RICOH Caplio RR1
リコー製デジタルカメラ Caplio RR1のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー
Caplio RR1はリコーが2000年に発売した、レンズ一体型デジタルカメラ。
某所でジャンク品を拾ってきたのだが、ジャンク品とのことで、付属バッテリーはすでに劣化しており充電しても電気がたまらない。バッテリー蓋は爪が摩耗しているようで、テープ止めしないとバッテリーが落下する。なかなかのジャンク品である。
それでも2020年代のオールドコンデジブームによってそれなりの価格になっているのは若干悔しい。2010年代は1000円くらいで売られていたと思う。
このカメラは仕様表に記載したとおり、この蒲鉾板のような形状の兄弟カメラは計5種類発売されている。
そのなかでRDC-7、RDC-7s、Caplio RR1(以下、RR1)が直系の3兄弟となる。
RDC-i700とCaplio RDC-i500は、ボディが上記3兄弟より大型化していており、大きくなったスペースを生かして記録メディアにコンパクトフラッシュを採用するなどして、RDC-7シリーズをスケールアップしたようなカメラとなっている。
RR1は映像センサーに1/1.8型原色CCD・400万画素を搭載しており、5機種の中でもっともセンサー画素数が高く、記録画素数は、400万画素フルの2272 × 1704ピクセルを、非圧縮のTIFF(以下、TIFF)、FINE(1/4-JPG)、NORMAL(1/8-JPG)、ECONOMY(1/16-JPG)で保存できる。
記録画素数を落とすこともできるが、静止画撮影では使わないであろう。
カメラの動作は全体的に動作はのんびりしている。オートフォーカス(以下、AF)もかなりのんびりしており、動いている物や決定的瞬間を撮ることは難しい。
画質は、この時代のカメラなりで、最低感度のISO150でもそれなりにノイズが浮いている。逆光時は派手なゴースが発生するが、これはレンズが劣化しているためか、そもそものコーティングなどの問題かを判断できない。
最高画質のTIFFは、画像サイズが1枚あたり7.8MBとなっており、128MBのスマートメディアを使用すると16枚保存可能である。これは昔の12枚撮りフィルムを彷彿とさせる撮影枚数だ。
次によい画質のFINE(JPEG)は1枚1.5MB程度となっており、128MBのスマートメディアを使用すると85枚保存可能で一般的な撮影目的では不満は無い。
そこで、FINEとTIFFの画質差を確認するために、TIFFで撮影したところ、2つの大きな問題が判明した。
- 記録時間がかかりすぎ
- 記録画像の色が異常
「記録時間かかりすぎ」問題は、シャッターボタンを押した後、1枚の画像記録完了までに手動計測で37秒かかるのだ。この時代のカメラなので画像記録が終わるまでカメラはフリーズ、データ書き込みをひたすらしているため、バッテリー消耗が非常に激しい。
へたりのきている中古のバッテリーで、満充電から4枚撮影したらバッテリーが空になった。FINE(1/4-JPG)の場合、画像記録時間2秒程度、40枚くらい撮影できたので、TIFF撮影のバッテリー消耗が激しいことがよくわかる。
「記録画像の色が異常」問題は、TIFFで記録した画像はPCで確認すると色がおかしい。下画像のようにオレンジの花が青色に、空の水色は薄オレンジに綺麗に変換されている。
この現象は結論から言うと、Macの特定ソフトウェアの表示問題のようだ。
Macの画像処理ソフトAffinity Photo2を使用するか、画像をWindows PCにコピーし、フリーの画像ビューアーを使用すると正常な色で表示された。
JPGの撮影結果、TIFF撮影時にカメラの液晶に表示される画像、撮影後の画像再生では正しい色が表示されている。
TIFF画像は画像本体の他にサムネイル用のミニ画像を別に持っている。それが正しく記録されているか確認するため、Macの画像表示ソフトプレビューで表示したところ、サムネイル画像も青くなっている。PCへのコピーしたときにデータが変質したのかと疑い、スマートメディアの画像をカードリーダーから直接、Macのプレビューで読み込んだが結果は同じであった。
カメラとPCで表示が違うということは、色の取り扱い方法の問題と推測されるため、Windows PCに問題の画像をコピーし表示すると、正常に表示された。どうやら、Macの画像表示ソフト・プレビューは古いTIFFを正常に表示できないようだ。
Macでも正常に表示できるソフトが無いか検討したところ、有償のAffinity Photo 2は問題のTIFF画像を正しい色で表示できることがわかった。もう一つ別のソフトで、普段Raw現像に使用している、HASSELBLADのPhocusはCaplio RR1のTIFFを表示させると、プレビュー同様に色異常が発生した。
上記結論にいたるまでに、青い画像を画像処理ソフトで、色を修正できるか少し試してみたが、ネガポジ変換はNG、ホワイトバランスの変更もNGと、試したかぎりの画像処理では修正できなかった。
Macで見る青い画像も、これはこれで美しい撮影結果なのだが、TIFF画像にこのような落とし穴があろうとは思いもしなかった。
Caplio RR1でTIFF画像を記録するためには、撮影メニューにある「非圧縮」>「ON」に変更する、この変更はカメラ電源を切るたびに「非圧縮」>「OFF」にリセットされるため、TIFF画像を記録したい場合は撮影時に毎回、撮影メニューから「非圧縮」>「ON」を設定する必要があり、このモードをあまり使って欲しくない空気を感じる。
また、AFが任意の場所に合焦しないときマニュアルフォーカス(以下、MF)を使いたくなるが、AF / MFのフォーカスモード変更もメニュー内に設定があるため、変更するのはけっこう面倒くさい。
この時代のカメラなので、AF性能は期待できず、フォーカスが迷って電池を消耗することが多いので、サクッとMFモードに変更できないのはストレスを感じる。
しかし、20数年前のカメラなので文句を言っても詮無きことだとは重々承知している。
また、ボディ周りがRDC-7の直系であるため、記録メディアが低速、低容量のスマートメディアになっているところも惜しい。Caplio RR1にコンパクトフラッシュスロットを積んでいればと思うが、たとえそうであったとしても売上げに大きく影響したとは思えないので、スマートメディアの継続を決断したのは正しい判断のような気がする。
幸い我が家には、過去デジカメを購入した際におまけとしてついてきた128MBのスマートメディが大量にあるため、記録メディアに困ることはない。
バッテリーは、比較的汎用性の高いバッテリーを採用しており、下表に示すメーカーの型番が同じ形状、電圧で互換性があるバッテリーだ。
カメラメーカー | バッテリー型番 |
フジフイルム/FUJIFILM | NP-80 |
リコー/RICOH | DB-20、DB-20L、DB-30 |
KODAK/コダック | KLIC-3000 |
東芝/TOSHIBA 京セラ/kyocera | BP-1100R |
仕様・比較
カメラ名 | RDC-7 | RDC-7S | RDC-i700 | Caplio RDC-i500 | Caplio RR1 |
センサー | 1/1.8型原色CCD | ← | ← | ← | ← |
画素数 | 334 | ← | 324 | ← | 395 |
レンズ構成 | 7群10枚 | ← | ← | ← | ← |
焦点距離 | 7.3~21.9 | ← | ← | ← | ← |
35mm判換算焦点距離 | 35~105 | ← | ← | ← | ← |
開放F値 | 2.6~3.4 | ← | ← | ← | ← |
最短撮影距離(mm) | 10 | ← | ← | ← | ← |
ファインダー | 実像式光学ズーム | ← | ← | ← | ← |
LCD | 2型 TFT液晶 20万画素 | ← | タッチパネル付 3.5型TFT液晶20万画素 | 2型 TFT液晶 20万画素 | ← |
ISO感度 | 150、200、400 | ← | ← | ← | ← |
記録メディア | スマートメディア | ← | コンパクトフラッシュ PCMCIA ATAカード | コンパクトフラッシュ | スマートメディア |
バッテリー | DB-20L | ← | DB-30 | ← | DB-20L |
外観寸法(mm) 幅 x 高 x 奥行 | 135 × 27 × 74 | ← | 157 × 33 × 93 | 142 × 30 × 78 | 135 × 27 × 74 |
重量(g) | 270 | ← | 450 | 295 | 270 |
ボディ色 | シルバー ブラック | シルバー | ← | ← | ← |
発売日 | 2000年6月16日 | 2000年11月17日 | 2000年9月20日 | 2001年4月20日 | 2001年9月21日 |
希望小売価格 (税別) | 108,000円 | ← | 158,000円 | 115,000円 | オープン 7~8万円 |
オプション
- RICOH BJ-1 充電器
- ACアダプター AC-3
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.08.1:初稿