ハイスピードレンズ APOQUALIA 35mm F1.4

ハイスピードレンズ APOQUALIA 35mm F1.4

APOQUALIA 35mm F1.4(MS-Optics / 宮崎光学)をLEICA M-P typ240とHASSELBLAD X2D-100Cで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA M typ240とHASSELBLAD X2D-100C

レビュー

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1.概要

Ms-Optics APOQUALIA 35mm F1.4は、2016年にMs-Opticsがリリースした焦点距離35mmの大口径レンズ。

レンズ形式に4群6枚のガウス型を採用し、最短撮影距離は0.6m、M型ライカの距離系と連動するのは0.8mまでとなっている。

フィルターは宮崎光学こだわりの逆付けタイプで37mm径を使用する。レンズフードはラッパ型で37mmの逆ネジが切ってあるので、フィルターを装着しその上から装着する。

レンズ外観のバリエーションが豊富で、黒、銀、シルバーロジウム、黒ペイントなど、様々な鏡筒色でリリースされた。別ページで紹介するMAP CAMERAがリリースしたREIROL 35mm F1.4の原型でもある。

2.使用感

Ms-Optics APOQUALIA 35mm F1.4はレンジファインダーカメラ向け35mmレンズ全般にいえるコンパクトにまとまったレンズだ。しかし、メーカー製レンズと比べると、フォーカスリングと絞りリングに製造の問題と思われる隙間が生じている箇所に作り込みの甘さがうかがわれる。
これは2020年代のMs-opticsレンズでは改善されているため、製造時期によるものと考えられる。

描写は絞り開放時は中心付近のピント位置は芯があるけれど、周辺部は像の締まりが無くなる。これはF2.8に絞ることにより改善するため使い方次第で回避できる部分ではある。絞り開放を使うときは、シーンを選ぶことと多用して単調になりすぎないことに気をつけたい。

また、レンジファインダーカメラで使用する場合は、絞り開放時は二重像合致でのピント合わせでは、撮影者の癖をカメラとレンズの相性にマッチした状態でなければ、狙ったところと撮影結果のピント位置がずれることになる。ようするにこれは、二重像の微妙な位置で撮影結果のピント位置が変わるということである。

同じような例として、フィルム時代にNOCTILUX-M 50mm F1の絞り開放時のピント位置が難しいといわれたことと共通する。デジタルレンジファインダーカメラでは撮影後にモニターでピント位置を確認すれば、ピント位置のズレが確認できるため何度か撮影しているとピント位置の補正の癖がつかめる。

そして、2020年代のミラーレスカメラを使えば、高精細EVFによってピント位置を追い込めるため上記のような苦労はなくなる。
作例でも使用したHASSELBLAD X2D のEVFで拡大表示してピント位置を追い込むと、絞り開放では少しフォーカスリングを移動しただけで、ピント面が滑らかに移り変わることが視覚で確認できる。
この微妙な差は機械式の二重像合致では狙ったピント位置で撮影することの難しさをよく知ることができる。

フィルムカメラは絞り開放時の微妙なピント位置を解像するほどの精細さが無いため、デジタルほど神経質になる必要が無い。

レンズの絞り環にはクリップストップがなく、持っている個体の個性かもしれないが絞りリングも緩めで節度がないのが残念だ。

最短撮影距離はレンジファインダーカメラの距離計連動の場合0.8mで球面ズミルックスの1mより寄れるため使い勝手がよい。

ミラーレスカメラでは0.6mまで寄れるが、最近は補助ヘリコイド付きのマウントアダプターが売られているため、それを使えば球面ズミルックスでも実用的な範囲でよった撮影ができる。

ハッセルブラッド X2Dが採用している、44mm x 33mmセンサーサイズに対してはあきらかにイメージサークルが足りず絞り開放では周辺部に減光が見られ、周辺部の画質はよくない。絞り開放では35mmフィルム判でも周辺減光が見られるためイメージサークルは狭いレンズだ。

HASSELBLAD X2D-100C 撮影結果

3.まとめ

結論としてMs-Optics APOQUALIA 35mm F1.4をまとめると、絞り開放ではフワッとした描写で、絞りを絞ると安定するMs-Opticsに共通する特徴を持ったレンズ。絞っても周辺部の描写はマシになる程度なので過度に期待すると裏切られる可能性がある。入手時は可能であればテスト撮影をして好みに合うか見極めた方がよい。

APOQUALIAはF1.3バージョンもあるけれど、こちらの方が絞り開放はより暴れた描写をする。APOLLON 35mm F1.3はAPOQUALIAはF1.3の絞り開放の暴れを押さえたレンズとのことだが、実物を所有していないため、詳細は分からない。

仕様・比較

Before imageAfter image
レンズ名APOQUALIASUMMILUX
焦点距離(mm)3535
最大絞り1.41.4
最小絞り1616
レンズ構成5群6枚5群7枚
絞り羽根12枚10枚
最短撮影距離(m)0.6(0.8まで距離計連動)1.0
レンズ長(mm)
マウント面からの距離
22.528
レンズ最大径(mm)5052
フィルター径(mm)37Series-7
重量(g)85222
Titan color
リリース年20161991
Titan color

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2025.6.17
  • 2024.12.3
  • 2024.03.14
  • 2023.06.09

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