停滞したローエンド・E-PL7

オリンパス製デジタルカメラ・E-PL7のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー


1.概要
E-PL7は2014年にオリンパス(現OM-SYSTEMS)から発売されたローエンド・ミラーレスカメラ。
主な仕様は、4/3型Live MOSセンサー・総画素数1720万画素で記録画素数は1605万画素、背面液晶は3型46万ドット、外付けの液晶ビューファインダー、EVF2,EVF3,EVF4を装着することができる。
2.使用感
E-PL7はオリンパスのローエンドラインのE-PLシリーズの1つ、ローエンドシリーズの問題点は、付加情報に記しているが、他カメラとのポジショニングから性能、機能が変化しない寂しいカメラだ。
E-PL7はダブルズームキットについてきた、14−42mmと40−150mmで撮影してみた。
撮影結果は特に可もなく不可もなく、一般的な用途には十分な性能を有している。
撮影中に気になったのは、ボディ内手ぶれ補正機能を搭載しているが、手ぶれ補正の恩恵が欲しい照度の低いシーンで、その恩恵を感じることが少なかった。
また、手ぶれ補正機能が原因かはわからないが、シャッターを押した後のレスポンスが悪く、背面液晶の表示がワンテンポ遅れて画面に表示され、撮影画像がズレるような動作をするため、シャッターを押した瞬間を切り取れているのか怪しく感じる。撮影テンポが悪いのは残念だった。
オートフォーカスレンズ以外に、マウントアダプターを用いてマニュアルフォーカスのライカM型レンズも試してみたが、46万ドットの背面液晶で撮影画像のピント位置を見極めるのは難しく、画像を拡大しないとピント位置が判別できないのは少々面倒だ。
外付けの液晶ビューファインダー、VF-2を使ってみたところ、VF-2側に映像を表示するために、VF-2の表示切り替えボタンを押す必要があり、これが一手間かかりめんどうくささがある。
こちらは使用したことはないが、VF-4はアイセンサーを搭載しており、E-PL7は対応カメラなので、面倒からは解放されてる可能性がある。
VF-2 | VF-3 | VF-4 | |
表示画素数 | 144万ドット | 92万ドット | 236万ドット |
視野率 | 100パーセント | 100パーセント | 100パーセント |
ファインダー倍率 (M4/3使用時) | 1.15 | 1 | 1.48 |
ファインダー倍率(35mm判換算) | 0.575 | 0.5 | 0.74 |
アイポイント(mm) | 18 | 17.4 | 21 |
視度調整範囲(m-1)(dpt) | -3~+1 | -3~+1 | – 4~+ 2 |
アイセンサー | なし | なし | あり |
質量(g) | 32 | 28 | 41.8 |
大きさ (幅×高さ×奥行 mm) | 29.4×48.5×46.3 | 25.4×44.1×48.3 | 30.4×48.2×47.8 |
チルト機構 | 上向き最大 90度 | 上向き最大 90度 | 上向き最大 90度 |
シューロック機能 | なし | なし | あり |
発売日 | 2009年12月 | 2011年9月 | 2013年6月 |
・視度調節範囲の単位(m-1)(dpt)はレンズの屈折率を表す「ディオプター(ディオプトリ)」で表記
・VF-4 のアイセンサーは E-P5、E-PL8、E-PL7、E-PL6 に対応
このカメラの位置づけからすると、マニュアルフォーカスレンズで遊ぶカメラではなく、オートフォーカスレンズで使用するカメラだ。
そして、カメラリリース年代的にしょうが無いのかもしれないが、電子シャッターがないのも欠点の一つ。E-PL7のメカシャッターはそれなりの音がして場面によってはうるさいため、静かに撮影したいというニーズには向いていない。
電子シャッターが搭載されるのは、後継機種のE-PL9からで、静音撮影機能として電子シャッター機能が追加されている。
3.付加情報
基本的なシステムは、2012年リリースのE-PL5から大きな進歩は無く、マイナーチェンジをしながらE-PL5>E-PL7>E-PL9>E-PL10と製品が続いてる。
カメラの基本的なコンポーネントが更新されていないのは、マイクロフォーサーズのハイエンドモデルが2000万画素で止まっているので、このモデルは1600万画素で据え置くしか無いという事情もあるのだろう。
E-PL5とE-PL7以降でイメージセンサーが変更になったようだが、画素数がおなじであるため、同じレンズで撮り比べた場合、見分けることは困難と考える。
なんとかカメラに変化を加えようという姿勢は見られるが、結果的に小手先程度の変更にとどまっており、カメラとしての進歩が感じづらいのは残念だ。
E-PL9では電子ビューファインダー(以下、EVF)を装着する端子がなくなり、カメラのコストダウンが進んでいる。しかし、実際にこのクラスのカメラにEVFを付ける撮影者がどの程度いるか考えた場合、そう多くは無いはずで、この変更は合理的な判断だ。
世代は古いけれど、同じ1600万画素のDMC-GM5と写りに差が感じられなかったので、E-PL7は売却してしまった。
仕様
項目 | E-PL5 | E-PL7 | E-PL9 |
カメラ有効画素数 | 1605万画素 | 1605万画素 | 1605万画素 |
レンズマウント | マイクロフォーサーズマウント | マイクロフォーサーズマウント | マイクロフォーサーズマウント |
撮像素子 | 4/3型Live MOSセンサー 総画素数1720万画素 | 4/3型Live MOSセンサー 総画素数1720万画素 | 4/3型Live MOSセンサー 総画素数1720万画素 |
電子シャッター | なし | なし | SCN/APモードの“静音撮影”にて対応 1/16000~60秒 |
手ぶれ補正 | 内蔵式(撮像センサーシフト式手ぶれ補正)角度ぶれ補正(XY軸) | ボディー内手ぶれ補正(撮像センサーシフト式3軸手ぶれ補正) | ボディー内手ぶれ補正(撮像センサーシフト式3軸手ぶれ補正) |
EVF | EVF-2/EVF-3/EVF-4 | EVF-2/EVF-3/EVF-4 | なし |
背面液晶 | 3.0型可動式液晶*約46万ドット(16:9)、静電容量方式タッチパネル | 3.0型可動式液晶 (約104万ドット(3:2)静電容量方式タッチパネル) | 3.0型可動式液晶 (約104万ドット(3:2)静電容量方式タッチパネル) |
内蔵フラッシュ | なし | なし | TTL調光内蔵フラッシュ GN=5.4 |
バッテリー | BLS-50 | BLS-50 | BLS-50 |
外形寸法 幅 x 高さ x 奥行 (mm) | 110.5 × 63.7 × 38.2 | 114.9× 67 x 38.4 | 117.1 × 68.0 × 39.0 |
重量(g) | 約279g(本体のみ) | 約309g(本体のみ) | 約332g(本体のみ) |
ボディカラー | 白、黒、銀 | 白、黒、銀 | 白、黒、ブラウン |
リリース年 | 2012.10.12 | 2014.9 | 2018.3.9 |
定価(税抜き・ボディのみ) | ¥90,000- | 6万6,000円前後 | 7万円前後 |
オプション
- 本革レンズジャケット「LC-60.5GL」(ブラウン/ライトブラウン/ブラック)
- 本革ボディージャケット「CS-45B」(ブラウン/ライトブラウン/ブラック)
参考文献・参考リンク
更新
- 2025.2.17
- 2024.06.07