PENTAX Q7
3代目・マイクロミラーレスカメラ
ペンタックス Q7のレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影レンズは、Ms-optics SONNETAR 25mm F1.1
レビュー
1.特長と先代Q10との違い
ペンタックス Q71はペンタックスQシリーズ3代目となるレンズ交換式ミラーレスカメラだ。
デジタルカメラの心臓部であるイメージセンサーのサイズが1/1.7インチ(7.5mm x 5.6mm =42mm2)へ変更された。初代のQ、先代のQ102は1/2.3インチ(6.2mm x 4.7mm=29mm2)よりもセンサー面積で1.5倍(正確には1.448・・・倍)大きくなっており、この変更により、焦点距離を35mm版に換算する係数が約4.6倍となりQ、Q10と比べると少しワイドに撮影できるようになる。焦点距離が短くなりワイドに撮影できるのは、風景などを撮影する場合にメリットとなる。
具体的な35mm判換算焦点距離については、リンク先の専用レンズに記載しているが、例えば、標準レンズにあたる01 Standard prime3・焦点距離8.5mmの場合、Q、Q10では35mm版換算焦点距離・47mm相当が、Q7、Q-S1は35mm版換算焦点距離38.7mm相当となる。
センサーサイズの変更は、Q、Q10の搭載していた1/2.3インチセンサー時代につくられたレンズの一部において、Q7、Q-S1で撮影したとき周辺部の画質がすこし悪くなる場合がある。Q10のレビューはこちら。
Q7は記録メディアはSDカード系でもっとも容量を大きくできるSDXCカード4に対応しており、市場において記録メディアの入手性に問題が無いことも大きな利点だ。
付属のバッテリーは型番がD-LI685 で、のちに理由は不明だが型番が変更されてD-LI1226 となっている。フジフィルムのNP-50、NP-50A *1、コダックのKLIC-7004 *1も同形状で互換性がある。
ペンタックス Qシリーズ共通の特徴として、カメラ本体にメカシャッターは存在せず、01、02、06、08の4本は、レンズシャッターを備えている。その他のToyレンズなどはカメラのセンサーシャッターを使って撮影する。ペンタックスKマウントレンズを本カメラで使用するための、「Kマウントレンズ用アダプターQ 7 8」はマウントアダプターにシャッター機構を備えており、なんとも贅沢なアダプターである。
2.使用感
所有しているカメラは、カスタマイズカラーのライム+ブラックで、同色ライムカラーの01 Standard primeも入手しており、カラーコーディネイトは完璧だ。
使っていて一番感じるのは、Q10、Q7の画質はコンパクトデジタルカメラとほとんど変わらないという点だ。コンパクトカメラの画質が悪いのは、センサーが小さいだけでなく、レンズがしょぼいのでという言質をみることがあるが、Pentax Q専用の単焦点レンズ01 Standard primeを使用しても、それほど驚くほどの画を得ることはできないので、2010年代の画像センサーの実力による画質の限界説の方が正しいと考える。2020年代のスマートフォンのカメラに見られるように、極小センサーにおいても、画像処理の性能向上を見ると、Qシリーズは10年程度早かったと思うことがある。
カメラの起動速度、撮影テンポは一般的な撮影にはまったく問題なく、JPEG(Hi)では1秒間に5コマ撮影できる。Raw形式の場合は連射はできないが、ある程度のゆとりを持って撮影すれば、バッファーあふれにあうようなことは無い。
コンパクトなボディの割りにはボタンは多く、メニュー画面に入って変更しなくてもほとんどの操作が可能であり、撮影中にメニューを呼び出すことは無い。露出補正もダイヤルに割り当てられているし、ISO感度変更、ホワイトバランスなどもボタンが独立しておりカメラとしての完成度は高い。
ストラップを取り付ける金具も比較的幅のあるストラップが取り付けられる丈夫な金具になっており、カメラの企画が成功していれば、専用のコンパクトな35mm換算1000mmのレンズなど発売されたかもしれないように思われる。たとえば100mm AFミラーレンズ(35mm版換算・500mm)などあればマニアが喜んだかもしれない。
リコーイメージング株式会社9が出願して公開されている特許によると、単焦点広角レンズ2本、中望遠マクロ、単焦点望遠レンズ、の合計4本の交換レンズが企画されていたことが確認できる。
残念ながらカメラ本体が売れなかったため、これらの企画は実現すること無く終わってしまった。
ニコンでさえ、小サイズセンサーのレンズ交換式カメラの企画で失敗しているので、カメラ事業の規模が小さいペンタックスには、Qシリーズを継続する余力が無かったと思われる。
3.Q用レンズ
専用レンズ(リンクは各レンズの紹介ページに接続)
番号 | 名称 | 焦点距離 | Q Q10 | Q7 Q-S1 | 参考価格 |
01 | STANDARD PRIME | 8.5 | 47 | 39 | 17,000- |
02 | STANDARD ZOOM | 5〜15 | 27.5〜82.5 | 23〜69 | 25,000- |
03 | FISH EYE | 3.2 | 17.6 | 16.5 | 10,000- |
04 | TOY-WIDE | 6.3 | 35 | 33 | 6,000- |
05 | TOY-TELEPHOTO | 18 | 99 | 94 | 6,000- |
06 | TELE PHOTO ZOOM | 15〜45 | 82.5〜247.5 | 69〜207 | 14,000- |
07 | MOUNT SHIELD | 11.5 | 63 | 53 | 3,000- |
08 | WIDE ZOOM | 3.8〜5.9 | 21〜32 | 17.5〜27 | 40,000- |
Ms-optics | Sonnetar 25mm F1.1 | 25 | 137.5 | 115 | 48,000- |
KINO-SANKYO | 13mm F1.9 | 13 | 71.5 | 60 | 5,000- |
特許出願のみのレンズ
特許公開番号 | 名称(筆者の推測) | 焦点距離 | F値 | Q10 | Q7 | |
特開2016-4093(P2016-4093A) 平成28年1月12日(2016.1.12) | WIDE PRIME | 4.20 *3 | 1.8 | 23 | 19 | |
特開2014-109711(P2014-109711A) 平成26年6月12日(2014.6.12) | WIDE PRIME | 4.40 *3 | 1.4 | 24 | 20 | |
特開2015-4717(P2015-4717A) 平成27年1月8日(2015.1.8) | TELEPHOTO MACRO | 18.0 *3 | 2.8 | 99 | 83 | |
特開2014-81457(P2014-81457A) 平成26年5月8日(2014.5.8) | TELEPHOTO PRIME | 44.65 *3 | 1.8 | 249 | 205 |
4.余談
ペンタックスQシリーズは、コンパクトなレンズ交換式カメラと言うことで、カメラマニアの支持は高かったが、一般には浸透せずに3年で製品寿命を迎えた。
3年で終焉したという事実から、画質が同じであれば、レンズ交換できるという付加価値は、一般ユーザーには受け入れられないと言うことを明確に示した製品であろう。一般ユーザーの目を向かせるために、カラーバリエーションを過剰なまでに訴求したが、それもマニア向けの企画に終わってしまったように感じられる。カメラが主力のニコンでさえ、小サイズセンサーのレンズ交換式カメラの企画で失敗しているので、カメラ事業の規模が小さいペンタックスには継続する余力が無かったと思われる。
2020年代に入り、Qシリーズのカメラ屋レンズの中古価格がとても上昇しているのは、皮肉な現象だ。さすがにマニアの取り合いで価格が上がっていることは認識しているはずだが、それでもQシリーズが復活することは無いと予想する。
ユーザーの目線では、それなりに費用のかかる、レンズ交換式カメラの購入を視野に入れるとき、オリンパス、パナソニックのM4/3でさえセンサーが小さいと敬遠され、最低でもAPS-Cサイズセンサー、可能ならフルサイズセンサーという選択になるのは十分に理解できる。このことから同時期の2011年発売の1インチセンサーを採用した、ニコン1の失敗は約束されたものだったのだろう。
これらのことから2011年からの数年は、レンズ交換式デジタルカメラの方向性を決める岐路の年であったと考えられる。
フジフィルムはAPS-Cサイズセンサーを選んだことで、2020年代にも市場に踏みとどまっているように感じられるが、日本国内への飢餓感をあおるような製品供給ポリシーを見ると、いつ崖から落ちてもおかしくないと思うが、いまのところ熱心なユーザーに支えられているのだろう。
2010年代にマイクロフォーサーズ10以下のセンサーが振り落とされ、2020年代はソニーというフルサイズ35mmセンサーの先行者、ニコンとキヤノンという2大勢力が本気で35mmフルサイズセンサーカメラを供給している。しかし、35mmフルサイズセンサーカメラに市場が収斂するかは非常に微妙で、カメラのボディ、レンズ価格は上昇の一途であり、新品の売れ行きが悪くなると中古供給が細くなってくる。日本人の貧乏さとあいまって、今後のどのようにカメラ市場が推移するか、その行く末はとても興味深い。
スマートフォンに駆逐されて、現在のフィルムカメラのような位置に落ち着くという未来も無きにしも非ずと思われる。
仕様・比較
項目 | Q | Q10 | Q7 | Q-S1 |
画素数 | 1240万画素 | ← | ← | ← |
センサータイプ | CMOS | ← | ← | ← |
センサーサイズ | 1/2.3 | ← | 1/1.7 | ← |
手ぶれ補正 | 撮像素子シフト方式 | ← | ← | ← |
背面液晶サイズ | 3 | ← | ← | ← |
背面液晶解像度 | 46万ドット | ← | ← | ← |
電子水準器 | なし | ← | あり | ← |
バッテリー | D-LI68 *1 | ← | ← | ← |
メディア | SD、SDHC、SDXC *1 | ← | ← | ← |
サイズ(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 98 × 57.5 × 31 | 102.0 × 58.0 × 33.5 | ← | 105.0 × 58.0 × 34.0 |
重量(g) *:本体のみ **:バッテリー+メディア | 180 * 200 ** | ← | ← | 183 * 203 ** |
リリース年 | 2011.8.31 | 2012.10.12 | 2013.7.5 | 2014.8.28 |
カラー | ブラック ホワイト シルバー(限定) | オーダーカラー エヴァンゲリオンカラー x3 *1 | 120オーダーカラー | 40パターンのカラーバリエーション |
オプション
- 防水リモートコントロール O-RC1
- オートストロボ AF201FG
- オートストロボ AF200FG
- 充電式リチウムイオンバッテリー D-LI68 *1
- バッテリー充電器キット K-BC115J *1
- カメラバッグ O-CB133
- カメラケース(ストラップ付)O-CC131
- ソフトケース O-CC1333
- カメラケース(フロント付)O-CC133
- Kマウントレンズ用アダプターQ *1
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.8.7
- 2024.07.02
- 2024.06.10
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