Mの異端児 LEICA M typ240

LEICA M typ240のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影レンズはズミルックス M 35mm ストッパー付き
レビュー

1.概要
ライカM typ240は35mm判フルサイズセンサーを搭載した2代目のライカMマウントのデジタルカメラ。
ライカ M9は問題の発生したコダックCCDセンサーをやめて、新しい世代の2400万画素CMOSセンサーを搭載した。
このライカ MのネームはM9の後継モデルでM10になるかと思っていたら、M単体表記となりtyp240というサブネームがついた。サブネーム方式は後継のカメラでも少しの間使われる。しかし、その表記は徐々に小さくなり、製品リーフには辛うじて残っている程度でプレス発表など公式の場で表示されることはほとんど無くなり事実上廃止されている。
これはライカ社によくあるネーミングのブレだろう。
ライカ M typ240シリーズには、M10以降のカメラに搭載されなくなるビデオ録画機能がついており、フルHD画質のビデオを撮ることができる。ただし、同じM型番の液晶モニターを持たないLEICA M-D Typ262はビデオ録画機能も省かれている。
ライブビューに対応しており、背面液晶を利用するほか、EVF2と呼ばれる電子ビューファインダーも提供された。これはオリンパスのVF2と同じもので、信号処理などもまったく同じのようでオリンパス製をそのまま使うことができる。後継のVF3、VF4とは互換性なないため利用できないので注意が必要である。また、ビデオ撮影機能と同様にLEICA M-D typ262はEVF端子が無いためEVFの使用ができない。
イメージセンサーはライカ M typ240シリーズに関しては、デジカメWatch の記載に「ベルギー、CMOSIS社の有効2,400万画素CMOS「LEICA MAX 24 MP CMOSイメージセンサー」」とあり、設計はCMOSIS社で、製造はSTMicrosystemsとの情報が確認できる。
M10以降のカメラに関してはセンサーの設計、製造に関する会社名が出てくることは無くなった。
2.使用感
ライカM typ240は2400万画素のセンサーを積んでいるので、日常の仕様にはまったく不満はない。
カメラのレスポンスも電源を入れてから撮影可のになるまでの時間は、レンジファインダーで使うかぎり問題はない。ただし、EVFのLeica EVF2を装着して、EVFを使用しながら撮影していると、撮影レスポンスがあきらかに悪くなる。反応の悪さはLEICA SL typ601でライカ Rマウントレンズを使うの際とは雲泥の差で、ライカM typ240でライカRマウントレンズを使うことは止めてしまった。
カメラの心臓部であるセンサーをCMOSセンサーへ変更したことは、一部のCCDセンサー愛好家には不評であるけれど、撮影した結果をみると調整次第で画像の味付けは変えることができるので大きな問題ではないだろう。
レンジファインダー部の仕様で重要なファインダー倍率はライカ M9から引き続き0.68倍となっている。これはフィルムM6の0.72倍と比べて小さく見えるようには感じられない。ブライトフレームは採光式からLED式に変更され、カメラ前面にはファインダー窓、距離計窓だけになり採光窓が無くなっている。
レンジファインダーカメラ全般に言えることであるけれど、絞り開放F値が小さく明るいレンズはピント精度に不安がある傾向は変わっていない。
このカメラもすでに10年以上前の物になり、全体的な仕様に古さが感じられる。最低感度はISO 200スタートで若干高感度となっている。しかし、正しい設定で撮ればハイライト部に飽和を感じることもなかった。
このカメラの問題と感じたのは、後玉がセンサー付近に近いレンズ、たとえばスーパーアンギュロン M 21mmなどのレンズで、画像周辺に派手なカラーキャストが発生することだ。画面周辺に現れるシアン色は背面液晶では目立たないがPCモニターでも見るとはっきりわかるので、撮影後にがっかりすることがあった。
M typ240のバッテリーは13.32Wh(7.4V-1800mhA)とM10の8.2Wh(7.4V-100mhA)に比べて4割ほど容量が大きい。カメラ自身の消費電力は異なり新しいカメラほど消費電力が少ないのは一般的であるけれど、デジタルカメラ全体で電力消費が大きいのは液晶によるライブビュー時などであるため、光学ファインダー撮影でのそれほどカメラが変わっても消費電力に変化があるとは思えない。レンジファインダーカメラとして使う場合は、バッテリー容量が大きいほど撮影枚数は多くなると考えられる。
落下や擦り傷からカメラを保護のために、撮影時はボディケースを装着していた。そのため、もともと分厚いボディはより厚くなり軽快感のないカメラを使っていた。この状態でのカメラ厚みは小型の一眼レフ程度になる。しかし、重厚なカメラの極にいるLEICA S シリーズと比べると十分に薄いが比べる対象が間違っているとも言う。ライカ製デジタルカメラの中でM typ240よりも分厚いのは、SLシリーズとV-LUXシリーズくらいしか無い。
ライカM typ240シリーズが好きで、ノーマルのM typ240、M-P サファリモデル、M-P シルバーと3台を使った。先述したとおり、分厚く感じられるボディはユーザーの評判はいまひとつで、中古市場においてもデジタルM型ライカの中では安い部類に入る。しかし、この厚めのボディに感じる剛性感と、凹凸のないミニマルなデザイン、手になじむ形状は気に入っている。
少し太いボディは見た目が洗練されているとは言いえないけれど、M10、M11よりアナログ臭さを感じるところは気に入っている点だ。
3.まとめ
結論としてライカ M typ240をまとめると、ライカのデジタル時代への迷いが感じられる過渡期のカメラだ。
それは、M typ240は機能搭載のために大型化したボディとM型ライカでは不要と思われる動画撮影機能が搭載されている点にあらわれており、後継カメラのM10以降はスチルカメラとして割り切った機能に舵を切り直している点を見てもそう言える。
過渡期のカメラとはいえ、M typ240はスチルカメラとして十分な性能があるため、大容量バッテリーによる撮影枚数の多さなど利点があることも事実だ。
カメラ厚み
M typ240はカメラ厚みが話題になることが多い。
トップカバー部分が39mm、最大厚みが42mmと凹凸のないフラットなデザインはカメラをより厚く感じさせる。
これは製造時の技術でデジタル関連の必要な機能を収めた結果の産物だ。
カメラ名 | カメラ厚み(mm) |
M フィルム カメラ | 33.5~38 |
LEICA M8, LEICA M9, LEICA M-E(CCD) | 37(トップカバー厚) |
LEICA M typ240, LEICA M-P typ240, LEICA M-E(CMOS) | 39(トップカバー厚) 42(最大厚) |
LEICA M10, LEICA M10-P, LEICA M10-R | 33.7(トップカバー厚) 38.5(最大厚) |
LEICA M11, LEICA M11-P | 33.7(トップカバー厚) 38.5(最大厚) |
仕様・シリーズカメラ比較
モデル名 | M typ240 | M9 | M10 |
カメラ有効画素数 | 2400万画素 | 1800万画素 | 2400万画素 |
記録画素数 | 5,976 x 3,992 | 3,916 x 2,634 | 5,976 x 3,992 |
映像素子 | CMOS | CCD KODAK KAF-18500 | CMOS |
センサーサイズ | 35mm Full size 35.8 x 23.9mm | 35mm Full size 35.8 x 23.9mm | 35mm Full size 35.8 x 23.9mm |
最低感度 | 200 | 160 | 100 |
背面液晶サイズ | 3.0 92万ドット | 2.5 23万ドット | 3.0 104万ドット |
液晶カバーガラス | 通常ガラス | 通常ガラス | 通常ガラス |
ファインダー倍率 | 0.68 | 0.68 | 0.73 |
EVF | EVF2 | なし | VISOFLEX、VISOFLEX2(要ファームアップ) |
最高シャッター速度 | 1/4000 | 1/4000 | 1/4000 |
内蔵メモリー | なし | なし | なし |
バッテリー | BP-SCL2 | Leica 14464 | BP-SCL5 |
タッチスクリーン | なし | なし | なし |
メディア | SD,SDHC,SDXC | SD,SDHC | SD,SDHC,SDXC |
リリース年 | 2013.3.20 | 2011.6.30 | 2017.01.28 |
サイズ | 142.0 x 88.5 x 39.5 | 139 x 80 x 37 | 139×80×38.5 |
重量(g)(バッテリー含む) | 680 | 585 | 660 |
オプション
- LEICA M ハンドグリップ(下面カバーを取り替え)
- LEICA M マルチファンクションハンドグリップ(下面カバーを取り替え)
- サムズアップ
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2025.4.28
- 2024.06.13
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