驚きの常設展示・奈義町現代美術館

驚きの常設展示・奈義町現代美術館

「山麓に希有なアート空間」

移動などの旅程情報は、このリンク先を参照のこと。

目次

常設展・奈義町現代美術館

概要

奈義町現代美術館(NagiMOCA)は岡山県奈義町に1994年4月25日日に開館した現代美術館。
建物の設計は磯崎新、以下3作家の作品を常設するために建物は造られている。

  • 大地 ≪うつろひ-a moment of movement≫ 宮脇愛子
  • 月 ≪HISASHI-補遺するもの≫ 岡崎和郎
  • 太陽 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫ 荒川修作+マドリン・ギンズ

感想

訪問した、2025年5月22日は鳥取県美術館、妖精の森・ガラス美術館を訪問し、最後の訪問場所として、奈義町現代美術館にやってきた。到着したのは15時過ぎで併設レストランで休憩しようと思ったら、15時で閉店とのことで休憩し損ねた。

休憩できなかったので美術館に移動し、受付で入場料を支払うと眼に入るのは次の作品だ。
この受付横に簡易休憩所があり、有料で飲み物の提供はしている。

大地 ≪うつろひ-a moment of movement≫宮脇愛子

休憩場の窓越しに作品をみると、水面上に≪うつろひ≫があらわれ、開放空間の水面は風に揺られ映し出される作品も揺れている。奥に目をやるとガラスで仕切られた部屋に賽の河原を思わせる石敷きが見える。

この導入部の景色でテンションが上がる。

通路に沿って作品に近づいていくと中間点で作品が野外と屋内に分離されている。
屋外の水面側は陽光で明るく、屋内の石敷きは水面側の明るさを取り込んでほのかに光っている。

さらに通路を進んで振り向くと、自然光の入る水面側は大きく輝き、石敷きの部屋とのコントラストが美しい。
鑑賞日は曇り空だったが、晴天、雨など天候によってまったく異なる景色があらわれることが想像できる。

この《うつろひ》は各地にあるとのことで、個人的に覧たことがあるのは神奈川県横須賀市にあるカスヤの森現代美術館の《うつろひ》だ。
《うつろひ》は作者 宮脇愛子によると、「彫刻の重苦しさを逃れ、自由な伸びやかさを表現している。」とのことで、基本コンセプトは変わらないけれど、置かれた空間によって作品の意味合いは異なるように感じられる。

奈義町の作品は水面と大地を作品が往復する継続線のイメージで、横須賀の作品は竹林への侵入を拒む警告線のようなイメージだ。他所ではどのようにな印象を持つだろうか?他の展示作品を見にいきたくなった。

この作品を超えた中間点に、各作品の構想図などを展示した部屋があり、ここは鑑賞者を休ませる休憩所的な場所だ。中央に椅子でも置いてもらえるとありがたい。

部屋の右に「太陽」、左に「月」がある。どちらを先に覧るのか?覧る順番によって作品への印象がかわるかもしれないと鑑賞後に思った。初見の今回は深く考えずに右の「太陽」から鑑賞した。

太陽 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫荒川修作+マドリン・ギンズ

先に選んだ右だが、理由はなんとなく?右利きだから?もしくは、妖しげな光に誘われた?など、後付けの理由はいくつか出てくるけれど、はっきりと意識はしていなかった。

部屋に入ると真っ黒な柱の周りに大量の写真が貼られている。作品解説によると、奈義町に住む人達のスナップでこの街におけるプライベートな時間が凝縮されている。

螺旋階段を登りきって空間をのぞき込むと、おおッと声を出しそうになった。

空間内を歩いていると、この空間がゆっくり回転するか、無重力で浮遊するか、地面側に重力を発生させて自由に歩き回れたら、などとにかく自由にこの空間を楽しみたくなる。ここは昔みたガンダムにでてくるスペースコロニーのミニチュア版のような空間だ。

とにかく、この空間は体験してみなければわからない気持ちの良さがある。そして、今回は大本の移動は電車移動だったので普通の広角レンズしか持ってこず、魚眼レンズ、超広角レンズで収めたいそんな空間。

<画像をクリックすると拡大>

月 ≪HISASHI-補遺するもの≫岡崎和郎

太陽という異次元な空間をぬけて、中間の部屋に戻ると狂った平衡感覚が落ち着いてくる。

少し気持ちを落ち着けて、まっすぐ行った先にある、入口からみると左へむかう。

部屋は下写真のとおり、高くい天井と砂漠のような地面が広がる、まさに月面にいるという感覚だ。
そして、視覚の印象と地面を踏みしめたときのギャップに驚かされる。
先ほどの「太陽」が視覚全振りなら、この「月」は聴覚全振りで脳みそを揺さぶってくる。
この空間でコンテンポラリーダンスをみるととても面白そうだと思い、調べると過去にコンテンポラリーダンスのイベントをやっているようだ。誰しも考えることは似たようなものだ。

まとめ

初訪の奈義町現代美術館は驚きの空間だった。
そう易々と訪問できる場所では無いけれど、機会をつくり再び足を運びたい。

1994年に開館とのことで訪問時ですでに30年以上の時間がしている。それでも、施設は美しく維持されており行政含め周囲のバックアップを感じる。
そして、この希有な空間が維持され後世に伝えられることを願う。

移動

奈義町現代美術館へ訪れる方法は、公式ページにも記載のあるとおり、JR津山駅からバスとなる。2025年現在バスは1時間に1本あり、ここを訪問するだけであれば公共交通期間でも訪問は可能だ。

大阪方面からJR津山駅に高速バスが出ているけれど、そこから奈義町に行くバスとの連絡を考えると、バスはなかなか時間がよめないので、少しリスキーかもしれない。

ここから周辺に足を伸ばすことを考えた場合は、自家用車かレンタカーが有力だろう。
鳥取、岡山方面に移動する場合、主要部分は自動車専用道路で山間部も峠部分はバイパスが整備されており、走りづらい道は無かったので天気がよければ山並みを楽しみながらドライブするのもよいだろう。

関連リンク

更新履歴

  • 2025.5.30

撮影機材

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