HASSELBLAD HC 80mm F2.8
小さく軽いHレンズ
ハッセルブラッド HC 80mm F2.8のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はX1DII
- 写真作例の撮影はX2D
レビュー
1.使用感
ハッセルブラッド HC 80mmはX1Dを購入した後、しばらくしてX H Lens Adapterとともに購入した初めてのHシリーズレンズで、X1Dでレンズ情報を確認すると、ファームウェア 10.0.0でシャッター使用約3000回であった。Hシリーズのもっとも標準的なレンズとしては余り使われていないレンズを入手した。
MFの操作感はフォーカスリングは軽めだが微調整も効き、ピント合わせはカメラのEVF拡大表示を頼りに使用している。HCレンズなので0.8倍コンバーターを使用しても隅までしっかりと解像し周辺減光もない。
Xシリーズに搭載されているピントピーキングは少し絞るとほぼすべての場所でピントが合っているように強調表示されるのであまり当てにならない。EVFのピント位置拡大機能がもっとも正確にピント合わせができる。
しかし、購入前の下調べが足りず、このレンズはX1Dでオートフォーカス(以下、AF)が使用できると勝手に思いこんで購入したが、結果的にはAFで使用することは出来なかった。
その理由は、購入したレンズの仕様が古く、後述するファームウェアの問題から、X2D、X1D(4116 editon含む)、X1DII、907Xにハッセルブラッド純正のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を介して装着しても、マニュアルフォーカス(以下、MF)でのみ使用となる。
XシリーズではAFは使えないが、ライカSとS Adapter Hを使用するとAFが使えるためライカSで使うことも多いレンズとなっている。やはりAFは便利なので、資金に余裕があればAFの使えるレンズに買い換えたいと思っているが、2023年頃はAFの使える中古を見かけたが、2024年に入ってHC80mmの中古を見かける機会も少なくなっている。
銀座のレモン社にて、このレンズの鏡筒に、PENTAX 645 A 55mmのレンズを、HC80mmに組み込んだ改造レンズを見かけた。試用したところこのレンズと同じで古いファームウェアの鏡筒であったため、X2DでAFが使えなかったので購入を見送ったが、ライカ SであればAFで使えたはずなので、いまになって入手してもよかったかと思うことがある。変な中古品は見かけたら買えというのは趣味人の鉄則だなと思う。
2023.12.1にリリースされた、X2Dファームウェア3.1.0で、過去のファームウェアの以下、不具合は解消されたが記述は残しておく。
2023.6.1にX2Dファームウェア2.0.0がリリースされ更新したところ、ボディ内手ぶれ補正(IBIS)が動作しなくなった。X2Dファームウェア1.1.0まではIBISが使えたので、悪い方向へ修正されたようだ。
ハッセルブラッド・デジタル・フォーラムの書き込みによると、ファームウェア17.0.0ではIBISが動作するとのことで、Hasselbladサポートにファームウェア17.0.0の提供を依頼したがそれについての回答はなく、サポートの回答はファームウェアの改良を待てというものだった。先述の通り後のファームウェアアップデートで本問題は解消された。
2.レンズ概要
ハッセルブラッド HC 80mm F2.8は、ハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の焦点距離80mmのレンズ。
HCシリーズなので、中判カメラHxDシリーズで使用する場合、センサーサイズ 40.2×53.7mmまでカバーし、そのときセンサー倍率をかけた焦点距離は55mmとなる。
X1D、X1DII、907X、X2Dは、X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*のどちらかを経由して使用する。CONVERTER H x1.7テレコンバーター(以下、H x1.7)を併用することも可能である。
- X H Lens Adapter*を使用した場合、焦点距離約64mm F2.8
- XH CONVERTER 0.8*を使用した場合、焦点距離52.8mm F2
- X H Lens Adapter*とH x1.7を使用した場合、焦点距離約109mm F4.8
- 焦点距離は44x33mmセンサー使用時の換算焦点距離
純正マウントアダプター、XH CONVERTER 0.8を使用すると、このレンズはHCレンズの中ではもっとも小さくて軽いため取り回しがよいのが利点である。この組み合わせはカメラ(766g) +XH CONVERTER 0.8*(403g) +レンズ(475g) =約1.65kgとなり、XシリーズカメラでHシリーズレンズを使うときに最も軽い組み合わせになる。
3.アクセサリー互換性
- CONVERTER H x1.7テレコンバーターは使用できる。
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できる。
- イメージサークルは中判フィルムサイズまでカバーする。
4.AF対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカス(以下、AF)を動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。
Xシリーズカメラにおける、AF対応状況をまとめると以下の通りである。
- オレンジドット レンズ
- レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりAFが動作する。
- HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
- 非オレンジドット レンズ
- AF可能なレンズ
- レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
- 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
- AF不可能なレンズ
- レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
- シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
- フジノンブランドのレンズ
- AF可能なレンズ
上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
5.FUJINONレンズについて
HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、HASSELBLAD HCカメラで使用できるが、最高シャッタースピードが1/800のレンズしかなく、最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカス(以下、AF)を利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもAFは使用できない。
フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
仕様・比較
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 82.3 | |
最大絞り | 2.8 | |
最小絞り | 32 | |
レンズ構成 | 6群6枚 | ガウス型 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | |
レンズ長(mm) | 70 | |
レンズ最大径(mm) | 84 | |
フィルター径(mm) | 67 | |
重量(g) | 475 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.9.7
- 2024.03.25:記載修正
- 2023.06.07:X2Dファームウェア2.0.0について追記
- 2022.01.09:最初の投稿
広告
- いくつかの外部リンクは広告となっており、クリックするとサイト管理者に収入が発生する可能性がある。本ウェブサイト維持のためご理解とご協力をいただけるとありがたい。