、国内外美術館、国内外コレクターからの貸し出し作品で構成されている。
展示は全6章構成で、展示数は220点。
- 1章 THE BEGINNING はじまり
- 2章 初期ビアズリー
- 3章 成功――「ビアズリーの時代」の到来(室内撮影可能)
- 4章 ワイルドの「サロメ」
- 5章 BEHIND THE SCENES 制作の裏側
- 6章 TOWARDS MATURITY 成熟に向けて
展示フロアーは3階(1~4章)からはじまり、2階(5,6章)へ降りていく。ショップは1階にある。
感想
1章 THE BEGINNING はじまり、2章 初期ビアズリー
トマス・マロリー編『アーサー王の死』の挿絵から、「アーサー王は、唸る怪獣に出会う」、「ジークフリート」などを展示、初期から白と黒のコントラストだけで構築される独特の世界がすでに現れている。
関連作品としてバーン=ジョーンズ、ホイッスラー、クレインの作品が展示される。
3章 成功――「ビアズリーの時代」の到来
この部屋の作品は、時代が少し進み、線描の軟らかさは維持したまま、画面全体における線描表現が減少し余白か黒塗りの面積が増えてくる。これにより0 / 1のデジタル感が増した印象をうけた。
合わせて展示してある、浮世絵の雑誌から画家への影響を感じることができる。
この部屋のみ写真撮影可能。
4章 ワイルドの「サロメ」
オスカー・ワイルドの「サロメ」を軸に、モロー(1826-1898)、ミュシャ(1860-1393)、ロートレック(1864-1901)、リケッツ(1866-1931)など、ビアズリー(1972-1898)と同時代の画家による「サロメ」の表現をみることができる。
3名の画家のなかで、とくに好きなモローの作品は4点展示されており、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館から2点、国立西洋美術館から1点、メナード美術館から1点。
メナード美術館の《サロメの舞踏》は2月15日から3月16日の期間限定展示だった。
5章 BEHIND THE SCENES 制作の裏側
オスカー・ワイルドの影響で職をなくしたりと不遇な時代の作品を展示。
奥の部屋は18禁になっているが、猥褻表現というよりはコミカルな表現に見えた。
「ビアズリー自身が死の間際にこれら猥褻作品の処分を望んだ」との説明を見て、遺言とも言える言葉が尊重されていないのは気の毒だと思う。
6章 TOWARDS MATURITY 成熟に向けて
ラインブロック*1、写真製版、フォトグラヴュール *2、リトグラフなど新しい技法にチャレンジしており、ビアズリーは不遇な時代を乗り越え、0 /1のコントラストから中間色を含む表現が見られ作品に変化が感じられる。
しかし、ビアズリーは持病の結核により25歳にしてこの世を去る。
- *1 ラインブロックは写真製版を利用した腐食銅版画の一種。 アートハーベスト 版画の小部屋より引用
- *2 フォトグラヴュールは、「フォト・エッチング」「フォト・エングレーヴィング」などとも呼ばれる。写真製版により図像を銅板の上に焼きつけて印刷する技法。版画ネットより引用
付加情報
いくつかの作品所有者として名前のある、Kコレクションは個人コレクター 河村 錠一郎(一橋大学名誉教授)氏のコレクション。主にイギリスの古書をコレクションしており、今回の展示では学術監修者として参画している。
スティーヴン・キャロウェイ・コレクションは、ビアズリー研究の権威であるスティーヴン・キャロウェイ氏の所有作品。
本店は巡回展で東京展の後、以下2カ所巡回。
- 2025年5月24日~8月31日 久留米市美術館
- 2025年11月1日~26年1月18日 高知県立美術館
図録はショップと一般書店で販売しており、消費税10%込みで3,500円。
一般流通しているピンクの表紙と美術館限定のブルーの表紙がある。

ギャラリー
関連リンク
- 異端の奇才 ビアズリー・公式ページ
- 三菱のアート 2025.02.27「異端の鬼才オーブリー・ビアズリーが 三菱一号館美術館にやって来た!」
- 三菱一号館美術館フロアマップ
- 版画ネット・フォトグラヴュール(photogravure)
- アートハーベスト・版画の小部屋
更新履歴
- 2025.3.26
撮影機材
- SONY NEX-7 +ELMARIT R 19mm +BAVEYE
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