Steinheil Munchen Orthostigmat 35mm F4.5 VL
シュタインハイル・ミュンヘン・オルソスティグマット 35mm F4.5のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA M9
レビュー
シュタインハイル・ミュンヘン・オルソスティグマート 35mm F4.5は、ドイツの光学メーカー、Steinheil社が同社のカメラ・CASCA II(カスカ 2)用に設計、製造、販売したレンズのマウントをライカL39スクリューに変更して販売されたレンズ。
- カスカ 2については、「カメラレビュー クラシックカメラ専科 No.45「世界のライカ型カメラ」」に詳しい記述がある。
レンズはフォーカスリングのノブとして、二つの球体がヘリコイドに取り付けられており、正面から見ると千葉県浦安の夢の国にいるあのマスコットの顔に似ている。しかし、そいつの耳ほどは大きくはない。
外観写真を撮った際にその特徴的な姿を収めておかなかったのは片手落ちだが、ネットで検索するとフォーカスノブを含んだ画像は見つかるのでそちらを参照して欲しい。
L/Mアダプターを経由して、ライカ M9に取り付けて撮影したところ、距離計にも連動し、先ほどの耳部を持ってフォーカスリングを動かすのもそれほど使いづらくはない。
肝心の写りは、4群6枚と贅沢な構成の割りにF4.5と暗いレンズで開放から全面的にシャキッとした写りを望みたいが、ピント面とその周辺で描写の差が大きい。
レビューによっては周辺減光について言及されることがあるが、ライカ M9で使うかぎりそれほど減光は感じることはなく、ピント面を外れた周辺部の描写が美しくないことの方が気になった。
本レンズの前枠には36.5mmのネジが切られているが、前枠の奥まったところにネジが切られているため、通常のフィルターを使用するのは難しい。この特殊なフィルター枠はライカ・ズミター 50mmで使われている。そのためズミター50mm用にリリースされている、36.5>39mmの変換リングがそのまま転用できる。これを装着することにより、本レンズに一般的な39mmフィルターとレンズフードを使用することができる。最終リリースのエルマー 50mm F2.8用の39mmねじ込みフードがジャストフィットするため使用していた。周辺が蹴られることもなかったと記憶している。
レンズの付属品として、専用の35mmファインダーがあるが、これはオリジナルのCASA IIに35mmファインダー枠がなかった名残で、M型ライカであれば標準装備された35mm ファインダー枠でまかなえるため、この外付けファインダーはそれほど必要な付属品ではない。小さな角形ファインダーは覗いたときの見栄は良くないがカメラのスタイリングとしては悪くないものだ。
本レンズはそれほど製造数は多くなさそうだが、中古市場において高価では無く、また比較的よく売られているのを見かける。その理由としては、焦点距離35mmのレンズとしてはF値が大きい暗いレンズだからだろう。
暗いレンズが安いことは、2024年現在キヤノンのレンジファインダー用35mmレンズを例にするとわかりやすい。
もっとも明るい焦点距離35mm F1.5は40万円を超えているのが、少し暗い35mm F2になると10万円以下になり、より暗い35mm F3.5ともなると数万円で購入できる。レンズの明るさが価格に直結している例である。
これはライカの35mm レンズでも同様で、ズミルックス>ズミクロン>ズマロン>エルマーと明るさで価格の序列が決まっている。さすがに、最新のアポ・ズミクロンはズミルックスよりも高価だが、Mマウントのアポ・シリーズは特別なレンズとの位置づけのためと考えられる。
仕様
レンズ名 | Orthostigmat | ELMAR |
焦点距離(mm) | 35 | ← |
最大絞り | 4.5 | 3.5 |
最小絞り | 16 | 18 |
絞り羽根枚数 | 6 | 6 |
レンズ構成 | 4群6枚 | 3群4枚 |
最短撮影距離(m) | 1.0 | 1.0 |
レンズ長(mm) | – | 14 |
レンズ最大径(mm) | – | 48 |
フィルター径(mm) | 36.5 | 19 |
重量(g) | – | 130 |
リリース年 | 1945 | 1930 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.04.26