リコーブランド立役者 RICOH GR1

リコー製フィルムカメラ・GR1のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 使用フィルムはKODAK Kodachrme64(KR64)で、デジタル化はMINOLTA DiMAGE Scan PROを使用した。スキャニングはVueScanのKodachrmeプロファイルでスキャンし調整している。
レビュー
- 外観図、レンズ構成図は参照リンクの技術報より引用した。
1.概要
RICOH GR1はリコーが1996年にリリースした、28mm広角レンズを搭載したフィルムカメラ。
フィルムのGRシリーズは真にコンパクトと呼べるカメラで、フィルムパトローネから数ミリしか厚みがないボディに、レンズ、フラッシュ、ファインダー、デート機能(デート付きと無しモデルあり)が詰め込まれている。
GR1はフィルムを詰め込むと、一度カメラにすべてのフィルムを巻き上げ、撮影しながらフィルムパトローネへ戻していく。これは撮影開始前に巻き上げ作業が入るため撮影開始に少し時間がかかるけれど、撮影結果はパトローネへ戻されていくため、撮影結果が裏蓋が空いてしまったなど、トラブル時に撮影済みフィルムがる感光で焼ける可能性が低いという利点がある。
2.使用感
RICOH GR1の作例はコダック コダクローム 64を使用しており、GR1に搭載されたGRレンズ・28mmとあいまって、独特の渋い色のりと青色がとても印象的にでている。
GR1のファインダーは撮影範囲を確認するだけの簡単なものでピントの確認はできないため、ピント合わせはオートフォーカスかマニュアルフォーカスとなる。
オートフォーカスは晴天下ではっきりとした被写体がある場合はピントを外すことはない。しかし、一般的にカメラが苦手とする、逆光、暗所、風景と同化しがちな被写体などは、オートフォーかではピントを外すこともある。
フィルムでの撮影はデジタルカメラに比べるとピント位置の厳密さが軽減されるため、MFモードにして目測で撮った方がよい結果を得られることもある。
GR1はフードがないため、逆光など強い光源が撮影方向ある場合、好ましくない光が写ることがあった。
デジタルカメラであれば、その場でプレビューして、怪しい光を確認してから、ハレ切りというプロセスで回避できるがフィルムカメラはそれができないため、経験で回避していくしか無い。GR1をマイナーチェンジしたGR1s、GR1vはバヨネットフードが装着できる。
フィルムカメラを使わなくなりGR1が余っていたので、Ms-optics / 宮崎工学にレンズを取り出して、ライカMマウントに換装できるか聞いたところ、このレンズはレンズの組み付けが特殊で単純に鏡筒部分を抜いて、Ms-Opticsの28mmヘリコイド(MS-28)に嵌めて使うことができないため、Mマウントへの換装はできないと伺った。
3.まとめ
結論として、RICOH GR1をまとめると、真にコンパクトなカメラで、さくさくっシャッターを押しているとあっという間に36枚を消費する。そこがこのカメラの良さであり、1990年代であればネガフィルム1本と現像代で1000円だったので、趣味の撮影者にも許容できるお遊びだった。
しかし、2020年代のフィルム+現像代は、よほどゆとりのある撮影者以外は気軽に枚数を撮れる環境では無いため使いどころが難しい。フィルムカメラの価格が劇的に下がることはないので、35mmフルサイズセンサーがパトローネに一式入るような技術革新が待ち望まれる。
余談 コンパクトフィルムカメラ諸々話
フィルムカメラの記録媒体はフィルムで、コンパクトカメラであれ、一眼レフであれ、同じものを使っていた。デジタル時代になると、35mmフルサイズセンサーでまともな画像をつくるためには、大型のレンズが必要になり、35mmサイズセンサーを積んだ、高級コンパクト(コンパクトというところが重要)は成立しなくなった。
GRシリーズはリコーを代表するカメラで、GR1からはじまるGRシリーズなければリコーはコンシューマカメラから撤退していた可能性すらある。
以前には同程度の大きさのカメラ・R1があり一定の評価を得ていた。これをプロが認めるカメラに仕立て上げ、さらに世間への浸透させたという点で、GRシリーズはリコーブランドのカメラにとって立役者と言える。
35mmフィルムを使用するコンパクトカメラでは、MINOLTA TC-1も高級コンパクトに分類されるカメラだ。
しかし、GR1とTC-1のコンパクトの方向性が異なる。
その違いは見た目のとおりでGR1は薄さを極める方向で設計され、TC-1は横幅を最小にする方向で設計された。
35mmフィルムという固定されたサイズを前提にカメラの機能を損なわずに、できるだけ小さいカメラを創るという矛盾を成立させた進化の両極として興味深い存在だ。
また、高級コンパクトカメラはコンタックスのTシリーズ、ライカのMINILUX、ニコンの28Ti、35Ti、フジフィルムはKLASSE、コニカのBIG MINIシリーズなど多彩なフィルムカメラがリリースされた。
高級コンパクトカメラから縁遠いのは、キヤノン、ペンタックス、オリンパスで、キヤノンは早々にコンパクトカメラから手を引いたので、高級コンパクトカメラは造っていない。ペンタックス、オリンパスも高倍率ズームなど独自路線を推進していた。
時代はデジタルカメラに移り、現在のRICOH GR(デジタル)は、小センサーの1/1.8型から、APS-Cサイズにスケールアップし、そこでの熟成を進めている。
これは35mm判フルサイズセンサーの採用による、レンズとボディの大型化を嫌いつつ、画質のカメラサイズのバランスをとった結果だ。
仕様
項目 | GR1(GR1s,GR1v) | GR21 | MINOLTA TC-1 |
焦点距離 | 28 | 21 | 28 |
レンズ構成 | 4群7枚 | 6群9枚 | 5群5枚 |
絞り羽根 | 7 | 7 | 円形回転式 |
絞り | 2.8-16 | 2.8-16 | 2.8/5.6/8/16 |
シャッタースピード | 1/500 | 1/500 | 1/750 |
最短撮影距離 | 0.35 | 0.3 | 0.45 |
ファインダー | 採光式逆ガリレオ方式 0.43倍 縦:81% 横:83% | 採光式逆ガリレオ方式 0.33倍 83% | 実像式 0.4倍 85%/3m |
バッテリー | CR2 x1 | CR2 x1 | CR123A x1 |
記録メディア | 35mmフィルム | 35mmフィルム | 35mmフィルム |
外形寸法(mm)幅 x 高さ x 奥行 | 117 × 61 × 26.5 | 117 × 64 × 26.5 (鏡胴部38.5mm) | 99×59×29.5 |
重量(g) | 175(デートなし・ボディのみ) 177(デートつき・ボディのみ) | 200 (ボディのみ) | 185 (ボディのみ) |
リリース年 | 1996(GR1) 1998(GR1s) 2001(GR1v) | 2001 | 2000.4 |
価格(税別) | GR1 デートなし:90,000円 デートつき:100,000円 GR1s デートなし:95,000円 デートつき:105,000円 GR1v デートなし:98,000円 デートつき:108,000円 | 138,000 | 125,000 |
オプション
- 革ケース
- フード(GR1s、GR1v)
参考情報
- 高画質薄型高級コンパクトカメラリコーGR1|リコーテクニカルレポートNo.23
- GR1sリコー公式ニュースリリース
- GR1vリコー公式ニュースリリース
- GRist 21 森山大道さん:リコーイメージング株式会社
- RICOH GR1・Shige’s hobby
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更新履歴
- 2025.5.11
- 2024.12.15
- 2024.01.07
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