PENTAX Q7

ペンタックス製レンズ交換式ミラーレスデジタルカメラ・Q7のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影レンズは、Ms-optics SONNETAR 25mm F1.1

レビュー

ペンタックス Q7はペンタックスQシリーズ3代目のレンズ交換式ミラーレスカメラ。

センサーサイズが1/1.7インチと従来の1/2.3インチよりもすこし大きくなり、35mm版換算係数も従来機の5.53倍から4.55倍とすこし緩和している。STANDARD 01の8.5mmの場合、47mm相当が38.7mmと少し広角レンズとなる。Q7のメリットの一つはこのセンサーサイズが少し大きくなったので、35mm版換算倍率が少し小さくなるため、より短い焦点距離でレンズが使えることだ。

1/2.3時代につくられたレンズはQ7、Q-S1で撮影したとき周辺部がすこし苦しくなる印象がある。Q10のレビューはこちら

所有しているカメラは、カスタマイズカラーのライム+ブラックである。ライムカラーの01 Standard primeも入手しており、カラーコーディネイトは完璧な状態だ。

カメラの起動速度、撮影テンポは一般的な撮影にはまったく問題なく、JPEG(Hi)では1秒間に5コマ撮影できる。Raw形式の場合は連射はできないが、ある程度のゆとりを持って撮影すれば、バッファーあふれにあうようなことは無い。専用レンズにおけるオートフォーカス(AF)速度も動態を追うのでなければ十分な合焦速度と精度がある。

コンパクトなボディの割りにはボタンは多く、メニューを変更しなくてもほとんどの操作が可能であり、撮影中にメニューを呼び出すことは無い。露出補正もダイヤルに割り当てられているし、ISO感度変更、ホワイトバランスなどもボタンが独立している。

記録メディアもSDXCまで対応しており、記録メディアの入手性にはまったく問題が無い。

付属のバッテリーは、型番がD-LI68だが、理由はわからないが型番が変更されD-LI122となっている。フジフィルムのNP-50、NP-50A、コダックのKLIC-7004も同形状である。

ストラップを取り付ける金具も比較的幅のあるストラップが取り付けられる丈夫な金具になっており、カメラの企画が成功していれば、専用のコンパクトな35mm換算1000mmのレンズなど発売されたかもしれないように思われる。たとえば100mm AFミラーレンズ(35mm版換算・500mm)などあればマニアが喜んだかもしれない。

Qシリーズ共通の特徴として、カメラ本体にメカシャッターは存在せず、01、02、06、08の4本は、レンズシャッターを備えている。その他のToyレンズなどはカメラのセンサーシャッターを使って撮影する。ペンタックスKマウントレンズを本カメラで使用するための、「Kマウントレンズ用アダプターQ」はマウントアダプターにシャッター機構を備えており、なんとも贅沢なアダプターである。

ペンタックスQシリーズは、コンパクトなレンズ交換式カメラと言うことで、カメラマニアの支持は高かったが、一般には浸透せずに3年で製品寿命を迎えた。
使っていて思うのは、Q10、Q7の画質はコンパクトデジタルカメラとほとんど変わらない。

3年で終焉したという事実から、画質が同じであれば、レンズ交換できるという付加価値は、一般ユーザーには受け入れられないと言うことを明確に示した製品であろう。一般ユーザーの目を向かせるために、カラーバリエーションを過剰なまでに訴求したが、それもマニア向けの企画に終わってしまったように感じられる。

2020年代に入り、Qシリーズのカメラ屋レンズの中古価格がとても上昇しているのは、皮肉な現象と思われる。さすがにマニアの取り合いで価格が上がっていることは認識しているはずなので、Qシリーズが復活することは無いと予想する。

<余談>

ユーザーの目線では、それなりに費用のかかる、レンズ交換式カメラの購入を視野に入れるとき、オリンパス、パナソニックのM4/3でさえセンサーが小さいと敬遠され、最低でもAPS-Cサイズセンサー、可能ならフルサイズセンサーという選択になるのは十分に理解できる。
このことから同時期の2011年発売の1インチセンサーを採用した、ニコン1の失敗は約束されたものだったのだろう。

このことから2011年からの数年は、レンズ交換式デジタルカメラの方向性を決める岐路の年であったと考えられる。

フジフィルムはAPS-Cサイズセンサーを選んだことで、2020年代にも市場に踏みとどまっているように感じられるが、日本国内への飢餓感をあおるような製品供給ポリシーを見ると、いつ崖から落ちてもおかしくないと思うが、いまのところ熱心なユーザーに支えられているのだろう。

2010年代にマイクロフォーサーズ以下のセンサーが振り落とされ、2020年代はソニーというフルサイズ35mmセンサーの先行者、ニコンとキヤノンという2大勢力が本気で35mmフルサイズセンサーカメラを供給している。しかし、35mmフルサイズセンサーカメラに市場が収斂するかは非常に微妙で、カメラのボディ、レンズ価格は上昇の一途であり、新品の売れ行きが悪くなると中古供給が細くなってくる。日本人の貧乏さとあいまって、今後のどのようにカメラ市場が推移するか、その行く末はとても興味深い。

スマートフォンに駆逐されて、現在のフィルムカメラのような位置に落ち着くという未来も無きにしも非ずと思われる。

Q10タワー CP+ 2013
PENTAX Q7 +01 Standard prime

仕様

項目QQ10Q7Q-S1
画素数1240万画素
センサータイプCMOS
センサーサイズ1/2.31/1.7
手ぶれ補正撮像素子シフト方式
背面液晶サイズ3
背面液晶解像度46万ドット
電子水準器なしあり
バッテリーD-LI68
メディアSD、SDHC、SDXC
サイズ(mm)
幅 x 高さ x 奥行
98 × 57.5 × 31102.0 × 58.0 × 33.5105.0 × 58.0 × 34.0
重量(g)
*1:本体のみ
*2:バッテリー+メディア
180 *1
200 *2
183 *1
203 *2
リリース年2011.8.312012.10.122013.7.52014.8.28
カラーブラック
ホワイト
シルバー(限定)
オーダーカラー
エヴァンゲリオンカラー x3
120オーダーカラー40パターンのカラーバリエーション

オプション

  • 防水リモートコントロール O-RC1
  • オートストロボ AF201FG
  • オートストロボ AF200FG
  • 充電式リチウムイオンバッテリー D-LI68
  • バッテリー充電器キット K-BC115J
  • カメラバッグ O-CB133
  • カメラケース(ストラップ付)O-CC131
  • ソフトケース O-CC1333
  • カメラケース(フロント付)O-CC133
  • Kマウントレンズ用アダプターQ

レンズ

番号名称焦点距離Q10Q7参考価格
01STANDARD PRIME8.5473917,000-
02STANDARD ZOOM5〜1527.5〜82.523〜6925,000-
03FISH EYE3.217.616.510,000-
04TOY-WIDE6.335336,000-
05TOY-TELEPHOTO1899946,000-
06TELE PHOTO ZOOM15〜4582.5〜247.569〜20714,000-
07MOUNT SHIELD11.563533,000-
08WIDE ZOOM3.8〜5.921〜3217.5〜2740,000-
Ms-opticsSonnetar 25mm F1.125137.511548,000-
KINO-SANKYO13mm F1.91371.5605,000-

特許出願のみのレンズ

特許公開番号名称(筆者の推測)焦点距離F値Q10Q7
特開2016-4093(P2016-4093A)
平成28年1月12日(2016.1.12)
WIDE PRIME4.20 *31.82319
特開2014-109711(P2014-109711A)
平成26年6月12日(2014.6.12)
WIDE PRIME4.40 *31.42420
特開2015-4717(P2015-4717A)
平成27年1月8日(2015.1.8)
TELEPHOTO MACRO18.0 *32.89983
特開2014-81457(P2014-81457A)
平成26年5月8日(2014.5.8)
TELEPHOTO PRIME44.65 *31.83533
*3:特許公開の最初に記載された実施例の焦点距離を記載した。特許公開にはいくつかの焦点距離における実施例が記載されている。

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.07.01
  • 2024.06.10

広告

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする

Shige's hobby