ゴーグル付き初代8枚玉 SUMMICRON M 35mm

LEICA SUMMICRON M 35mm F2 ゴーグル付き(8枚玉)をフィルムレンジファインダーカメラとデジタルレンジファインダーカメラで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
レビュー


1.概要
1958年に発売されたSUMMICRON 35mm F2メガネ付きはライカM3向けに作られたレンズで、M3の50mmファインダー枠を35mmに広くするメガネを装備している。
そのためM型ライカに装着したとき、ファインダー表示枠は50mmになるようにツメが作られており、M3以降のM型ライカボディにおいてもレンズを装着すると50mmの枠が表示される。
メガネ付きレンズは最短撮影距離が0.65mで眼鏡なしレンズの最短撮影距離は0.7mより5cm寄れる仕様となっている。
レンズフードは鏡筒が初代ズミクロンと同一なので、フード名称:IROOAが使える。レンズ鏡筒にストッパーがあるためフードの逆付けができないのは、ゴーグルなしのズミクロンと同じだ。

2.使用感
SUMMICRON 35mm F2メガネ付きの描写は八枚玉そのもので、絞り開放の柔らかなため絞って芯をだしても硬すぎない絶妙な味わいがあるレンズだ。古いレンズなので、逆光時はフードをしていないと、ゴーストやフレアが発生することがある。これは所有していたレンズが古いためレンズの劣化のためかは確証がない。
MマウントSUMMICRONの逆光対策で使用するレンズフードは型名IROOAが有名だ。IROOAは純正、互換品を含めて多くのメーカーからフードが販売されている。また、コシナが展開するVoigtlanderブランドの一部レンズはこのIROOAフードを取り付け可能なレンズもある。
互換品は数社のフードを入手して使用したけれど、フード形状が完全にコピーされているため装着、遮光性で問題が発生したことはない。本レンズに装着するときは正位置の装着は可能だが、逆付けは眼鏡とストッパーがあるためできない。
ゴーグル付きレンズも外観に関しては、塗装、ストッパーの手触りなど通常の8枚玉と同じで、違いは眼鏡のため見た目が仰々しくなるだけである。
この眼鏡部分の縮緬塗装は仕上げも美しく、塗装皮膜も丈夫なようで、販売後の経年と入手してから頻繁にカメラバックから出し入れしているにもかかわらず剥げてくることはなかった。
■フィルムレンジファインダーカメラ KONICA HEXAR RF
KONICA HEXAR RFはM型ライカと寸法を合わせてあるため、眼鏡付きレンズも問題なく使用できる。
フィルムカメラで使用する際、レンズは製造時期を考えるとモノクロフィルムで使うのが適当だが、カラーフィルムで使用した場合においても顕著な色の破綻はなく、その描写はリバーサルフィルムで撮影した際に十分な解像度と立体感を感じることができる。より解像感の落ちるネガフィルムではレトロ感が増した描写になると考えられる。
■デジタルレンジファインダーカメラ LEICA M10、LEICA M9
本レンズは35mmフルフレームセンサーを搭載したデジタル Mシリーズに問題なく装着でき距離計が連動しピント位置を合わせることができる。ファインダーフレームは50mmが眼鏡によって拡張され35mmの視野で撮影が可能だ。
ゴーグル付きレンズは2025年現在リリースされているLEICA M8、LEICA M8.2、LEICA M9、LEICA M typ240、LEICA M10、LEICA M11の全デジタルM型ライカボディへ装着できる。
■デジタルレンジファインダーカメラ LEICA M8
APS-Hサイズセンサーを搭載したLEICA M8ヘの装着も可能で、レンズを装着すると眼鏡によって、M8の50mmのファインダー枠(35mmフィルム判換算65mm相当)を拡張し、ファインダーで見えている枠線は46mm相当のファインダーと同じということになる。
M8の1000万画素で使用した際に出力される画像は、絞り開放における全体の軟らかさは十分に表現され、乱れが気になることがある周辺部がカット(クロップ)されるため、35mmフルフレームセンサーカメラの撮影結果と比較すると、全体的に整った描写となる。
3.まとめ
結論として、SUMMICRON 35mm F2メガネ付きをまとめると、伝説のM型8枚玉を安価に体験できるレンズ。
フィルムM型ライカ、デジタルM型ライカのすべてで装着互換性があるため、所有ボディを問わずに撮影を楽しむことができる。
2020年代に入り、ライカレンズ全般の価格が上昇していることもあり、このレンズも例に漏れず価格上昇している。
仕様・考察など
8枚玉ズミクロンと非球面ズミクロンを比較してみた。変形ガウス型の8枚玉と最新設計の非球面ズミクロンのレンズ構成がまったく異なることがよくわかる。
非球面ズミクロンの図にあるold表記は、鏡筒形状についてフードがフック式の古いモデルをトレースしたのでoldと表記している。
また、6枚玉、7枚玉のレンズ構成図を見ると、この2つは8枚玉からコストダウンに重きをおいて作られていることも分かる。


それぞれのズミクロンについて簡単に記す。
- 6枚玉は玉数が少ないにもかかわらず人気が低いためかどの時代でもたのズミクロン35mmより安価で流通している。
- 7枚玉は5万本と比較的製造されている割りには価格が高く次の非球面タイプと同程度の価格を維持している。
- 非球面タイプは2024年現在も現行レンズで息が長く製造本数も多く、ライカの販売定価が上昇しているため中古価格もそれに合わせて上昇している。
- アポタイプは完全に別世界のレンズで100万円オーバーとなっており、貧者のライカ使いには縁が遠くなっている。
項目 | ズミクロン(初代) | 6枚玉 | 7枚玉 | 非球面 | APO |
焦点距離 | 3.5(cm) | 35(mm) | 35(mm) | 35(mm) | 35(mm) |
最大絞り | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
最小絞り | 16 | 16 | 16 | 16 | 16 |
絞り羽根 | 10 | 10 | 10 | 10 | 11 |
レンズ構成 | 6群8枚 | 4群6枚 | 5群7枚 | 5群7枚 | 5群10枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 眼鏡=0.65 | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 0.3 |
レンズ長(mm) マウント面からの距離 | 29 | 33 | 26 | 34.5 | 40.9 |
レンズ最大径(mm) | 51 | 51 | 52 | 53 | 53 |
フィルター | E39 | E39 | E39 | E39 | E39 |
フード | IROOA | 12504 12585 | 12524 12526 12504 12585 | 12524 12526 12504 12585 | 専用ねじ込み |
マウント | M | M | M | M | M |
重量(g) | 195 * | 170 * | 160 * | 255 * | 320 ** |
リリース年 | 1958~ * | 1696〜 * | 1979〜 * | 1996〜 * | 2021〜 |
製造本数 | 3.8万本程度 * | 2.8万本程度 * | 5万本程度 * | 11万本以上 * | 不明 |
**:公式には重量の数値が発表されていない
参考情報
- LEICA WikiによるSummicron 35mm f2・説明ページ
- LEICA WikiによるSummaron 35mm f2.8・説明ページ
- LEICA WikiによるSummaron 35mm f3.5・説明ページ
- ライカ アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH.公式ページ
- LEICA M10・Shige’s hobby
- LEICA M9・Shige’s hobby
- LEICA M8・Shige’s hobby
- LEICA SUMMICRON M 35mm ASPH.・Shige’s hobby
- LEICA SUMMICRON M 35mm 6elements.・Shige’s hobby
- KONICA HEXAR RF・Shige’s hobby
- KONICA HEXAR RF Limited・Shige’s hobby
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更新履歴
- 2025.10.12
- 2025.5.10
- 2024.12.16
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