ハニカムSRセンサー・FUJIFILM FINEPIX F710

ハニカムSRセンサー・FUJIFILM FINEPIX F710

目次

ギャラリー

レビュー

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1.概要

FinePix F710は、2004年3月に発売された、フジフィルムの横長カメラ形状を採用したコンパクトデジタルカメラ。

主な仕様は35mm版換算で32.5〜130mmの4倍ズームレンズを搭載、イメージセンサーは「スーパーCCDハニカムIV SR」、センサーサイズは1/1.7インチ、センサー画素数は620万画素(S画素:310万画素、R画素:310万画素)、バッテリーにNP-40を採用している。

記録メディアは、XDピクチャカードで2GBまで対応している。一部フルファームウェアのカメラの場合512MB制限に引っかかる可能性がある。XDピクチャカードについては「仕様・考察」も参照いただきたい。

カメラの詳細なスペックはFinePix F700FinePix F810とともに下表に載せている。

2.使用感

FinePix F710は20年前のカメラなのでオールドコンデジの中でもかなり古い部類に入るだろう。単三電池2本を入れて20数年ぶりに起動させてみたところ、問題なく起動して撮影可能であった。

ハニカムSRとはいえ、ベースは300万画素のデジタルカメラなので過大な期待は禁物だ。
とくにJPEGではイマイチに感じられることも多々あるので、少々面倒だがRawで撮影して現像ソフトで適切なパラメーターで画像を調整する必要がある。

レンズは35mm版換算で33〜130mmと同時期のFinePixよりも少しひろい範囲をカバーしている。35mmよりは若干マシという程度だが広角側の2mmの差はそれなりに効いてくる。
フジフィルムは広角に28mmを採用するのは2008年のFinePix F100dからなのでかなり遅めの採用だ。

バッテリーのNP-40は電圧3.7V、容量710mmAhと控えめなスペックで、公称でも100枚程度しか撮影できず、処理時間の多くなるRawではさらに撮影枚数が少なくなる。

記録画素数は600万画素の2832×2128ピクセルとなっており、F710のRawデータ(RAFファイル)は13MBとなる。一般的な600万画素センサーの非圧縮データが18MB程度になるため少し少ない。

これは、過去の雄志による検証を参考にした情報をまとめると、「スーパーCCDハニカム IV SR」センサー画像は、S画素が主で300万画素フルデータを持っており、R画素は白飛びしている部分の補完データで300万画素のうち一部しか記録していないことに起因していると考えられる。よって、基本的には300万画素のデータを補完して600万画素で記録していることになる。

F710のRAFを現像するために、フジフィルム謹製の「X RAW STUDIO」を使ったところ、ソフト単体では現像処理できず、メモリーカードを挿したカメラとPCを接続し、現像にカメラ内部のチップを使うとのことで、これではJPEGで撮影しているのと結果が変わらないと思われ、このソフトはサムネイルを見るためのソフトとして利用している。

以下の公式情報を見ると、「X RAW STUDIO」はFUJIFILM Xシリーズカメラ専用で、対応カメラ以外は現像できない旨が書いてあったので、F710で「X RAW STUDIO」を使うのは正しい使い方では亡いことになる。

X RAW STUDIOはRAW FILE CONVERTERと何がちがうのか?

また、RAW FILE CONVERTERは、汎用Raw現像ソフト SILKYPIXのFUJIFILM専用版で、こちらも対応カメラにF710は入っていない。

RAW FILE CONVERTER EX 3.0 powered by SILKYPIX 対応情報

実際の現像ソフトは、Affinity Photo 2を使用しているが、「X RAW STUDIO」のサムネイルで表示される色調とAffinity Photo 2で読み込んだデフォルトの色調がかなり違うため、「X RAW STUDIO」はカメラを接続しなくてもそれなりに処理した状態の画像データを表示しているようだ。

s7rawというWindows専用の現像ソフトを使うと、S画素とR画素の混合比率を変えたりできる。このソフトはMac用はないのが残念で、対応プラットフォームはIntel(AMD)-CPU向けに32bitと64bit版が用意されており、公式ページのダウンロードリンクは切れているけれど、SOFTPEDIAからダウンロードできる。Windows 10で使用したところ、問題なくFinePix F710のデータを処理できた。

20年ぶりに使用していると、フジフィルム・コンパクトデジタルカメラにありがちなズームエラーによる、レンズ収納不能に陥った。これは、レンズ格納機構のプラスチック製ギヤなどの部品が劣化によって壊れていくためだ。コストダウンのためとはいえ、昔のカメラにくらべるとずいぶん弱くできている。

中古でもけっこうな価格で売られている場合があるが、処理系は2000年代の物なので、技術進歩した2010年代のコンデジの方がよほど汎用性が高いことは間違いない。

3.まとめ

結論としてFinePix F710をまとめると、横長のフォルムは液晶ディスプレイが大型化する前の個性的なカメラフォルムで好ましい。

デジカメの性能としては、SRセンサーによるダイナミックレンジの拡張といううたい文句のわりには、目に見える結果は得られない。最終的に得られる結果は、せいぜい絵作りの差で済ませられる程度なので、過大な期待は禁物だ。

仕様・考察など

スーパーCCDハニカムIV SRを積んだデジカメは2機種のみで、FinePix F700とFinePix F710だ。同じボディ形状のFinePix F810はセンサーの形式が異なっている。

後継カメラFinePix F810が600万画素センサーを搭載していることを見てわかるとおり、すでに他社はリアルな600万画素以上のセンサーを採用するカメラが増えたことと

XDピクチャーカード(以下、XDピクチャ)は、2000年代のコンパクトデジタルカメラの勝ち組、フジフィルムとオリンパスが立ち上げたメモリーカードの規格で、規格作りの経験が乏しさが災いし、拡張性、互換性、高速化に問題が発生した記録メディア。最終的にはSDカードの攻勢にあらがえず短命で終わった悲しい規格。

XDピクチャは、16MB、32MB、64MB、128MB、256MB、512MB、1GB、2GBの容量があるが、古いカメラには512MBの壁がある。

手元にあるFINEPIX F710はファームウェア1.55で2GBのXDピクチャが使用できている。フジフィルムのニュースリリースによると、対応するXDピクチャは512MBと記載されているため、古いファームウェアの場合は制限に該当する可能性がある。

FinePix F700もファームウェア3.0以降で大容量のXDピクチャに対応しているとの記述を「FinePix F700で遊ぶ」で見た。

FinePix F810もファームウェア次第では、512MBの制限に当てはまるかもしれない。

XDピクチャは2000年代のオリンパスとフジフィルムのコンパクトデジタルカメラに採用されているが、メモリーカード自身の数が少ないため、中古市場では記録容量あたりの単価としてはかなり割高な買い物となるのが欠点だ。

項目FinePix F700FinePix F710FinePix F810
画素数620万画素(S画素:310万画素 R画素:310万画素)620万画素(S画素:310万画素、R画素:310万画素)630万画素
センサータイプスーパーCCDハニカムIV SRスーパーCCDハニカムIV SRスーパーCCDハニカムIV HR
センサーサイズ1/1.71/1.71/1.7
レンズf=7.7mm~23.1mm
(35mmカメラ換算35mm~105mm相当)
f=7.2mm~28.8mm
(35mmフィルム換算、STD時:32.5mm~130mm相当)
f=7.2mm~28.8mm
(35mmフィルム換算、STD時:32.5mm~130mm相当)
絞りF2.8~F4.9F2.8~F5.6F2.8~F5.6
OVF実像式光学ズームファインダー実像式光学ズームファインダー実像式光学ズームファインダー
背面液晶サイズ1.8型2.1型2.1型
背面液晶解像度13.4万画素17.3万画素17.3万画素
バッテリーNP-40NP-40NP-40
メディアxD-ピクチャーカード
公式(16~256MB)
最新ファームウェアにより1GB,2GBに対応
xD-ピクチャーカード
公式(16~512MB)
最新ファームウェアにより1GB,2GBに対応
xD-ピクチャーカード
公式(16~512MB)
最新ファームウェアにより1GB,2GBに対応
サイズ(mm)
幅 x 高さ x 奥行
108 × 54 x 28110 × 54 x 29110 × 54 x 29
重量(g)
(フル装備)
190225220
リリース年2003.夏2004.32004.8
カラーシルバーシルバーシルバー
価格(税別)74,800円 オープン オープン

参考文献・参考リンク

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更新履歴

  • 2025.8.21
  • 2025.1.21

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