Hレンズ最軽量 HASSELBLAD HC80mm

HASSELBLAD HC 80mm F2.8をHASSELBLAD Xシリーズカメラで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のとおり。
- HASSELBLAD X2D-100C +XH Adapter
- HASSELBLAD X2D-100C+XH CONVERTER 0.8
- HASSELBLAD X1DII-50C +XH Adapter
- HASSELBLAD X1DII-50C +XH CONVERTER 0.8
レビュー


1.概要
HASSELBLAD HC 80mm F2.8は、ハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の焦点距離80mmのレンズ。
中判カメラHシリーズで使用する場合、645版フィルム、デジタルセンサーでは40.2×53.7mmまでカバーし、そのとき焦点距離は35mm判換算では焦点距離は約50mmとなる。
HASSELBLAD Xシリーズカメラ、X1D、X1DII、907X、X2Dでは、XH Adapter、XH CONVERTER 0.8のどちらかを経由して使用する。CONVERTER H x1.7テレコンバーターを併用することも可能で、3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。
使用するマウントアダプターによって35mm判換算の焦点距離は異なり以下のとおりとなる。
- XH Adapterを使用した場合、焦点距離約64mm F2.8
- XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離52.8mm F2
- XH AdapterとCONVERTER H x1.7テレコンバーターを使用した場合、焦点距離約109mm F4.8
- 焦点距離は44x33mmセンサー使用時の35mm判換算焦点距離
マウントアダプターXH CONVERTER 0.8を使用すると、このレンズはHCレンズの中ではもっとも小さくて軽いため取り回しがよい。この組み合わせはカメラ(766g) +XH CONVERTER 0.8(403g) +レンズ(475g) =約1.65kgとなり、XシリーズカメラでHシリーズレンズを使うときに最も軽い組み合わせになる。
○アクセサリー互換性のまとめ
- 最短撮影距離を短縮するEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用できる。
- X2DはXH Adapterとの組み合わせでIBISが機能する。
- X2DはXH CONVERTER 0.8との組み合わせでIBISが機能する。
- CONVERTER H x1.7テレコンバーターを使用できる。
- イメージサークルは645判フィルムサイズまでカバーする。
- あおり撮影をおこうHTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERを使用できる。
- ライカ純正マウントアダプターS-Adapter Hを使用してLEICA S シリーズカメラで使用できる。
- FUJIFILM純正のH MOUNT ADAPTER Gに対応する。
2.使用感
HASSELBLAD HC 80mm F2.8はHASSELBLADと縁の深いCARL ZEISS伝統であるプラナー形式のレンズで、その描写は熟れており価格のわりにはよく写るレンズだ。ただし、このレンズの製造はCARL ZEISSではなくフジフィルムがおこなっていると言われている。
レンズを購入するとき下調べが足りず、HASSELBLAD X1D-50Cでオートフォーカスが使用できると勝手に思いこんで購入したけれど、結果的にはオートフォーカスで使用することは出来なかった。
その理由は、購入したレンズの仕様が古く、後述するレンズファームウェアの問題から、HASSELBLAD X2D、X1D(4116 editon含む)、X1DII、907Xにハッセルブラッド純正のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を介して装着しても、マニュアルフォーカスでのみ使用となる。
マニュアルフォーカスの操作感はフォーカスリングは軽めだが微調整も効き、ピント合わせはカメラのEVF拡大表示を頼りに使用している。HCレンズなのでXH CONVERTER 0.8を使用しても隅までしっかりと解像し周辺減光もない。
HASSELBLAD Xシリーズに搭載されているピントピーキングは少し絞るとほぼすべての場所でピントが合っているように強調表示されるのであまり当てにならない。EVFのピント位置拡大機能がもっとも正確にピント合わせができる。
HASSELBLAD Xシリーズではオートフォーカスは使えないが、ライカ SシリーズカメラとS Adapter Hを使用するとオートフォーカスが使えるためLEICA Sで使うことも多いレンズだ。
LEICA Sにてオートフォーカスで使うと便利なので、資金に余裕があればオートフォーカスの使えるHASSELBLAD HC 80mm F2.8に買い換えたいと思っている。しかし、2023年頃はオートフォーカスの使える中古レンズを比較的よく見かけたが2024年に入るとHASSELBLAD HC 80mm F2.8の中古を見かける機会も少なくなっている。
また、銀座のレモン社にて、このHASSELBLAD HC 80mm F2.8レンズの鏡筒にPENTAX 645 A 55mmのレンズを組み込んだ改造レンズを見かけた。試用したところ、所有しているレンズと同じ古いファームウェアであったため、X2Dでオートフォーカスが使えなかったので購入を見送った。
ライカ Sシリーズであればオートフォーカスで使えたはずなので、いまになって入手してもよかったかと思うことがある。
変な中古品は見かけたら買えというのは趣味人の鉄則だ。
HASSELBLAD X1D-50Cを購入した後、しばらくしてX H Lens Adapterとともに購入した初めてのHシリーズレンズで、X1Dでレンズ情報を確認すると、ファームウェア 10.0.0でシャッター使用約3000回であった。Hシリーズのもっとも標準的なレンズとしては余り使われていないレンズを入手した。
2023.12.1にリリースされた、HASSELBLAD X2D-100Cファームウェア3.1.0で、過去のファームウェアの以下、不具合は解消されたが記述は残しておく。
2023.6.1にHASSELBLAD X2D-100Cファームウェア2.0.0がリリースされ更新したところ、ボディ内手ぶれ補正(IBIS)が動作しなくなった。HASSELBLAD X2D-100Cファームウェア1.1.0まではIBISが使えたので、悪い方向へ修正されたようだ。
ハッセルブラッド・デジタル・フォーラムの書き込みによると、ファームウェア17.0.0ではIBISが動作するとのことで、Hasselbladサポートにファームウェア17.0.0の提供を依頼したがそれについての回答はなく、サポートの回答はファームウェアの改良を待てというものだった。先述の通り後のファームウェアアップデートで本問題は解消された。
3.まとめ
結論としてHASSELBLAD HC 80mm F2.8をまとめると、コンパクトな準標準レンズ。HASSELBLAD Xシリーズカメラでは2種類のアダプターにより、64mmと50mmの焦点距離で使用できるため汎用性は高い。
しかし、所有しているレンズが古いためHASSELBLAD Xシリーズカメラではオートフォーカスが使用できないため使用頻度が低い。このレンズはもっぱら、LEICA Sシリーズで使用している。こちらでは古いHレンズでもカメラがレンズを認識すればオートフォーカスが使えるためである。
○オートフォーカス対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(XH Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカスを動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。
Xシリーズカメラにおける、オートフォーカス対応状況をまとめると以下の通りである。
- オレンジドット レンズ
- レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりオートフォーカスが動作する。
- HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
- 非オレンジドット レンズ
- AF可能なレンズ
- レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
- 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
- AF不可能なレンズ
- レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
- シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
- フジノンブランドのレンズ
- AF可能なレンズ
上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
○FUJINONレンズについて
HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、両レンズ共にHASSELBLAD HCカメラで使用できる。FUJINONブランドのレンズは最高シャッタースピードが1/800が最高速度なので最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。
また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカスを利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもオートフォーカスは使用できない。
フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(FUJIFILM純正 H MOUNT ADAPTER G)を用意している。
このアダプターはフォーカスはマニュアルフォーカスのみで、シャッターはレンズシャッターとカメラ側のメカシャッターを使用できる。
仕様・考察など
中判カメラ向け焦点距離80mmは、CONTAX 645のPLANAR 80mm F2が有名だ。価格も発売当初は標準レンズの位置づけで非常に安かったが、2020年代に入ると高騰しており、30万円を切る価格では見なくなった。
CONTAX 645のPLANAR 80mm F2はHASSELBLAD HC 80mm F2.8よりも1段明るいレンズだが、HC 80mm F2.8とそれほど大きさと重さは変わらない、それはHCレンズがレンズ部分にシャッターを搭載していることが理由として挙げられる。
レンズ構成は双方共にオーソドックスなダブルガウス型で描写傾向も似ていると推測される。
下図はレンズの縮尺が異なるため、レンズ構成の参考としてご覧いただきたい。

HC80mmレンズ構成図(HASSELBLAD公式より引用)

PLANAR 80mm F2 for CONTAX645(ZEISS公式より引用)
項目 | HC80 | PLANAR 80mm F2 |
焦点距離(mm) | 80 | 80 |
最大絞り | 2.8 | 2 |
最小絞り | 32 | 32 |
絞り羽根 | 8 | ? |
レンズ構成 | 6群6枚 | 5群6枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 70 | 67 |
レンズ最大径(mm) | 84 | 80 |
フィルター径(mm) | 67 | 72 |
重量(g) | 475 | 524 |
リリース年 | 専用バヨネットフード | GB-72 |
マウント | HASSELBLAD-H | CONTAX 645 |

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参考情報
更新履歴
- 2025.6.13
- 2024.9.7
- 2024.03.25:記載修正
- 2023.06.07:X2Dファームウェア2.0.0について追記
- 2022.01.09:最初の投稿
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