ツァイス・超広角 SUPER ELMAR R 15mm F3.5

ツァイス・超広角 SUPER ELMAR R 15mm F3.5

SUPER ELMAR R 15mm F3.5を一眼レフカメラ+フィルム、ミラーレスカメラとデジタル一眼レフカメラとで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

SUPER ELMAR R 15mm F3.5は1979年にリリースされたライカRマウントレンズの中で最も広角なレンズの一つ、販売当時は特殊な広角レンズで製造本数は約3000本、レンズ構成は12群13枚、絞り羽根は5枚、最短撮影距離は0.16mとなっている。

フロント側にフィルターを装着できないかわりに、専用のフロントキャップ14294が用意されている。また、レンズには4色のカラーフィルターが内蔵されている。

スーパーエルマーのマウントは、3-CAM(オーダーナンバー:11213)、ROM端子付き(オーダーナンバー:11325)がリリースされている。日本の中古市場でROM端子付きを見かけたことはないがebayではときどき売りにでている。RオンリーCAMが存在するかは不明である。

2.使用感

SUPER ELMAR R 15mm F3.5はライカ製のレンズではなくカール・ツァイスが設計、製造している。詳細については「仕様・考察など」に記している。

このレンズは超広角レンズなのでピントの山がわかりづらく、遠景の撮影ではF5.6程度にすればほとんどパンフォーカスとなり、近接の撮影は絞ってなんとなく目測でピントを合わせることも多かったが、ミラーレスのEVFではピント位置を拡大確認できるようになったので、厳密にピント合わせをするようになった。

撮影に関しては、正面に太陽をおいた場合は妖しげな光はでないが、斜めに太陽を置くと派手なゴーストが出ることもあるので太陽の位置には注意が必要だ。絞り開放では隅が甘くなる印象を持つ(周辺はピント位置からずれてぼけているのが甘さに見えることもあると思う)こともあるが、年代物の超広角レンズなので許容範囲だと感じる。

このレンズは概要にも記したとおり、12群13枚という複雑なレンズ構成をしており、フィッシュアイではない通常レンズで15mmという焦点距離を作る難しさを感じることができる。

最短撮影距離が16cmでレンズの長さが9cm程度あるので、被写体と前玉の距離は7cm程度となり、花などを近接で撮る際には、油断していると前玉が付近にある別の被写体に触れてしまうことがあるため、注意が必要だ。

また、過去に所有していたレンズはフォーカスリングが軽くスカスカだったので、操作にストレスがあったが、2023年に入手した前玉に傷のあるレンズはフォーカスリングに適度な粘りがあり、以前所有していた個体はレンズが抜けてスカスカになっていたと思われる。

に付けて使用していたが、カメラとレンズで重量が1.5kgくらいになり重かった印象がある。所有していたレンズは3-CAMレンズだったので、他のレンズを買うときに売ってしまったが、2023年に傷有りの3-CAMレンズを買い戻した。

フィルム カメラLEICA R8

フィルムカメラLEICA R8で使うときはレンズの被写界深度が深いためファインダーでピントの山が掴みづらいことが多く、シャッタースピードに余裕がある場合は少し絞り込んでパンフォーカスになるように距離を設定して撮ることが多かった。

フィルムでの描写は使用したネガフィルムの軟らかで先鋭すぎない解像度がレンズとマッチして良い雰囲気を作っている。モノクロフィルムを使う場合は粒子が粗めのフィルムが合いそうな印象だ。

■CANON デジタル一眼レフカメラ

CANON EOSシリーズはAPS-HサイズセンサーのEOS-1D Mark-IVとAPS-CサイズセンサーのEOS 7Dは問題なく使用できる。35mmフルフレームセンサーのEOS 1Ds Mk-IIIを所有していたときはレンズを所有していなかったため動作については動作確認をしていない。「Canon Leica-R Compatibility Database」によると1Dsシリーズで使えそうだが、ここのデータベースも一部不正確なところがあるため、使う場合は自身のカメラで確認する必要がある。

EOS-1D Mark-IVは35mmフィルム判換算距離は1.3倍の換算係数をかけると19.5mm相当の焦点距離、EOS 7Dは35mmフィルム判換算距離は1.6倍の換算係数をかけると24mm相当の焦点距離となる。

両カメラともに2000万画素以下のイメージセンサーを搭載しており、センサーサイズが35mmフィルム判より小さいのでレンズ周辺部をカット(クロップ)し、レンズ中央の描写のよいところだけを抜き出すため、広角レンズで問題となる周辺減光の影響はほとんど見られない。また、レンズ中央部は歪みの影響を受けづらいため整った描写をする。このため、解像感、歪みにおいて焦点距離15mm付近を含んだ広角ズームレンズとくらべて上質な画像を得ることができる。

LEICA-M(Typ240) & Leica-SL(Typ601)

LEICA SL typ601にはライカ純正マウントアダプターLeica R-Adapter L(16076)を介して使用した。
Leica R-Adapter L(16076)を使用するとROM端子付きレンズはレンズ情報をカメラに受け渡すことができるが、所有しているレンズが3CAMなので、レンズ情報の電子接点を介した受け渡しはできず安価な非純正アダプターを使用しているのと同じ状態になる。

LEICA M-P typ240はレンジファインダーカメラなので距離計に連動するMマウントレンズ以外はファインダーでピント位置を確認することができない。これはライカ純正のR adapter for M(14642)マウントアダプターを介してカメラにRマウントレンズを装着してもカメラの距離計に連動しない。
そのため、ピント位置を確認するためには、外付けの電子ビューファインダー EVF-2を装着する必要がある。
EVF-2を装着したLEICA M-P typ240はミラーレスカメラと同様の動作となるが、カメラにMマウントレンズを装着した場合と比べて、EVFの処理が入るためかカメラの処理速度が低下しシャッターを押した際の反応などがかなり悪くなる。

また、R adapter for M(14642)マウントアダプターを使用すると、メニューから登録されたRマウントレンズを選択してExifに記録することができる。メニューに登録されていないレンズは追加登録はできないため、近いレンズを選択するしかない。

SONY α7Sii

レンズサイズにたいしてコンパクトなカメラボディなのでカメラとレンズを装着するとレンズの存在感にボディが負けている。マウントアダプターはMetabones製のR-Eマウントアダプターを使用している。

35mmフルフレームセンサーだが1200万画素と控えめな画素数なので、この古い広角レンズを使う場合でも描写に大きな破綻は見られない。

R-MマウントアダプターとM-Eマウントアダプターを重ね付けすることもできるが、このレンズは800gと重いためマウントアダプターの重ね使いはお勧めしない。

■HASSELBLAD X2D-100C

HASSELBLAD X2D-100Cは中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラで、センサーサイズは35mmフィルム判よりも大きい。35mmフィルム判にたいする焦点距離の換算係数は0.8倍となっており、イメージサークルが中判デジタルセンサーをカバーしていれば、12mm相当の超広角レンズとなるが、残念ながらSUPER ELMAR 15mmの イメージサークルは35mmフィルム判が限界となる。下図はもっとも外側が中判デジタルセンサーの撮影範囲で、内側の白枠が周辺減光などを除いた画像として問題のない範囲となる。マスクされた周辺部を見るとレンズフードの影が映りこんでいることがわかる。逆に言えばレンズフードをカットすれば、より広い範囲が画像として使えそうだが、フードが映りこんでいる部分は画像の乱れも見られることから、仮にフードがなくてもこのレンズで使える画像の範囲は変わらないと考えられる。

HASSELBLAD X2D-100C +LEICA SUPER ELMAR R 15mm Photo example

3.まとめ

結論としてSUPER ELMAR R 15mm F3.5をまとめると、レンズ設計が古く大きくて重い超広角レンズ。
デジタルカメラの撮影結果では周辺部の解像度の低下が気になる場面があり、描写においては最新の広角ズームレンズには負ける場面もあるため、購入を検討する際は、最新ズームとの価格差、単焦点レンズの使用頻度を考えて決断する必要があるだろう。

仕様・考察など

SUPER ELMAR R 15mm F3.5はCarl Zeiss製のレンズで、後継のSUPER ELMARIT R 15mm F2.8はシュナイダー製のレンズである。

SUPER ELMAR R 15mm F3.5はYashica-CONTAX、PENTAX、Rollei QBMなどいくつかの兄弟レンズがあり、ニコンにも同スペックの15mm F3.5というマニュアルレンズがあるが、レンズ構成が11群14枚なので本レンズとおなじではない。ライカRマウントレンズの製造本数は多くないが、他マウント版を含めると珍しいレンズではなく、レンズ価格はレンズブランドによって異なっている。

また、2010年代以降の35mmフィルム判対応のレンズにおいて、本レンズと近い焦点距離14mm〜15mm程度は超広角ズームレンズによって、カバーされており単焦点レンズの存在感は低下している。その中でも焦点距離15mmの単焦点レンズは発売されており、有名なレンズとしてはCarl Zeissが2017年にMilvus 2.8 / 15mmを発売している。また、SIGMAから15mm以下のレンズとして、シグマから焦点距離14mmの大口径超広角単焦点レンズが、2017年に「14mm F1.8 DG HSM」、2023年に「Art 14mm F1.4 DG DN」と2本リリースされている。

Before imageAfter image
項目SUPER ELMARSUPER ELMARIT
焦点距離(mm)1515
最大絞り3.52.8
最小絞り2222
絞り羽根56
レンズ構成12群13枚10群13枚
最短撮影距離(m)0.160.18
レンズ長(mm)92.585.3
レンズ最大径(mm)83.583.5
フィルター径(mm)
前枠にフィルターは取り付けできない
内蔵フィルターあり
Front cap: 14294

前枠にフィルターは取り付けできない
内蔵フィルターあり
重量(g)815710
リリース年19792001
製造本数2980420

参考情報

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更新履歴

  • 2025.10.12
  • 2025.5.30
  • 2024.02.18
  • 2022.06.10

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