DISTAGON 35 for CONTAX 645

Kyocera/Contax製中判・広角レンズ、DISTAGON 35mmのレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影は LEICA S typ007

レビュー

ディスタゴン 35mm F3.5は、京セラが中判カメラ・コンタックス645向けにリリースした焦点距離35mmの広角レンズ。

ライカSで使う場合は、35mm判換算で28mmの焦点距離となる。
コンタックス645フィルムカメラで使用すると、35mm判換算0.6倍となるため、21mm相当の広角レンズとなる。最初の撮影結果を見ていくと、少し絞った際のキレのある描写をモニターで確認したとき嬉しい驚きだった。

コンタックス645の広角側レンズの3本は、35mm、45mm、55mmの3本があるが、それぞれ特徴があり、35mmは解像度重視、45mmは柔らかい描写、55mmはその中間で中庸な描写と感じる。

35mmバンカメらでは、標準ズームレンズの標準的な開始焦点距離は24mm以下となっている、2020年代には。LEICA Sで使う28mmという焦点距離は、******ある限定された広角というものすごく広い焦点距離ではない。しかし、中判デジタルセンサー(45mmx30mm)で撮影するときに構図を決めやすく撮影範囲のバランスがよい焦点距離だと思う。

ディストーションは風景など被写体では目立たないが、被写体との距離が1~3m程度において格子状の被写体を写すと周辺部で樽形の歪みが気になることがある。このような被写体の場合はソフトウェアで補正する必要がある。

このレンズも他のコンタックス645レンズ同様に、LEICA S typ007との接続において使用可能になるまでの時間に少しのラグはあるが、SONNAR 140mm、DISTAGON 45mmよりは早いと感じる。それは焦点を合わせるためのレンズの移動距離が短いためかもしれない。
オートフォーカス(以下、AF)の合焦速度も他のコンタックス645レンズ同様に35mm判カメラの高速AFのような早さはないが実用的に使える水準だと思う。

レンズの劣化のためか、フード無しで使用すると逆光時にゴーストかフレアによる妖しげな光が発生し、撮影画像のコントラスト低下がみられることがあった。そのため、野外での撮影ではフードを装着することが無難と考える。専用フードのGB-101の入手が難しい場合は、LEICA Sで使うのであれば、バリオ・ゾナー用のGB-104でも代替できる。GB-101も入手しづらいがGB-104の方が入手難易度は高い。

ディスタゴン 35mmの比較対象としては、「ハッセルブラッドHC35mm」、「ライカ エルマリート S f2.8/35mm ASPH.(Order no. 11077 | CS: 11078)」が考えられる。
エルマリート S 35mmは100万円近い価格で個人的な収入では入手できるとは思えない。そしてエルマリートSレンズは2023年現在、商品は終売しており、中古市場で探すことになる。机上でのスペック比較はレンズ仕様に示すとおりで、エルマリートSは重くて大きいが、開放F値が1段明るいF2.5、9群12枚の贅沢なレンズ構成、非球面レンズを採用している。

エルマリート Sのフォーカスは、ディスタゴン35mm、HC35mmと同様にガラスの小さい後群を動かして高速にフォーカスできるリアフォーカス方式を採用している。

MTFチャートの比較ではライカは27mm、ZEISSは35mmまで記載と表示範囲は異なるが、27mmまでの範囲でエルマリートSとディスタゴンを比較すると、グラフの線図ではエルマリートの圧勝である。
エルマリートSはリリース年度が新しく、最新の設計を用いており価格が高くなることも納得できるレンズだ。

HC35mmはフィルター径は同じ95mm、レンズの最大径はほぼ同じだが、DISTAGON 35mmはレンズ長が短く、鏡筒フォーカス部が細くスリムで重量も100g程度軽量である。
これはHC35mmの方がレンズ構成が少し複雑でシャッター機構を持っているためだ。
HC35mmはHASSELBLAD X2Dで使う場合、Phocasがよい具合に補正して粗が目立たないが、LEICA Sで使用してDNGを現像する場合、撮影距離によっては少し樽形の歪みが気になることがある。定量的な評価はしていないがディスタゴン 35mmとは大きな差は無い。

以前は比較的珍しいレンズで価格も高く玉数も少なかったが、2023年は中古市場にまとまった数が供給されたようでレンズ状態によっては格安の物も見つかる。紹介するレンズはフード(GB-101)付きを8万円程度で入手した。LEICA S Typ007では、HC35mmをAFで使えるため、完全に役割がかぶるため、ディスタゴン 35mmを手放すことにした。HC 35mmを残したのは、X2Dで使用することもできるからである。

GB-101

仕様

レンズ名CONTAX
ディスタゴン35mm
LEICA
ズマリットS35mm
HASSELBLAD
HC35mm
焦点距離(mm)35.53535.8
最大絞り3.52.53.5
最小絞り322232
レンズ構成8群11枚9群11枚10群11枚
最短撮影距離(m)0.50.550.5
レンズ長(mm)
マウント面からの距離
108122124
レンズ最大径(mm)10288100
フィルター径(mm)958295
重量(g)877930/1030(CS)975
リリース年19992013.10.10
価格287,000円
2023年中古価格7万円〜
847,000円
979,000円(CS)
2023年中古価格
150,000円〜

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.7.16
  • 2024.2.11:改稿
  • 2023.05.19:初稿

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