V Planar 80とライカSのマリアージュ

HASSELBLAD V PLANAR 80mm 6枚玉をLEICA S Typ007で使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例(Leica S typ007)
レビュー


1.概要
プラナー80mm 6枚玉は、古いハッセルブラッドVマウントレンズ。
ライカ Sシリーズは、45mm x 30mmの中判デジタルセンサーなので、0.8倍の係数がかかり、35mm判換算では64mm相当になる。
絞りはハーフストップなしの、F2.8〜F22までほぼ等間隔である。電気接点はない、Cタイプのレンズである。無限から最短の3feet(0.914m)まで250度程度の回転角がある。所有している個体は、シルバーのノンT*でプレビューボタンのあるタイプで、シリアルナンバーから1956年の製造である。マウント面には「MADE IN GERMANY WEST FOR HASSELBLAD」の刻印がある。
2.使用感
他のプラナー80mmを持っていないため、写りを比較したことはないが、古いレンズなりの柔らかな描写は気に入っている。LEICA S typ007ではカメラのシャッターを使用している。
レンズ自身は6×6をカバーするレンズなので、中判デジタルセンサーでも周辺部にも不満はない。
むしろ、2023年現在67年前のレンズがこれだけ実用に耐えることが素敵なことだと思う。レンズは資産なりと思わせてくれる。
マウントアダプターはライカ純正の以下のアダプターを使用しているが、レンズシャッターを駆動する機構はなくカメラとレンズを繋ぐ筒である。

Metabones社からも、同様の働きをする「ライカS用 ハッセルVアダプター」が発売されている。ライカ純正にくらべると安価なことが特徴だ。
フォーカスリングは一番手前にあるが、マウントアダプターを経由するとほどよく使い易い位置にくる。絞りのプレビューボタンは少々渋く、丁寧に扱ってやる必要がある。マウント遊びをするためには、プレビューボタンはあるのはありがたい。
コメントにて、「6枚玉など古いハッセルのレンズのプレビューボタンはハッセルVシステムのボディに付けた状態で操作しないと壊れるそうですよ。」とご忠告をいただいているので、マウントアダプターでプレビューボタンを操作する場合はご注意願う。貴重なレンズが壊れても当方如何様にも保証できません。
3.付加情報
HASSELBLAD VマウントのCシリーズレンズのPLANARは、クローム色のレンズについて1956~1961年頃のnonT*は『6枚玉』、1960~1973年頃のnonT*は『7枚玉』、1971~1972年頃のT*は『7枚玉』、その後の黒いCレンズ、CFレンズは『7枚玉』、CBレンズはオーソドックスなプラナー形式の6枚玉に回帰する。初期の6枚玉とCBの6枚玉は前玉の曲率の違いからレンズは異なることがわかるが、レンズ構成が同様かは不明だ。
下図は左がCFで右がCB、Zeissが公開している過去のレンズデータベースPDFから引用した。


仕様
項目 | P80 | C-P80 | CF-P80 | CB-P80 |
焦点距離(mm) | 80 | 80 | 80 | 80 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 22 | 22 | 22 | 22 |
レンズ構成 | 4群6枚 | 5群7枚 | 5群7枚 | 5群6枚 |
絞り羽根 | 5枚 | 5枚 | 5枚 | 5枚 |
最短撮影距離(m) | 0.9 | 0.9 | 0.9 | 0.9 |
レンズ長(mm) | 52 | 51.7 | 65 | 64.7 |
レンズ最大径(mm) | 76 | 78 | 82.5 | 83.2 |
フィルター径(mm) | B50 | B50 | 60 | 60 |
重量(kg) | 458 | 465 | 510 | 550 |
フード | B50フード | B50フード | B50フード | B50フード |
マウント | HASSELBLAD-V | HASSELBLAD-V | HASSELBLAD-V | HASSELBLAD-V |
製造年 | 1956 | 1960 | ? | ? |
参考リンク
- ZEISS製造終了レンズ・データシート
- HASSELBLAD C PLANAR 80mm F2.8(7枚玉)
- HASSELBLAD CF PLANAR 80mm F2.8(7枚玉)
- HASSELBLAD CB PLANAR 80mm F2.8(6枚玉)
- Planar 80mm F2 仕様書
- HC 2.8/80 公式サイト
- 三葉堂写真機店の6枚玉ページ
- Photo Yodobashi 6枚玉ページ
- ハッセルブラッド製造年を調べる方法について記述されたページ
更新履歴
- 2024.03.07:改稿
- 2023.04.29:初稿