NIKON LS-4000ED
ニコン ミドルレンジ・フィルムスキャナー
スーパークールスキャン 4000 ED(LS-4000 ED)について、2024年現在のスキャナの実力、動作環境、スキャンソフトをレビューする。
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目次
レビュー
1.概要
LS-4000EDは、2001年の製品でIEEE1394での接続に対応している。
ニコン4桁型番のスキャナの一つで、最大スキャン解像度は4000dpi、入力14bit、出力16bitでおこなう。
価格は定価は19.8万円だった。
35mm判フィルム(36.32 x 24.21mm)を4000dpiでスキャンすると、横方向は36.32/25.4*4000=5720ピクセル、縦方向は24.21/25.4*4000=3812ピクセルの画像を得ることができる。Digital ICE3 ™を搭載しているため、フィルムに埃や傷がある場合は自動的に補正が可能である。
ニコン製スキャナの特徴である、スリップフィルムを自動でのみ込んでくるSA-21アダプタが標準で装備されいる。しかし、スライドフィルムは1枚ずつ処理するアダプターが標準添付となっており、複数枚のスライドをまとめてスキャンするときはオプションSF-210 [スライドフィーダ](定価5万円) の購入が必要である。また、カットしていない長巻きフィルムのスキャンに対応するオプションもある。
スキャナは電源を内蔵しており、ACアダプターは不要である。
2.使用感
スキャン速度は、厳密な速度測定をする前に電源が故障したので、細かい数字は残っていないが、VueScanを使い4000dpiで36コマスキャンすると合計1.5時間程度が必要で、総時間を36枚で割ると1コマ150秒(2分30秒)となる。実際にはフィルムの入れ替え時間を含んでいるため、1コマあたりのスキャン速度はもう少し速いと考えられる。
スキャン結果は、35mmフィルムの最大スキャン解像度4000dpiは2000万画素相当となり、通常の用途にはまったく問題ない。
COOLSCAN 4000 EDとCOOLSCAN Vを使用していたが、4000の光源はRGBの3色LEDで、Vの光源はRGB+Irの4色LEDと仕様が異なる。同一のフィルムをスキャンした結果がないので厳密な比較はできない。
外観の特徴としてIV、4000はフィルム読み込み部にカバーがついているが、V、5000は省略されている。カバーが省略されたV、5000は、スライドマウントアダプタMA-21の挿入部に蓋が付いている。
これはV、5000では使用しないときはMA-21をスキャナに装着しておけということになる。
この違いのためIV、4000のスライドマウントアダプタの型番はMA-20(S) と型番が異なっている。
筐体サイズはIV、V、4000、5000で同一である。
ニコンのスキャナは、電源部分のコンデンサが若干弱く、所有しているSUPER COOLSCAN 4000 EDもコンデンサー不良で電源が入らない。不良コンデンサーを静電容量メーター (LCRメーター)で見つけて、コンデンサーを取り替えれば修理はできそうだが、今のところ手が付いていない。
3.IEEE1394
SUPER COOLSCAN 4000EDはIEEE1394(Apple名称 FireWire)端子だけなので、IEEE1394は端子を持ったPCを用意する必要がある。また、Macのサンダーボルト端子はIEEE1394と互換性があるため、Thunderbolt2-FireWireアダプター(MD464ZMA)を使用すると接続可能である。Thunderbolt3への接続もThunderbolt 3(USB-C)- Thunderbolt 2アダプタを使うと接続可能だが、スキャナの動作は不安定なことがある。
ノートPCなどでUSBしか端子が無い場合は、IEEE1394-USB変換アダプタがAmazonで安価に売られているが、これはくわせものでUSBの端子にIEEE1394の端子を直結しただけで、信号変換などの高度なことはやっていない。IEEE1394とUSB1.1/2.0では通せる電圧が違うにもかかわらず、端子を直結しているため、接続すると機器が壊れることもあるそうで、手を出してはいけない代物だ。
IEEE1394機器はOS側からIEEE1394機器であると認識させないと付属のデバイスドライバなどが使えないため、USBに信号変換ができたとしても、専用のドライバなどが必要な機器の利用は不可能と考える。スキャナなどUSB信号で動作する機器ならスキャナからきたIEEE1394信号→USB信号で動く可能性はあるが、IEEE1394信号をUSB信号に変換する機器を見たことがない。
2002年には、NECの関連会社がIEEE1394とUSBの変換チップを作ったが、これを適用した製品を見たことはない。
スキャンするためにはソフトウェアが必要で、純正のスキャナソフトウェアは、WindowsはWindows 98 SE、Windows 2000 Professional、Windows Meまで、MacはMac OS 8.6 以降(9.x、10.xへの対応は不明)に対応している。
有償スキャンソフトのVueScanは2024年現在、最新OSに対応している。
同じく有償スキャンソフトのSilverFast バージョン9でMac-OS X 15、WindowsはWindows 11まで対応している。
4.スキャナ仕様比較
ニコンのフィルムスキャナは、大きく3つのラインがあり、廉価な3,4,5、35mmフィルム+APSフィルムに対応した高機能モデルの3000,4000,5000、大判フィルムのスキャンが可能な4500,8000,9000。
SUPER COOLSCAN 4000 EDの次世代がSUPER COOLSCAN 5000 EDとなる。
この2機種の違いは、5000EDは光源にIrが追加され4色LEDとなっていることとセンサー数を倍にすることでスキャン速度を高速化している。
当時は意識していなかったがスペック表を見比べると、原稿固定のニコン、センサー固定のコニカミノルタとスキャナの造りに個性がある。
機器名称 | SUPER COOLSCAN 4000 ED | SUPER COOLSCAN 5000 ED | Dimage Scan Elite 5400 II |
型番 | LS-4000 ED | LS-5000 ED | AF-5400-2 |
解像度(dpi) | 4000 | 4000 | 5400 |
画素数 | 3946×5959 | 3946×5959 | 5328×7920 |
センサー | リニアCCDイメージセンサ | 2ラインリニアCCDイメージセンサ | 3ラインカラーCCD (5340画素/1ライン) RGB原色フィルター |
光源 | 3色LED(RGB) | 4色LED(RGB Ir) | 白色LED |
スキャン方式 | 原稿固定 光学系移動式平面走査1パススキャン | ← | 原稿駆動 センサー固定1パススキャン方式 |
速度 | 約38秒(35mmフィルム1枚、4000dpi) | 約20秒(35mmフィルム1枚、MA-21使用、4000dpi) | 約25秒(35mmポジフィルム1枚、画像補正全OFF) |
A/D変換 | 14bit | ← | 16bit |
出力 | 16bit | ← | 16bit |
Digital ICE | ICE 3 | ICE 4 | ICE 4 |
インタフェース | IEEE1394 | USB 2.0 | ← |
自動送り | 6 | ← | ← |
スライド対応 | 有り SF-210を使うと50枚処理可能 | ← | 有り ホルダにスライド4枚装着可能 |
電源 | 内蔵 | ← | ACアダプタ |
重量(kg) | 3.0 | 3.0 | 1.5 |
オプション | ストリップフィルムアダプタ SA-21 スライドマウントアダプタ MA-20(S) ストリップフィルムホルダ FH-3 | ストリップフィルムアダプタ SA-21 スライドマウントアダプタ MA-21 ストリップフィルムホルダ FH-3 | 35mmフィルムホルダ FH-M20 スライドマウントホルダ SH-M20 ACアダプタ AC-U26 |
価格(税抜き) | 19.8万円 | Open(発売時 約13万円) | 10.5万円(Elite 5400) 約7万円(Elite 5400II) |
リリース年 | 2001.3 | 2003.11 | 2003.6(Elite 5400) 2005.2(Elite 5400II) |
Digital ICE3 ™、Digital ICE4 ™、Digital ICE ™は米国EASTMAN KODAK COMPANYの商標であり技術です。
ギャラリー
- LEICA R8
- FISHEYE ELMARIT 16mm
- KODAK GOLD200(ネガフィルム)
参考リンク
- SUPER COOLSCAN 4000ED仕様リンク
- SUPER COOLSCAN 5000ED仕様リンク
- Dimage Scan Elete5400 II
- ニコンフィルムスキャナ製品情報一覧
- NEC、USB 2.0-IEEE 1394相互変換モジュールを発表
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- Nikon Coolscan LS-4000 ED / LS-5000 ED service and repair notes