LEICA SUMMICRON S 100mm
ズミクロンの極み
ライカ・ズミクロン S 100mmのレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
- 写真作例はLeica S typ007で撮影
レビュー
1.概要
ズミクロン S 100mm *1は、ライカSレンズ唯一のズミクロンの名前を持った大口径レンズ。
他のSレンズはF2.5のズマリット、F2.8のエルマリート、それ以外のエルマーが設定されている。
レンズ構成は5群7枚で、そのうち4面が非球面レンズ、最短撮影距離は0.7m、全長102mm、重量は910gとなっている。
フードは専用のバヨネットフードで、型番は12402で、APO Macro Summarit 120mm F2.5と共通である。
このレンズは、レンズシャッター(CS)バージョンは用意されていない。
2.使用感
このズミクロン S 100mmとスーパー・エルマーS 24mmがライカ Sマウントレンズの中で使用したかったレンズである。レンズを探しているときのタイミングとは不思議な物で、このズミクロン S100mmを入手する際は、スーパー・エルマー S 24mm *1も同程度の価格で中古市場にあったが、両者を購入する財力は無かったため、大口径レンズの魅力にはあらがえずズミクロン S 100mmを選択した。
いろいろかさなる物で、同時期にCONTAX 645 プラナー80mm F2がほぼ同じ値段で中古市場にも出ていた。こちらのレンズは金額さえ出せばいつでも入手可能なのでとりあえず見送った。
このレンズはライカ・レッドドット・フォーラムでは100CRONと呼ばれている。
購入手続きのあとに、そのライカ・レッドドット・フォーラムで、「S 100mmはオートフォーカスは全滅だ、どんなに調整しても合わない。」「S Typ007はダメだがS3ならOK」などの書き込みをみてビビったり、このレンズについてのあまりよろしくない評判を見て購入を若干後悔したが、自分でやってみないとわからないなと気を取り直し、到着したレンズを持って外に行った。
こちらの技量が追いついていないためか満足するレベルの違いかはわからないが、心配は杞憂で撮影結果は上々、物欲補正も入っているが満足行くレンズでオートフォーカス(以下、AF)の精度と速度も十分に許容範囲だ。普段ヘボいAFカメラ・レンズを使い慣れた撮影者には不満を言うほどのレベルではない。
フォーカスの行き過ぎは何度か経験したが、コントラストの高いところを狙うとほぼ問題はない。低照度のときは外す確率が上がるのは仕方が無い。
撮影時に工夫して、できるだけコントラストの高いところを狙うとうまくいくので、使い方の問題だ。
AFについては そもそも論だが、一眼レフ形式の中判センサーデジカメにおいて、100mm F2のレンズで容易にピントが合うと思うほうが間違っている気がする。
おまけでもAF付きで、マニュアルフォーカス(以下、MF)専用でリリースされ無かっただけよかった。
最短撮影距離は0.7mと焦点距離100mmのレンズとしては寄れるレンズになっている。ハッセルブラッドのHC 100mm F2.2は0.9mとあと一歩寄れないので、この20cmの差はとても貴重だ。
意地悪なシチュエーションでは光の端に紫色がでることもあるためか、APOを冠していないけれど、一般的な状況では色にじみは感じない、マーケティング的にAPOつけて価格を上げる手もあるだろうに、普通のズミクロンでリリースしてくれた優しさに勝手に感謝しよう。
3.付加情報
ズミクロンは絞り開放値F2のレンズとして長い歴史を持ち、Rマウント、Mマウント、SLマウントなどで象徴的なレンズを生み出している。近年ではAPO SUMMICRONシリーズが存在感を増しているが、これらは35mm判をターゲットに作られたレンズで、中判センサー(45mm x 30mm)に対応したズミクロン Sはズミクロンシリーズの中でも特別なレンズの1本だ。
いくつか使用してきたズミクロンレンズの中で印象的なレンズであり、”極”に位置するレンズだと考えている。
ライカSで使用しない場合、マウントアダプターの値段は高いが、S-LENS Adapter-L(16075、定価20万円程度)を使えば、Lカメラでも使える汎用性もこのレンズの魅力だ。
しかし、このマウントアダプターが対応しているLマウントカメラはライカSLシリーズのみで、ライカTシリーズは電力供給能力の不足で動作せず、そのほかLマウントアライアンスのカメラは明確な理由は不明だが動作しない。SLシリーズのバッテリー電圧が8.4Vで、LUMIX Sのバッテリー電圧7.4V、SIGMA fpのバッテリー電圧7.4Vなので、動作しないのはライカT同様に電力供給の問題があると思われる。
製造本数を見ると500本はいってなさそうで貴重だが、使用できるカメラが限られていることが難点だ。ライカのミラーレス中判カメラでもマウントアダプター経由での使用ができるとのアナウンスをみたが、マウントアダプターの価格がレンズ1本程度の価格になりそうなのが悩ましい。
ハッセルブラッドのHC100mm F2.2と比較するとAFはネイティブレンズのこちらの方が早い。しかし、高速な35mmレンズのフォーカス速度と比べるとあきらかにのんびりとしている。
フィルター径は82mm *1で、一般的なフィルターが装着できる。以前購入したライカ製82mm *2を付けているが、他社の高級フィルターとそれほど差は無いように感じる。
ズミクロン S 100mmは、2024年現在アマゾンに出品がある。 *1
スーパーエルマー S 24mmは、2024年現在アマゾンに出品がある。 *1
仕様・比較
項目 | SUMMICRON-S 100 | HASSELBLAD HC100 |
焦点距離(mm) | 100 | 100 |
最大絞り | 2 | 2.2 |
最小絞り | 22 | 32 |
絞り羽根 | 8 | ? |
レンズ構成 | 5群7枚 | 5群6枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.9 |
レンズ長(mm) | 102(レンズのみ)146(フード込み) | 80.5(レンズのみ) |
レンズ最大径(mm) | 91(レンズのみ)104(フード込み) | 87.5(レンズのみ) |
フィルター径(mm) | 82 | 77 |
重量(g) | 910(レンズのみ)965(フード込み) | 780 |
リリース年 | 2013 | ? |
価格 |
HC100mmレンズ構成図(ハッセルブラッド公式ページより引用)
SUMMICRON-Sレンズ構成図(LEICA公式ページより引用)
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.12.14
- 2024.07.02
- 2024.03.04
- 2023.07.18
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