HASSELBLAD HC 4/210
HASSELBLAD HC 210mm F4をX1D,X1DII(907Xにも適用可能と考える)で使用した記録
目次
<ギャラリー>
<レンズの印象>
HC/HCDレンズとしては11本目に入手した。
HASSELBLADブランドのオレンジドット無しを格安で購入したので、シャッター速度は1/800でX H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*でAF(オートフォーカス)が使用できないことはわかっていた。又、それほど明るいレンズでもないため1/800のシャッター速度で問題ないとの判断もした。
購入した後にレンズの状態を確認すると、フードが緩い程度で大きな問題は見られなかった。
X1DIIでレンズ情報を確認すると、ファームウェアは12.0.0でシャッター回数は約7000回。1万回には届いていないのでまだまだシャッター数には余裕があると思う。
MFフィールは良好で、EVFのピント拡大機能を使い問題なく狙った位置での撮影ができる。しかし、210mmの望遠レンズなのでボディ内手ぶれ補正のないX1DIIでは、EVFの画像が揺れて気持ち悪く感じることがある。
X H Lens Adapter*を使用した場合、Phocusを介して出力される画像は周辺部まで乱れなく結像しており、44×33センサーで使用するのに十分な性能があることがわかった。
XH CONVERTER 0.8*を使用した場合も、周辺まで解像して像に歪みはない(Phocusの補正込み)ことが確認できた。
どちらのアダプターを使用した場合でも、レンズコートが古いためか、逆光下ではフード無しの場合、シーンによってはゴーストが出ることがあった。
レンズ構成は比較的シンプルな6群10枚のゾナー型で非球面レンズを使用していないことに年代の古さを少し感じる。しかし、レンズの仕様書を確認すると周辺部の画質低下が見られず、歪みも少ない素晴らしい性能であることがわかる。
レンズ単体重量が1.32kgでコンバータ(175g か 430g)とカメラ(766g)を足すと2.3〜2.6kgとなり、HCレンズをつけたX1D-IIとしては重量級に属し、レンズを含めたカメラ一式の全長も長いため、近所か車移動のとき以外は持ち出す気力が薄れるレンズである。
HC 210mmはx1.7テレコンを使用可能で、X H Lens Adapter*を使用した場合、359mm F6.8と暗いが立派な望遠レンズになる。
XH CONVERTER 0.8*を使用した場合、287mm F5になる。
上記は35mmセンサーでの焦点距離でX1DIIではセンサーサイズが大きいため、その値から0.8倍広角になるため注意が必要である。
3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。

<レンズの仕様>
HC 4/210はHASSELBLAD Hシリーズカメラ用の望遠・焦点距離211.1mmのレンズで、HCシリーズなので、中判カメラHxDで使用する場合、センサーサイズ 40.2×53.7mmまでカバーし、そのとき焦点距離は約141mmになる。
X1D/X1DII(907X)では、X H Lens Adapter*かXH CONVERTER 0.8*を経由して本レンズを使用できる。
X H Lens Adapter*を使用した場合、焦点距離約169mmになる。
XH CONVERTER 0.8*を使用した場合、焦点距離135mmになる。
*リンク先はrakutenのMapcamera
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 211.1 | |
最大絞り | 4 | |
最小絞り | 45 | |
レンズ構成 | 6群10枚 | ゾナー型 |
最短撮影距離(m) | 1.8 | |
レンズ長(mm) | 168 | |
レンズ最大径(mm) | 86 | |
フィルター径(mm) | 77 | |
重量(g) | 1320 |

<アクセサリー互換性>
- Converter H 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できる。
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できない。
- イメージサークルは中判フィルムサイズまでカバーする。
<AF対応について>
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*)を経由してX1D,X1DII,907Xに装着しAF(オートフォーカス)を駆動させるためには、レンズファームウェアの領域が拡張された18.0.0以降のレンズが必要である。17.0.0以前のレンズに18.0.0以降のファーウウェアを適用しても領域が足りないため変更できない。
レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり100%AFに対応している。
オレンジドットのないレンズでも、AF対応可能なものはあり、レンズシリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズ(シリアルナンバーがSから始まるレンズは2000年代に製造されたレンズ)についてはファームウェア領域が拡張されているレンズが多くAFに対応できる可能性が高い。しかし、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のファームウェアを確認するのが最も確実である。
古いシリアルナンバーでも修理時にユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
<FUJINONレンズについて>
HCレンズにはFUJIフィルムブランド(SUPER EBC FUJINON)のものがあり、HASSELBLAD HCカメラで使用できるが、シャッターユニットが1/800時代のものしかなく(こちらは致命的ではない)、レンズファームウェアが古いため(こちらが致命的)、XCDマウントカメラ(X1D,X1DII,907X)でAF(オートフォーカス)を利用するために必要なファームウェア(HCレンズファームウェア19.1)を導入することができない。
そのためマウントアダプター(X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*)を経由してXCDマウントカメラ(X1D,X1DII,907X)装着してもAFは使用できない。
*リンク先はrakutenのMapcamera
また、FUJINONブランドのHCレンズは、HASSELBLADの修理サポート対象外でFUJIフィルムによる修理サポートも終わっているため、故障時に対応することができない。HASSELBLADブランドのHCレンズは古くてもHASSELBLAD社にて修理対応してもらえる。
FUJIブランドのHCレンズは格安で売られているが、購入時は注意が必要である。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D,X1DII,907Xと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
<参考リンク>
- HASSELBLAD HC210mm 公式Webサイト
- HASSELBLAD 延長チューブ 公式Webサイト
- ハッセルブラッドレンズ製造年確認サイト
- Report HC210mm(Shige’s hobby内リンク)