LEICA APO SUMMICRON R 90mm ASPH.

アポズミクロン R 90mm F2 ASPHのレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • LEICA M typ240
  • CANON EOS-1DsMKIII
  • HASSELBLAD X2D

レビュー

アポ・ズミクロン R 90mm ASPH.は、焦点距離90mmのライカR用中望遠レンズ。
本レンズはすべてのレンズが独立した5群5枚構成で、前群に3枚のレンズを配置し3枚目のレンズの前側が非球面レンズとなっている。ゾナー形式のレンズは非球面レンズのある箇所に2枚か3枚の貼り合わせレンズを配置しており、非球面レンズの採用により補正量の適正化とバルサム切れの心配などから解放されていると推測される。後群は2枚のレンズを配置し、従来のズミクロンは後群が1枚レンズであったことから、この部分での補正も適正化されていると考えられる。

本レンズは旧ズミクロン Rよりもフィルター径60mmを採用し、鏡筒が太くなり重厚感のあるが、Rマウントレンズでは人気レンズの一つであるズミルックス R 80mmよりは、180g程度軽いため小型のミラーレスカメラに付けた際のバランスが良い。
鏡筒前部に引き出し式のフードを装備しているが、引き出し量は控えめで引き出して使うことは少ない。
鏡筒デザインは新世代のRマウントレンズに共通するは凹凸がないストレートな形状で、Mマウント版のマウントに向かって絞られるデザインと姿を異にする。ファットでストレートな鏡筒のデザインを筆者はとても好ましく思う。

写りは最新の非球面を採用したレンズで逆光耐性もあり、何本か所有している中望遠レンズの中ではここぞという場面でこのレンズを選択することが多い。
イメージサークルは広く、HASSELBLAD X2D(X1D / X1DII / X907 / FUJI-GFX)で採用されている44*33mmの中判デジタルセンサーの範囲を完全にカバーしている。35mm判センサーで使用するときは十分な余裕があると思われる。

本レンズはMマウントのアポ・ズミクロンとレンズ構成は同一のように見えるが、一時両方を所有していたとき撮り比べた結果では、Mマウントレンズは中央部が先鋭で周囲が少し緩い、Rマウントレンズは画面全体でフラットで解像感が一定するという結果で案外違いがでるものだと感じた。
筆者の目にそう見えただけかレンズ個体の個性という可能性もあるので、実際には撮影者が自身で試してみるしかないだろう。

アポ・ズミクロン R 90mm ASPH.
アポ・ズミクロン M 90mm ASPH.

両者のスペックを比べて大きく異なるのは、Mマウント版は最短撮影距離が1mで、Rマウント版は0.7mとなっている。90mmの中望遠レンズで後30cm寄れるというアドバンテージは大きい。
Mマウント版も延長チューブを使うか、ミラーレスカメラを使用して補助ヘリコイドをつけるなどすれば、最短撮影距離の調節は可能だが、ライカとしては1mより短い距離の描写性能に関しては考慮していない可能性がある。
EOS-1Ds MKIIIにマウントアダプター経由で取り付けた際も問題なく動作した。

最後に、本レンズは入手性の困難さにおいて、かなり高レベルなレアレンズの一つだ。何せ中古市場に出てくることが珍しい。
Mマウントのアポ・ズミクロン 90mm ASPH.は2024年現在、現行品なので新品の購入が可能で、中古市場でもそれなりに見かけるのとは状況が大きく異なる。
ebayではそれなりの頻度で見かけるので、どうしても入手したい場合は海外からの調達になると考える。しかし、2020年代の円安によって安く買うことはできない。

レンズ構成図はライカ公式Webページより引用

仕様

項目備考
焦点距離(mm)90.9
最大絞り2
最小絞り16
絞り羽根8
レンズ構成5群5枚
最短撮影距離(m)0.7
レンズ長(mm)59.3マウント面からの距離
レンズ最大径(mm)71
フィルター径(mm)60
重量(g)520
リリース年20022003
製造本数2000

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.02.13:改稿
  • 2022.11.02:初稿

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