リーズナブルな望遠 SIGMA AF APO TELE MACRO 400mm F5.6 HSM

SIGMA SD1 Merrill、SIGMA SD10とα NEX-7でSIGMA AF APO TELE MACRO 400mm F5.6を使用したレビューと作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- SIGMA SD1 Merrill
- SIGMA SD10
- SONY α NEX-7
レビュー

1.概要
シグマ・AF APO TELE MACRO 400mm F5.6 HSMはシグマ社が1995年にリリースした望遠レンズ。
レンズ名にAPO TELE MACRO HSMがついており、”APO”は「アポクロマート補正」の略で色収差の低減、”TELE”は望遠、”MACRO”は近接撮影、”HSM”は超音波モーター搭載となっている。
主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。
- 開放F値 5.6
- レンズ構成 7群9枚
- 絞り羽根 10枚
- 最短撮影距離 0.7m
- フード 組込
2.使用感
シグマ・AF APO TELE MACRO 400mm F5.6 HSMは、通称ヨンゴロー(400mm F5.6)というレンズで、1990年代において一般撮影者が比較的容易に購入できるレンズとして人気と需要があった。キヤノン純正のヨンゴローは定価185,000円だが、このレンズは定価で半額程度、実売だと1/3から1/4程度で入手できたはずだ。
2000年代にはいると、400mm F5.6という焦点距離と明るさはズームレンズがカバーしている。
フィルムカメラ時代のレンズなので、レンズを購入した撮影者はISO400フィルムを使っても、薄暗い場面ではシャッタースピードが稼げなくて、さぞ大変だっただろう。
シグマSD10のころから使用していたレンズで、SD10のセンサーサイズでクロップすると、1.7倍勘定となり680mmの焦点距離となる。レンズは、インターナルフォーカスを採用しており、使用時にレンズ長の変化は無い。
オートフォーカス(以下、AF)のフォーカス速度はカメラ側の性能によるところが大きいため、カメラによって評価は変わるが、SD10、SD14で使用したかぎりは、このレンズが搭載している初期のHSM(High Speed Motor / Canonで言うところのUSM)は瞬発力があって高速とは言えない。しかし、超音波モーターの利点である、静かでスムーズなレンズ駆動は道具として気持ちが良い。このモーターはよく壊れると言われたが、所有しているレンズは使用頻度のためか、二十数年経っても特に問題は発生していない。
単焦点レンズなので、フォーカスリング、撮影距離制限スイッチ(制限無し、無限〜3m、3m〜1.6mの3つ)とAF/MFの切り替えスイッチがある。
フードは組み込み式だが、引き出してもそれほど長さがないため遮光効果は高くない。
描写は現代レンズのような切れは望むべくもないが、それなりの解像感と色のりを見せてくれ、SD10ぐらいの画素数であれば比較的満足度の高い絵を手に入れることができる。サンプルは止まっている写真を上げているが、その影では多くのぶれ写真を生産している。
最短撮影距離は、1.6mと寄れる望遠レンズなので、遠くから猫のアップやトンボの接写なども撮ることもできるので、フィールドで重宝するレンズであった。
しかし、白樺峠の鷹の渡りを撮るには長さが少し足りずテレコンバータを併用していた。通常このレンズでは合計F値がAF駆動の上限値を超えるので使えないのだが、うちにあるレンズは後述する理由からテレコンバーターの使用が可能となっている。
SAマウントレンズは基本的に需要が少ないため、売却せずに今も手元にある。たまに使うと現代レンズのような切れはないが、古き望遠レンズの描写を楽しむことができる。
このレンズの兄弟である、AF APO TELE MACRO 300mm F4も所有しているためそのうち紹介する。
この時代の超音波モーターは壊れやすいと言われており、正常に動作する品も減ってきている。CANON EF版はカメラ側にレンズ認証プロテクトをもつカメラはオートフォーカスが動作しないなどの問題が発生するため注意が必要だ。
3.まとめ
結論としてシグマ・AF APO TELE MACRO 400mm F5.6 HSMをまとめると、安価な望遠単焦点レンズ。写りは値段なりでAPOは付いているけれど色滲みはする。
2020年代ではズームレンズにも解像感などでは劣ると考えられ、初期の超音波モーターを搭載しておりフォーカス速度は遅く、数千円で売られていると試しに買ってみる程度のレンズだろう。
CANON EFマウントと SIGMA SAマウント
このレンズはシグマ製キャノンEFマウントレンズを購入して、自力でシグマSAマウントに換装している。以前は詳細な写真付きの記事も上げていたが、今はそんな需要は無いだろうから、簡単に作業方法について記録を残しておく。
この改造レンズは、シグマSAの1.4倍テレコンと2倍テレコンを使用してAF撮影が可能だ。AFの合焦精度は落ちるがよほど高速の物でなければ捕らえることができる。しかし、通常でも若干キレの足りない描写ががさらに落ちるため実用上は微妙である。
- ここからの作業は改造を推奨する物ではない。
同じように作業をして、壊れてジャンクレンズが増えたり、その他あらゆる問題が発生しても当方では責任は取れないため、自己責任で実施していただくようお願いする。
用意する物
- シグマSAマウントレンズ・マウントしか使わないので、安いレンズを探してくるのがいい。
- シグマEFマウントレンズ・これを改造対象になるので、保証もなにも無くなって、失敗すると壊れることを覚悟する。
- 半田ごて
- 半田
- 電線(細め)
作業
- シグマSAマウントレンズからSAマウント側のネジを外してマウントを取り外す。
- はんだ付けされた信号用のフレキケーブルをマウントから外す。(ハンダゴテで接続部のハンダを溶かして外す必要があるため火傷に注意)
- シグマEFマウントレンズからEFマウント側のネジを外してマウントを取り外す。
- はんだ付けされた信号用のフレキケーブルをマウントから外す。(こちらも、2.と同じだ)
- 1,2で外したSAマウントを元EFマウントレンズから出ているフレキケーブルに同じ順番で接続していく。フレキケーブルをマウントに直付けするのは難しいので、細めの電線でマウントとフレキケーブルを接続するのが簡単だろう、端から付けていくと端子が一個余るがこれは気にしない、おそらくグラウンドだ。
- 作業が終わったら、ケーブルをレンズに押し込んで、SAマウントをレンズに取り付けてネジ止めする。なんとネジ穴の位置もピッタリでなんの苦労もない。
- これでシグマEFマウントレンズをシグマSAマウントをレンズに換装できる。
- 余った方のレンズをEFマウントレンズにできるが、レンズのROM問題によってキヤノンカメラでレンズを認識しない可能性が高いので、作業をするのは無駄だと思う。
- レンズのROM問題とは、昔のサードパーティー製レンズはカメラメーカーの正式許諾をうけずにリバースエンジニアリングでレンズ側のファームウェア(ROM)を造っていた会社があり、カメラメーカーとしては、ライセンス料も払わずに、只ノリはゆるせんということで、カメラメーカーがカメラに装着されたレンズに搭載されたファームウェア(ROM)が正規品か否かを判定して、正規品で無いファームウェアを積んだサードパーティ製レンズは正常に動作しないと言うことがあった。
このようにシグマ製EFマウントレンズとシグマSAマウントレンズはフランジバック長さが一緒なだけでなく、レンズを制御している電気信号はほぼ一緒なのだ、もちろん作動電圧や、制御仕様の違いでモーターが燃えたり、レンズ動作に不具合が出る可能性はあるかもしれない。幸い今のところ問題なく稼働しているが、結果については保証できない。
仕様・考察など
項目 | 300mm HSM | 400mm HSM | EF400mm F5.6L USM | MINOLTA 400mm F4.5 |
対応センサー | 35mmフルサイズ | ← | ← | ← |
焦点距離(mm) | 300 | 400 | ← | ← |
最大絞り | 4 | 5.6 | ← | 4.5 |
最小絞り | 32 | ← | ← | ← |
絞り羽根 | 9 | ← | 8 | 9 |
レンズ構成 | 7群10枚 | 7群10枚 | 6群7枚 | 7群9枚 |
最短撮影距離(m) | 1.2 | 1.6 | 3.5 | 3.0 |
レンズ長(mm) | 195(SA) | 251(SA) | 256.5(EF) | 275(A) |
レンズ最大径(mm) | 87 | ← | 90 | 95+α |
フィルター径(mm) | 77 | ← | ← | 95(フロント) 42(リア) |
重量(g) | 1,298(SA) | 1,408(SA) | 1,250(EF) | 1,920(A) |
付属品 | フロントキャップ リアキャップ ケース | ← | ← | フロントキャップ リアキャップ フード ストラップ アルミケース フィルター |
リリース年 | 1995 | 1995 | 1993.5 | ← |
対応マウント | CANON EF SIGMA-SA NIKON-F(HSMなし) PENTAX-K(HSMなし) SONY-A(HSMなし) | ← | CANON EF | SONY-A |
価格(税別) | ¥185,000 |
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参考情報
更新履歴
- 2025.8.13
- 2024.07.01
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