Last updated on 2026-05-01
東京・目黒区美術館で開催されている、「目黒区美術館コレクション展 新収蔵品を中心に+清原啓子の銅版画」を鑑賞した感想
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目次
概要
- 展名:「目黒区美術館コレクション展 新収蔵品を中心に+清原啓子の銅版画」
- 会期:2025年10月11日(土)~2025年11月16日(日)
- 場所:目黒区美術館
- 入館料:一般:1,000円、有効期間内のぐるっとパスで1回入館無料
- ぐるっとパスについては、参考情報からリンクを参照のこと
本展は「清原啓子」展示作品は目黒区美術館、町田市立国際版画美術館、八王子市夢美術館、個人蔵で構成されており、「清原啓子」以外の作品はすべて目黒区美術館の所蔵品だ。
展示作品は以下のとおりである。
- ロビーに草間彌生《Endless Love Room》《無限の網B》 2点
- 展示室Aに「多和圭三」 6点
- 展示室Bに「村上友晴」 5点
- 展示室Cに「清原啓子」 37点
- 2階オープンスペースに「寺崎百合子」 4点
- 2階廊下に「安原善明」 陶器2点、「香取正彦」 鋳物1点
本展は展示風景の撮影が撮影可能な場所があるが、撮影可能な場所、撮影写真の利用に条件があるため現地の注意表示を確認して指示を守る必要がある。
感想
■清原啓子
作家が残した作品総数は約30点とそれほど多くないため、一つの展示室に凝縮された展示となっている。
いずれの作品も、過去にどこかで見たことがあるものだが、作品との再会を懐かしみながら、作家の刻んだ線描を堪能した。
銅版画家の清原啓子(1955年~1987年)は、神話などをベースに作家が紡ぎ出した物語を版画で映像化している。その作品の繊細な描写は、銅版に幾重にも線を重ねるという途方もない作業によって生み出されている。
本展では、最終作品となる版画、版画のもととなる素描、版画を刷るための銅版、テスト刷りの版画が展示されており、それぞれを見比べることで鑑賞者がその違いを実感できるようになっている。
最終作品である版画を見ていると、清原の線描の技巧の素晴らしさに何度見ても惚れ惚れしてしまう。その線描は単に細かいだけではなく、彼女が作品を作るときに創作した物語と一体化したもので、作品を鑑賞しながらさまざまな想像を巡らせることができる。今回はテスト刷りから最終作品への移り変わりが見られる作品もあり、作家の試行錯誤と作品の変遷が興味深い。
版画の元となる素描を見ると、確かな画力と、画面全体を構成する要素の配置などの素晴らしい構想力を感じられる。それは、最近鑑賞した国立西洋美術館の「素描展」に展示されていた過去の素晴らしい素描作品に劣らない、見事な線描だ。
版画を刷るための銅版は、光の当たり具合によって彫り跡が生々しく見える。作家自身の下書きがあるとはいえ、失敗が許されない銅版に刻まれた彫りは、作家の命そのもののように感じられる。
作品の収蔵先は、個人蔵と作家の出身地である八王子夢美術館、目黒美術館、山梨県美術館が主なところである。比較的まとまって収蔵されているため、個展では作品を集めやすい作家と思われる。
■多和圭三
最も広いギャラリーAに6作品を贅沢に展示し、抽象的なペイントと物派的な4本の角柱《Untitled》が立っている。空間全体を使ったインスタレーション的な展示で、鑑賞者と作品が重なることで生まれる変化を眺めることができる。また、鑑賞者がいないときは、作品と空間を独り占めする感覚が味わえ、これもまた贅沢である。
まとめ
本展では、新規収蔵品と清原啓子生誕70年記念として所蔵品や他館からの借用品を展示し、清原啓子の全貌を紹介する。
最も大きなギャラリーAは、四角い部屋の一角が山形に折れ曲がるという、個性的な変形6面体の空間となっている。本展示は、この空間を生かした構成となっている。
2025年の建築費高騰などの理由から本美術館の改築計画が宙に浮いているため、計画が固まるまではこの展示が続くはずだ。この空間を生かした展示を今後も期待したい。
関連情報
- 目黒区美術館・公式ページ
- 八王子夢美術館・2017年個展「没後30年銅版画家 清原啓子」・公式ページ
- 須坂版画美術館・2021年個展「夭折の銅版画家 清原啓子展~幻想~」・公式ページ
- 山梨県立美術館 収蔵品データベース・清原啓子
- 東京ぐるっとパス
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更新履歴
- 2025.10.18

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