CONTAX-N VARIO SONNAR 24-85
デジタル時代の標準ズームレンズ
コンタックスNマウント・バリオ・ゾナー 24-85mmのレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はSONY α7Sii
レビュー
1.使用感
バリオ・ゾナー 24-85mmは、CONTAX Nマウント向け標準ズームの高スペックバージョンで、所有しているレンズは、絞り制御が壊れた(たぶん基板と接続するリボンケーブルが外れている)EOSマウントに改造済みのレンズを新宿外れのカメラ屋で購入した。
そのときは、LEICA M-P typ240でLEICA-M / EOSマウントアダプターに付けて使用するためだったので、マウントアダプターに信号接点が無いため開放でしか撮れないので、絞りが動かないことは問題では無かった。
その後、EOS-1Ds MKIIIを手に入れて使うようになると、絞りが絞れないのはやはり不便であった。この二つのボディはすでに手放してしまったが、珍しい品なのでレンズは残していた。
このレンズは標準レンズとしては贅沢な作りで、他マウントで使用したくなる気持ちもわかるが、一般的なズームレンズ同様に広角側では歪曲がみられ、T*コートとはいえ逆光耐性もそれほど高くはなく、あたりまえだが最新のズームレンズのほうが性能は優れている。
未改造のCONTAX Nマウントの場合、3万円程度で入手できるのため、ソニーミラーレス・αユーザーでCONTAX Nマウント用のマウントアダプターを所有していれば、検討に値するだろうが、このレンズのために高価なα−Nマウントアダプターを購入するのは賢い選択ではないと思う。
また、レンズに絞りリングがついているが、実絞りでは無く電気信号で絞るため、マウントアダプター経由の場合は、カメラ側の制御で絞りは動作するので、絞りリングは機能しないことが多い。
2.レンズ概要
バリオ・ゾナー 24-85mmは、CONTAX Nマウント向け標準ズームの高スペックバージョンで、焦点距離24-85mmをカバーする汎用的なズームレンズだ。標準ズームレンズの廉価版として焦点距離28-80mm、開放F値3.5-5.6のレンズが存在する。
本レンズのオリジナルマウント、CONTAX Nマウントは京セラコンタックスのNシステムカメラ向けレンズとして、フィルムカメラのCONTAX Nとともにリリースされた。その後リリースされる35mm判フルサイズセンサーを搭載したデジタルカメラのCONTAX Nデジタルでの利用を考慮してフル電化されたマウントをもつレンズだ。
レンズ概要からは脱線するが、CONTAX Nデジタルはコダックなどのプロ向けを除く、コンシューマ向けレンズ交換式デジタルカメラでは各社がAPS-Cサイズのセンサーを積んでいる時代に35mmフルサイズセンサーで市場に打ってでた。
このセンサーは複数枚の小センサーを貼り合わせコストダウンを図り、合わせ目に発生する偽色などはは画像処理することで回避するようになっていた。この方式は通常撮影では全く問題ないが、過剰に露出をかけると境界線が現れることが、ずいぶんカメラの評価に傷をつけることとなった。
当時、プロ向けカメラよりは安価だが、それなりの価格をしたカメラであったため、実際に使っていないユーザーが、通常撮影においては目立たないあらを探して騒ぎ立てているようなところがあり、辟易した。コンタックスNについては、実際に使用していないので多くを語ることはできないが、35mm判フルサイズセンサーを早期に投入した京セラ/コンタックスがカメラ事業を辞めてしまい、現在中古市場では一定の評価が存在するコンタックスブランドが無くなってしまったのは、ほんとうに残念だ。
3.中判デジタルでの試用
EOSレンズを使えるボディを売却割いた後、新宿駅そばの地図の店で、HASSELBLAD XカメラでCANON-EFマウントレンズを使うためのアダプター、TECHART TCX-01 の中古品を見かけたので、本レンズがHASSELBLAD X2Dで使えれば幸いと思い購入した。
X2DはAFが使えるレンズを装着すると、フォーカスモードでオートフォーカス(AF)が選択できるようになるのだが、X2DにTECHART TCX-01(ファームウェア6.0.0)経由で本レンズを装着したところ、この組み合わせではX2Dのメニュー画面にてAFが選択できなかった。
本レンズは物理的にフォーカスするレンズなので、マニュアルフォーカス(MF)モードでは使用できることがわかった。
TECHART TCX-01とキヤノン純正レンズの動作をX2Dで確認するため、近所のカメラ屋さんのご厚意でキヤノン純正EFマウントレンズを試したところ、旧式のレンズモーター、USM搭載レンズ(物理的にフォーカスするレンズ)は、VARIO SONNAR 24-85同様にAFモードは選択できないが、MFでの動作は可能なことがわかった。電気的にフォーカスしている最新のSTMレンズはAFモードは選択できず、MFを選択してフォーカスリングを回してもピント位置が移動しないためまったく使えないことがわかった。
2023年6月の焦点工房アナウンスによるとファームウェアV7.0.0にて、「Hasselblad X2D 100C (Ver. 2.0.0)(リリース日:2023-06-13)」に対応したとのことでAFが動くかもしれないが、ファームアップする前にマウントアダプターは処分してしまった。また、2023.12月にX2Dのファームウェアは3.1.0に更新されている。
マニュアルフォーカスだがX2Dで本レンズを試したところ、ワイド端の24mmは四隅がケラレ、テレ端の85mmに向かうにしたがってケラレはましになるが完全には解消されない。
24mmにおけるケラレは以下の通りで、紫色のところは完全にデータが飛んでいる。
44mmx33mmセンサーを使用する場合、1:1にクロップするとサイドは捨てるが、縦方向はほぼすべて使用可能である。3:2にクロップすると幅11227ピクセルが9648ピクセル残ったので約14%失っており、幅44mmセンサーのうち37mmが使用可能領域となり、このレンズが正しく35mmフィルム、35mmフルサイズセンサーを狙って作られていることがわかる。
仕様・比較
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 24〜85 | |
最大絞り | 3.5〜4.5 | |
最小絞り | 22 | |
レンズ構成 | 12群14枚 | |
最短撮影距離(m) | 0.5 | |
レンズ長(mm) | 71 | マウント面からの距離 |
レンズ最大径(mm) | 85 | |
フィルター径(mm) | 82 | |
重量(g) | 583 | EOSマウント改造品 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.9.7
- 2024.02.12:改稿
- 2023.01.27:初稿