Hシリーズ 望遠レンズ HASSELBLAD HC210mm

Hシリーズ 望遠レンズ HASSELBLAD HC210mm

HASSELBLAD HC 210mm F4のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のとおり。

  • HASSELBLAD X1DII-50C +XH-Converter0.8
  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-adapter
  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-adapter +Extender26mm
  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-adapter +Extender52mm

レビュー

  1. 概要
  2. 使用感
  3. まとめ
Before imageAfter image

1.概要

HASSELBLAD HC 210mm F4はHASSELBLAD Hシリーズカメラ用の望遠・焦点距離211.1mmのレンズ。

HCシリーズレンズなので、中判カメラHxDで使用する場合、センサーサイズ 40.2×53.7mmまでカバーし、そのとき焦点距離は約141mmになる。

HASSELBLAD Xシリーズカメラ、X1D、X1DII、907X、X2Dでは、XH AdapterXH CONVERTER 0.8のどちらかを経由して使用する。CONVERTER H x1.7テレコンバーターを併用することも可能で、3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である

使用するマウントアダプターによって35mm判換算の焦点距離は異なり以下のとおりとなる。

  • X H Lens Adapterを使用した場合、焦点距離169mm
  • XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離135mm

HC 210mmはx1.7テレコンを使用可能で装着した場合は以下の焦点距離となる。

  • X H Lens Adapterを使用した場合、359mm F6.8
  • XH CONVERTER 0.8を使用した場合、287mm F5

○アクセサリー互換性のまとめ

2.使用感

HASSELBLAD HC 210mm F4はX1D2-50c、X2D-100cで撮影しPhocusを介して出力される画像は周辺部まで乱れなく結像しており、44x33mmの中判デジタルセンサーで使用するのに十分な性能があることがわかった。

レンズのフォーカスリングはなめらかでマニュアルフォーカスの感触は良好で、EVFのピント拡大機能を使い問題なく狙った位置での撮影ができる。最短撮影距離は1.8mでそれ以上距離を短縮したい場合は、3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。

X2D-100cではボディ内手ぶれ補正のおかげで、映像の嫌な揺れは無く安定した撮影が可能でだ。
しかし、ボディ内手ぶれ補正のないX1D2-50cは、EVFの画像が揺れて気持ち悪さを感じることがある。また、レンズコートが古いためか逆光下ではフード無しの場合、ゴーストが発生してコントラストが低下することがある。

シャッター速度は1/800、ハッセルブラッド Xシリーズではオートフォーカスが使用できないことはわかっていた。それほど明るいレンズではないため、オレンジドットの1/2000のシャッタースピードは不要なことと、オートフォーカスを多用するレンズでもないと判断して購入した。

しかし、誤算だったのはライカ純正のS-Hアダプターを経由して、ライカ Sシリーズに装着するとレンズを認識しないことである。レンズを認識すればオートフォーカスで使えるはずであったのに、なにが悪いのかもわからないが残念である。所有しているレンズでこの症状が出ているのはHC 50-110mmで、こちらのレンズもライカ Sシリーズで認識しない。

210mmという焦点距離は、35mmカメラではもう一段明るい絞り開放値F2.8で、ズームレンズが定番となっており、重量も1kgを切っているのが普通である。イメージサークルが大きな中判レンズとはいえ、単焦点レンズでレンズ重量は1.32kg、コンバータ(175g か 430g)、カメラ(766g)を足すと2.3〜2.6kgとなり、HCレンズをつけたXシリーズカメラのなかでは重い撮影システムとなる。また、レンズを含めたカメラ一式の全長も長いため、近所か車移動のとき以外は持ち出す気力が薄れるという問題が発生する。

HC、HCDレンズとしては11本目に入手したレンズで、ハッセルブラッド・ブランドのオレンジドット無しを格安で購入した。購入した後にレンズの状態を確認すると、フードが緩い程度で大きな問題は見られなかった。
カメラでレンズ情報を確認すると、ファームウェアは12.0.0でシャッター回数は約7000回でシャッター数には十分な余裕がある。壊れるときは壊れて使用回数が関係ない場合もあるので気休めではある。

3.まとめ

結論としてHASSELBLAD HC 210mm F4をまとめると、小口径の望遠レンズ。HASSELBLAD Xシリーズカメラでは2種類のアダプターにより、168mmと134mmの焦点距離となる。

HC210mmは延長チューブ、テレコンバーターで撮影距離を伸ばしたりと、XCDレンズのラインナップが薄い望遠領域をカバーする。HC300mmほど大げさなレンズではないため、近場の野鳥を撮影する際に重宝しているレンズだ。

○オートフォーカス対応について

HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(XH AdapterXH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカスを動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。

Xシリーズカメラにおける、オートフォーカス対応状況をまとめると以下の通りである。

  1. オレンジドット レンズ
    • レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりオートフォーカスが動作する。
    • HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
  2. 非オレンジドット レンズ
    • AF可能なレンズ
      • レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
      • 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
    • AF不可能なレンズ
      • レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
      • シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
      • フジノンブランドのレンズ

上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。

ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。

○FUJINONレンズについて

HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、両レンズ共にHASSELBLAD HCカメラで使用できる。FUJINONブランドのレンズは最高シャッタースピードが1/800が最高速度なので最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。

また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカスを利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもオートフォーカスは使用できない。

フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。

HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。
このアダプターはフォーカスはマニュアルフォーカスのみで、シャッターはレンズシャッターとカメラ側のメカシャッターを使用できる。

仕様・比較

項目
焦点距離(mm)211.1
最大絞り4
最小絞り45
レンズ構成6群10枚
最短撮影距離(m)1.8
レンズ長(mm)168
レンズ最大径(mm)86
フィルター径(mm)77
重量(g)1320
HC 210mm レンズ仕様書(英語)

参考情報

更新履歴

  • 2025.6.16
  • 2024.9.12
  • 2024.04.21:記載修正
  • 2022.03.25:最初の投稿

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