Jupiter 12 35mm F2.8
ロシア製・ジュピター 12 35mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA M8.2
- 写真作例の撮影はSONY α7Sii
レビュー
ジュピター12は、ツァイスビオゴンのコピーと言われるレンズで、対称光学系をもち後玉の張り出しが特徴的なレンズ。
張り出しの大きな後玉を持つレンズだが35mmという焦点距離のためか撮影結果に周辺減光などはそれほど見られず、カメラに装着できれば普通のレンズとして使うことができる。35mmフルサイズセンサーであればほぼ問題なく装着できるが、APS-Cセンサー機でセンサー周囲に壁があるようなカメラは、センサー壁と後玉が接触する可能性があるため、装着には注意が必要である。
35mmフルサイズセンサーでは、中心部の解像度は高いが周辺にいくにしたがい像が緩くなる。像面の解像度が均一でないのは設計の古いレンズではありがちだ。この効果は主題を浮き上がらせるにはよいが、記録的な用途には不向きだ。対称光学系のおかげで直線部のゆがみが少ないだけに、周辺部の緩さが残念に思えることがある。ライカ M8のAPS-Hセンサーでは周辺を使わないため端正な写りに感じる。HASSELBLADのX2Dで使用したところ44x33mmをカバーするイメージサークルは無い。
また、絞り開放の撮影はF値2.8だが数値以上にピント面が薄くシビアに感じる。
とくにピント合わせを任意の位置でおこなってから構図変更のために撮影位置を動かすと、ピント位置のズレを感じることが多い。他のレンズだと問題にならない程度のカメラ移動でも、おや?っとおもうことがあるので、このレンズの周辺部の甘さが撮影位置変更に影響しているものと思われる。
ロシア産レンズはデッドストックが掘り起こされたり、新造されたりと、状態がよくわからないレンズが、ピンキリの値段で売られている。ジャンク覚悟で安価に買うか、実物を見てからの購入が無難と思われる。
実際、価格が安いので三回購入して、状態はまちまちだったが、絞り羽に油がしみてくるのはいずれの3本ともに見られ、ロシアレンズはわりと絞り羽に油がしみやすいように感じる。
油が固着して羽が開かない状態でなければ問題ないが長く防湿庫に入れていると、そのうち固まる気がする。
最初に購入したレンズはKMZ製で2本目と3本目のレンズはLZOS製だった。もう一社Arsenal製があるようだがこちらはみたことがない。
仕様
項目 | Jupiter 12 | Biogon | C-Biogon |
焦点距離(mm) | 35 | 35 | 35 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 22 | ← | ← |
レンズ構成 | 4群6枚 | 4群6枚 | 5群7枚 |
絞り羽根 | 5 | ← | 10 |
最短撮影距離(m) | 1.0 | ← | 0.7 |
レンズ長(mm) | 30 | ? | 30 |
レンズ最大径(mm) | 51 | ? | 52 |
フィルター径(mm) | 40.5 | ←(0.5ピッチではない?) | 43 |
フード | – | – | 専用バヨネットフード |
リリース年 | 1950(L39)- | 1937(Contax) | 2008(VM) |
製造本数 | – | – | – |
重量(g) | 116 Walz hoodを装着 | ? | 200 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.05.05
- 2023.12.30