3代目・マイクロミラーレス PENTAX Q7

ペンタックス Q7と専用レンズのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影レンズは、
レビュー


1.概要
ペンタックス Q7は2013年に発売された、ペンタックスQシリーズ3代目となるレンズ交換式ミラーレスカメラ。
デジタルカメラの心臓部であるイメージセンサーのサイズを1/1.7インチ(7.5mm x 5.6mm =42mm2)に変更した。
初代のQ、先代のQ10のセンサーは1/2.3インチ(6.2mm x 4.7mm=29mm2)で、Q7のセンサーは面積で1.5倍(正確には1.448・・・倍)大きくなっている。
この変更により、焦点距離を35mm版に換算する係数は約4.6倍で、Q、Q10と比べると少し広角側の拡大により風景などを撮影する場合にメリットとなる。
具体的な35mm判換算焦点距離については、リンク先の専用レンズに記載している。
例えば、標準レンズにあたる01 Standard prime・焦点距離8.5mmの場合、Q、Q10では35mm版換算焦点距離・47mm相当で、Q7、Q-S1では35mm版換算焦点距離38.7mm相当となる。
センサーサイズの変更は、Q、Q10の搭載していた1/2.3インチセンサー時代につくられたレンズの一部において、Q7、Q-S1で撮影したとき撮影画像の周辺部で画質劣化するレンズもある。Q10のレビューはこちら。
Q7は記録メディアはSDカード系でもっとも容量を大きくできるSDXCカードに対応しており、市場において記録メディアの入手性に問題はない。
付属のバッテリーは型番 D-LI68で、のちに型番変更されてD-LI122となっている。フジフィルムのNP-50、NP-50A 、コダックのKLIC-7004も同形状だ。
ペンタックス Qシリーズ共通の特徴として、カメラ本体にメカシャッターは存在せず、01、02、06、08の4本は、レンズシャッターを備えている。その他のToyレンズなどはカメラのセンサーシャッターを使って撮影する。ペンタックスKマウントレンズを本カメラで使用するための、Kマウントレンズ用アダプターQ はマウントアダプターにシャッター機構を備えている贅沢なアダプターである。
2.使用感
所有しているQ7は、カスタマイズカラーのライム+ブラックで、同色ライムカラーの01 Standard primeも入手しており、カラーコーディネイトは完璧だ。
使っていて一番感じるのは、Q10、Q7の画質はコンパクトデジタルカメラとほとんど変わらないという点だ。
コンパクトカメラの画質悪化は小センサーの影響だけで無く、レンズの造りがしょぼいからという憶測もあるけれど、Pentax Q専用の単焦点レンズ01 Standard primeを使用しても、それほどよい画像を得ることはできていないため、2010年代の画像センサーの実力による画質の限界説は正しいと考える。
2020年代のスマートフォンのカメラに見られるように、極小センサーにおける画像処理の性能向上による画質向上を目の当たりにするとQシリーズは10年早かったと思える。
カメラの起動速度、撮影テンポは一般的な撮影にはまったく問題なく、JPEG(Hi)では1秒間に5コマ撮影できる。Raw形式の場合は連射はできない。Rawではゆとりを持って撮影しなければメモリーバッファーのあふれにより、メモリーカードへの書き込み終了まで撮影できない。
コンパクトなボディの割りにはボタンは多く、メニュー画面に入って変更しなくてもほとんどの操作は可能で、撮影中にメニューを呼び出すことは無い。露出補正もダイヤルに割り当てられているし、ISO感度変更、ホワイトバランスなど独立したボタンとなっていてカメラの完成度は高い。
ストラップを取り付ける金具も比較的幅のあるストラップを取り付けられる丈夫な金具になっており、順調に製品が売れれば、専用のコンパクトな35mm換算1000mmのレンズなど発売されたかもしれないように思われる。たとえば100mm AFミラーレンズ(35mm版換算・500mm)などあれば、マニアは喜んだかもしれない。これは、Kマウントレンズ用アダプターQ にKマウントレンズを装着することで一部実現可能だけれどレンズは無駄に大きい。


3.まとめ
結論としてPENTAX Q7をまとめると、従来Qシリーズよりわずかにイメージセンサーのサイズは大きくなったけれど根本的な画質は変わらない。Qシリーズは小センサーでもレンズ性能で画質はよくなるという幻想を打ち砕き、小センサーカメラにとどめを刺した。
2025年現在のスマホのように画像処理で絵画を描くような絵作りを指向するのであれば、レンズ交換式のカメラを使う必要性は無い。このカメラも時代の曲がり角にあらわれたあだ花で、だからこそ少数のマニアに愛されているとも言える。
余談
ペンタックスQシリーズは、コンパクトなレンズ交換式カメラと言うことで、カメラマニアの支持は高かった。しかし、一般に浸透せずに3年で製品寿命を迎えた。
この事実から、撮影画像のクオリティがコンパクトデジカメと同等でレンズ交換できるという価値は、カメラ大手の一つニコンも小サイズセンサーのレンズ交換式カメラで失敗しているため、一般ユーザーにはそれほど訴求しないことを示したと言える。
これはユーザーの目線で考えると、それなりに費用のかかるレンズ交換式カメラの購入を考えるとき、オリンパス、パナソニックのM4/3でさえセンサーサイズの小ささはネガティブな要因とされる。
店に赴いたら、最低でもAPS-Cサイズセンサー、可能ならフルサイズセンサーという選択になるのは十分に理解できる。
これらのことから2011年からの数年は、レンズ交換式デジタルカメラの方向性を決める岐路の年であったと考えられる。
2020年代に入り、Qシリーズのレンズ中古価格の上昇は少ないパイを奪い合うことで成立している皮肉な現象だ。
2010年代にマイクロフォーサーズ以下のセンサーは振り落とされ、2020年代はソニーというフルサイズ35mmセンサーの先行者、ニコンとキヤノンという2大勢力が本気で35mmフルサイズセンサーカメラを供給している。
フジフィルムはAPS-Cサイズセンサーを選んだことで、2020年代にも市場に踏みとどまっているように感じられる。
日本国内への飢餓感をあおるような製品供給ポリシーを見ると、いつ崖から落ちてもおかしくないと状況だけれど現時点は熱心なユーザーと巧みな商品供給によって支えられている。
現時点で多くの供給者がいるデジタルカメラという道具が今後のどのよう推移するか非常に興味深い。
仕様・シリーズカメラ比較
項目 | Q | Q10 | Q7 | Q-S1 |
画素数 | 1240万画素 | ← | ← | ← |
センサータイプ | CMOS | ← | ← | ← |
センサーサイズ | 1/2.3 | ← | 1/1.7 | ← |
手ぶれ補正 | 撮像素子シフト方式 | ← | ← | ← |
背面液晶サイズ | 3 | ← | ← | ← |
背面液晶解像度 | 46万ドット | ← | ← | ← |
電子水準器 | なし | ← | あり | ← |
バッテリー | D-LI68 | ← | ← | ← |
メディア | SD、SDHC、SDXC | ← | ← | ← |
サイズ(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 98 × 57.5 × 31 | 102.0 × 58.0 × 33.5 | ← | 105.0 × 58.0 × 34.0 |
重量(g) *:本体のみ **:バッテリー+メディア | 180 * 200 ** | ← | ← | 183 * 203 ** |
リリース年 | 2011.8.31 | 2012.10.12 | 2013.7.5 | 2014.8.28 |
カラー | ブラック ホワイト シルバー(限定) | オーダーカラー エヴァンゲリオンカラー x3 | 120オーダーカラー | 40パターンのカラーバリエーション |
オプション
・Q用レンズ
専用レンズ(リンクは各レンズの紹介ページに接続)
番号 | 名称 | 焦点距離 | Q Q10 | Q7 Q-S1 | 参考価格 |
01 | STANDARD PRIME | 8.5 | 47 | 39 | 17,000- |
02 | STANDARD ZOOM | 5〜15 | 27.5〜82.5 | 23〜69 | 25,000- |
03 | FISH EYE | 3.2 | 17.6 | 16.5 | 10,000- |
04 | TOY-WIDE | 6.3 | 35 | 33 | 6,000- |
05 | TOY-TELEPHOTO | 18 | 99 | 94 | 6,000- |
06 | TELE PHOTO ZOOM | 15〜45 | 82.5〜247.5 | 69〜207 | 14,000- |
07 | MOUNT SHIELD | 11.5 | 63 | 53 | 3,000- |
08 | WIDE ZOOM | 3.8〜5.9 | 21〜32 | 17.5〜27 | 40,000- |
Ms-optics | Sonnetar 25mm F1.1 | 25 | 137.5 | 115 | 48,000- |
KINO-SANKYO | 13mm F1.9 | 13 | 71.5 | 60 | 5,000- |
・特許出願のみのレンズ
リコーイメージング株式会社の出願し公開された特許によると、単焦点広角レンズ2本、中望遠マクロ、単焦点望遠レンズ、の計4本の交換レンズを企画していたことがわかる。Qシリーズの終売で新レンズの企画は実現すること無く終わる。
特許公開番号 | 名称(推測) | 焦点距離 | F値 | Q10 | Q7 | |
特開2016-4093(P2016-4093A) 平成28年1月12日(2016.1.12) | WIDE PRIME | 4.20 *3 | 1.8 | 23 | 19 | |
特開2014-109711(P2014-109711A) 平成26年6月12日(2014.6.12) | WIDE PRIME | 4.40 *3 | 1.4 | 24 | 20 | |
特開2015-4717(P2015-4717A) 平成27年1月8日(2015.1.8) | TELEPHOTO MACRO | 18.0 *3 | 2.8 | 99 | 83 | |
特開2014-81457(P2014-81457A) 平成26年5月8日(2014.5.8) | TELEPHOTO PRIME | 44.65 *3 | 1.8 | 249 | 205 |
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参考情報
更新履歴
- 2024.8.7
- 2024.07.02
- 2024.06.10
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